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伸びしろ

 


 ◆無関心

 雪印の6Pチーズは、酒のつまみにも好適だ。食べてしまったので、空き箱をエヴァンに投げてやった。喜んで遊んでいる。やがて、噛んでボロボロにしてしまう。

 ふと、思いついて、ネットでフリスビーを買ってやった。愛犬家なら、フリスビーを投げてやり、犬が空中でキャッチするシーンに憧れる。勇んで、近くの広場に行った。
 ところが、エヴァンは興味を示さなかった。我々と共に、円盤の行方を見ているのである。落下すると走って行って嚙みついた。諦めて家に帰った。あのフリスビーはどこへ仕舞ったか。以来、現物を見ていない。 

 ◆無用の長物

 高齢女性を往診すると、孫たちがきていた。
 私が治療する間、エヴァンは山道を散歩に連れて行ってもらい、またとない体験をしている。子供たちが散歩から帰り
「エヴァンにお手していいですか?」
 と私に、おうかがいを立てた。

 結末は分かっていた。
 訓練士と話していて
「(お手など)盲導犬にとってどうでもいいことは教えてないのですよ」
 と言われていたからだ。

 案の定、エヴァンは反応しなかった。あまりに何回もしつこく要求されると、しぶしぶ前足を出す。それはあくまでも、付き合い。見よう見真似でやっていることだ。

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