見出し画像

大野朋子『10代のうちに知っておきたい言葉と心の切りかえ術』笠間書院

10代のうちから、たくさんの人と会話をして、自己主張をする訓練をすることが必要であるとし、つい無意識に使いがちな言葉を切りかえて、「好かれる自己主張」を身につける方法を紹介する本である。

会話はキャッチボールだから、相手の言葉をしっかり受け止めないといけない。しかし、単に「うん、わかる!」と言うだけでは受け止めたことにはならないと言う。

「なんか、最近、〇〇と気まずいだよね。この間、きつく言ったのが気に触ったのかな。避けられている気がする。」と友だちから悩みを相談されたら、どう答えるだろうか。

「わかる。私もそういうこと、あったよ。」でよいだろうか。それでは、足りないと言う。〈言葉の繰り返し+話を促す質問〉で受け止める必要があると言います。たとえば、「気まずいんだ。どんなふうに避けられてるの?」

本書は、よくある様々な場合について、会話の実例をあげて説明してあり、大変わかりやすい。読めば会話の達人になれると思う。

言いたくない話題の返答に困ったときは、どうすればよいだろうか。たとえば、友だちから、進路を聞かれたらどうだろうか。よくありそうなのは、「まあ、そのうちにね。」と、はぐらかしてしまいがちだと思われる。

教えてもよい相手なら、「決まったら言うね。」
教えたくない相手なら、「まだ迷っている最中だよ。」

下手にはぐらかすと、相手の興味を刺激してしまう。「そのうち」という言葉は、相手を暗に部外者扱いしていると同じで、相手はさびしい気持ちになる。実は決まっているが、教えたくない相手には、「まだ、考えているところ」などと切り抜けてもよいようだ。

相手が受け取りやすく、わかりやすい伝え方を身につけると、身近な人間関係が良好となり、人生が豊になる。

本書は10代向けの実例をあげているが、年齢にかかわらず、役に立つ本として、是非とも一読をおすすめしたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?