サルでもわかる燃料電池自動車

さて今回は、そんな私のお気に入りのMIRAIなど燃料電池自動車 FCVについて改めて「サルでもわかる」と題してめちゃめちゃ基礎的な解説していきたいと思います。

FCVの検討をされている方の助けになればと思います。


1.燃料電池自動車とは

現在、多くの人が利用している自動車はガソリンスタンドでガソリンや軽油などの燃料を入れますが、燃料電池自動車は水素ステーションで水素を補給します。その水素を外部の酸素と化学反応を起こすことで燃料電池にて電気を発生させ、その電気でモーターを回して走る自動車のことです。つまり、燃料電池自動車は電動車なんです。水素燃焼エンジンを載せた水素を直接燃焼させる水素エンジン車もあるにはありますが、現状では実証実験段階であまり一般的なものではありません。

2.燃料電池自動車のメリット

 a.環境に優しいエネルギー源


燃料電池自動車は、水素と酸素の反応から発電される電力を利用するので、排出される主な副産物は水蒸気と熱のみです。そのため、二酸化炭素(CO2)やその他の大気汚染物質が排出されないため、環境に優しいエネルギー源となります。この環境に優しいエネルギーであるということ関しては、私も思うところもありますが、実際「Tank to Wheel」の観点で言えば確かに水しか出していません。
また、「well to whell」の観点でも環境に優しいエネルギー足り得るポテンシャルは十分以上に秘めていると思ってます。

 b.エネルギー効率が良い


まず、エネルギー効率とは、特定のプロセスやシステムが入力されたエネルギーをどれだけ有効に利用しているかを示す尺度のことを言います。現時点で、ガソリンで走る自動車のエネルギー効率は15%〜20%と言われています。一方、燃料電池自動車は2倍程度(約30%以上)と非常に高いエネルギー効率を実現しています。

 c.多様な燃料・エネルギーが利用可能 


天然ガスやエタノールなど、石油以外の多様な燃料が利用可能なため、将来の石油枯渇問題にも十分に対応できます。 また、太陽光やバイオマスなど、クリーンで再生可能なエネルギーを利用して水素を製造することにより、環境への負荷を軽減します。まさにこれこそが燃料電池自動車の大きな利点だと思っています。今でこそ水素製造の方法は限られたものしかありません。しかし、水素のH分子はもう地球上だけではなく宇宙まで含めても多くの物質に含まれているんです。より水素を取り出すに適した物質や方法が現れればハーバボッシュ法が世界を変えた程の革新だって夢じゃないと思っています。

d.騒音が少ない


燃料電池は電気化学反応によって発電しモーターを回転させるため、エンジンを駆動させるガソリン自動車と比べて騒音が低減できます。 車内の快適さはもちろん、都市全体の騒音対策にも効果が期待されます。先日、MIRAIで狭い道に入り前を歩いている人がいたのですが、実はその人知り合いだったんですが、数分後に後ろに車がいること自体に気づいて、さらにそれが私だと知って驚いていました。ちょうどその人の向かう先が私と同じ方向だったので載せていったのですが、車に乗るやいなや、「この車が水素の車かぁ。全然気づかんかったわ。逆に気持ち悪いわ」と笑われました。
静かすぎて事故が怖い時がありますね。

e.短い充填時間と長い走行距離


水素を充填する時間は、同じ電動車である電気自動車の充電時間よりも「かなり」短いです。これは、水素を充填する際に高い圧力を利用できるためです。だいたいガソリンを入れる時間と同じくらいなので時間効率も良いと言えます。
電気自動車のバッテリーと違い、容量が大きくなっても重量がそこまで増えない水素のタンクの場合には多くの水素を載せることもそこまで難しくありません。つまり長く走りたいのならば単純にタンクを増やしてしまえばいいんです。もちろん容量は大きくなりますからその分充填時間は伸びますし、タンクの本数も増えてしまいます。しかし、それでも現在の普通自動車用のディスペンサーを使ってもバスやトラックのタンク容量でかかる一般的な満充填までの時間は、テスラのスーパーチャージャーでの20%から80%への充電時間とほとんど変わりはないんです。これが大型用になればスーパーチャージャーの半分以下の時間でバスやトラックなどの充填も可能です。

3.FCV(燃料電池自動車)の種類

燃料電池自動車はガソリン自動車に比べて種類がたくさんあるわけではありません。ですが、最近は、多くの自動車メーカーが燃料電池の研究をしており、この先現在よりも多くの種類の燃料電池自動車が登場するでしょう。では、いま現在、どのような燃料電池自動車が販売されており、どんな燃料電池自動車が発売予定か紹介していきます。

トヨタ自動車MIRAI


まず、水素自動車の代名詞ともいえるトヨタの「MIRAI」を紹介します。
現行のMIRAIは、2020年12月に発表され、初代MIRAIから6年経ってのリニューアルになります。ちょっととっつきにくい形をしていた先代の初代MIRAIと違い誰もが見惚れる外観をしています。「スタイリッシュ」この一言に尽きるでしょう。トヨタのHPにも書いてありますが、「乗りたいクルマを見つけたら、たまたまFCVだった」そう言えるクルマに違いありません。
まぁ、初代MIRAIに乗っている私からするともうかっこよすぎて気後れしてしまいます。私はやはり初代MIRAIくらいのぽっこりした車が良いです。

ボディサイズは、全長4,975mm×全幅1,885mm×全高1,470mmと日本のセダンのなかでは大きめな車です。
FCVのユニットとしては、水素から発電するFCスタックが第2世代となり、体積出力密度は3.1kW/Lから4.4kW/Lに、最高出力が114kW(155PS)から128kW(174PS)へと強化されています。燃料タンクとなる水素タンクは、2本(4.6kg)から3本(5.6kg)と増量し、駆動用モーターも最高出力113kW(154PS)/最大トルク335Nm(34.2kgfm)から、134kW(182PS)/300Nm(30.6kgfm)へと高出力化されている

トヨタ自動車CROWN


トヨタの「CROWN」も燃料電池自動車として、2023年、新たに登場しました。クラウンは16代目となり、それと同時にカーボンニュートラル実現(温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする)に向けた多彩な電動車の選択肢としてHEV(ハイブリッド車)に加え、ゼロエミッションをかなえるFCEV(燃料電池プラグインハイブリッド車)を設定しました。MIRAIと同じセダン型で、航続距離は約820km、全長5,030mm×全幅1,890mm×全高1,470mmで、車両重量は2,000kg、最高出力は132kW(180ps)、最大トルクは300Nmです。

メルセデスベンツGLC-CELL


次に、メルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」を紹介します。この車は水素を燃料にして発電する燃料電池車でありながら、外部電源からリチウムイオン電池に充電することもできます。そんな初代、燃料電池プラグインハイブリッド車はもっとも豊富なラインナップを揃えることができ、現在日本では8バリエーションが選べます。フロントバンパーは専用デザインで、メルセデスの「EQ」ブランドを象徴するブルーのアクセントが各所にあり、サイドには「F-CELL」ロゴ入りの青いデカールで燃料電池車であることを表しています。全長4680mm×全幅1890mm×全高1655mm、最高出力200ps、最大トルク350Nmで、車両重量は2150kg、乗車定員は5名です。航続距離は燃料電池+リチウムイオンバッテリーで約377kmです。

現代自動車NEXO


お次は、お隣の国韓国、現代自動車メーカーであるヒョンデのゼロエミッション車「NEXO(ネッソ)」を紹介します。ヒョンデとしては2代目になる量産型のFCEV(燃料電池自動車プラグインハイブリッド車)で、2025年までにEVとFCEVのシェアで世界トップ3に入ることを目指す「2025年戦略」を掲げています。ボディ全体のしっかり感や質感は十分に高く、インテリアに使用されている素材を使った座席となっています。水素タンクの容量は156.6ℓで、航続距離は820kmとなっています。全長 4,670 mm x 全幅 1,860 mm x 全高 1,640 mmで、車体重量は1,870kg、最高出力は120kW、最大トルクは395Nmです。

これらが、実際に購入可能な燃料電池自動車になりますが、ここにプラスして

まずは、ホンダです。ホンダは、CR-VベースのFC-Vを2024年に販売開始すると発表しています。早く新しいホンダのFCVみたいですね。

それにしても、トヨタ以外の自動車メーカーは、FCVのベースにSUVを選択しています。これは、タンクを少しでも多く積んで後続可能距離を伸ばしたいという想いがあるようですが、トヨタだけは頑なにセダンの道を進みますね。誉め言葉なんですがこれはもう、拘りを通り越して、一種変態チックだとまで感じてしまうのは私だけでしょうか??

では、最後に燃料電池自動車がどのような歴史を経て、ここまで成長したかを見ていきましょう。

4.歴史

1966年、道路を走行できる最初の燃料電池自動車「Electrovan」がゼネラルモーターズによって開発、製造されました。液体水素と液体酸素を使用し、航続距離は240km、最高速度は110km/hでしたが、普及せず、開発が中断となりました。日本では1972年に、工業技術院大阪工業試験所、ダイハツ工業、パナソニックの共同により燃料電池自動車の試験が行われました。その後、1980年代にカナダのベンチャー企業が世界で初めてFCVを市販しました。その約20年後の2002年に、日本でホンダとトヨタがリース販売を行い、2004年には日産もリース販売を行いました。2006年にはBMWがFCVを1000台生産、2013年にヒュンダイが1000台を目指すも237台のみ生産となりました。

実は、この頃初めてFCVに乗りました。たしかMIRAIが発売される十年ほどまえです。一億円の車両をリースで出しているFCVでしたが、そんな頃から興味があったのかと言われると偶々乗る機会があったというだけで別にそれから今のようになったわけではありませんが…確かその頃は、一億円の車に乗る機会なんて無いのでそういう意味では興奮していました。そして、その十年ほど後の2014年に日本のトヨタ「MIRAI」が日本国内での販売を発表しました。十年前まで一台一億円と言っていた車が、実際に八百万以下で売られるという発表が成されたのですから、私は絶対に何かの間違いだと思っていました。しかし、間違いではありませんでした。事前受注は日本だけで400台を超えました。2016年にはホンダがMIRAIよりも航続距離が100キロ伸びた量産型セダンの「ホンダ・クラリティ ヒューエル セル」を発売しました。しかし、ホンダは2021年にこの車の生産を中断しました。しかし、ゼネラルモーターズと協力し、現在でもFCVの開発は続いています。
2019年には、メルセデス・ベンツが10年前発売できなかった、世界初の「燃料電池プラグインハイブリッド車」となるGLC F-CELLを発表し、水素インフラの整っている日欧限定でのリース販売を開始しました。2022年には自動車部品メーカー大手のボッシュが米国にて大型トラック向け燃料電池スタックの生産を開始しました。

その他にもコンセプトカーや研究段階を入れるともうそれだけで動画が1時間くらいになってしまうので割愛しますが、未だにFCVは未完成の技術で出来た自動車です。良いとかダメとか言う段階にすらないと思っています。だからこそ、世界は各種技術などに補助金を出し推進を勧めており、日本でも「グリーンエネルギー戦略」の一エネルギーとしてではなく「水素基本戦略」として纏め直す程度には、各国の期待値はあるのではないでしょうか。

エネルギー専門市場調査会社のSNEリサーチによると、昨年1〜11月に世界各国に登録された水素自動車の総販売台数は1万8457台で、前年同期比14.2%増加しました。ヒュンダイのネッソの販売台数は1万700台で、前年同期比21.4%増え、 シェアは昨年54.5%から今年58%に拡大し、1位の座を維持しています。一方、昨年1〜11月のトヨタのMIRAIは前年同期比42.8%減の3238台の販売台数を記録した。 市場シェアも前年比より下落し、17.5%となりました。以上から、世界の水素自動車全体の販売台数はネッソがMIRAIを3倍以上リードしていることになります。現在、日本や中国など各国政府が水素自動車への投資に乗り出しており、特に、中国政府は2030年までに水素自動車100万時代を開くと宣言しており、短期間で中国の水素自動車が世界市場で急激な成長を見せるかもしれません。

5.終わりに


という訳で本日は、「燃料電池自動車 FCVについて」でした。
燃料電池自動車なんて、市販されてまだ10年も経っていません。
技術的にもまだまだこれから様々な進歩・変革があるでしょうし、まだまだ苦難も続くかもしれません。しかし、世界が注目する水素に私はこれからも注目し、仕事にしていきたいと思います。

最後に…2023年12月は仕事が多忙を極めてしまって、中々動画に取り掛かれませんでした。今後はもう少しコンスタントに出していけるように頑張ります。

本日はありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?