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晩秋の北海道 2020-⑭(涙の神威岬)

車を降りると、この立て看板がドンと目に飛び込んできました。いや、正確に言うと入口から駐車場に入った瞬間に奥の方にこの立て看板が小さく見えて、全身が嫌な予感に包まれました。

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看板に書かれていることの意味は、すぐには理解できませんでした。いや、理解したくなかったというのが正解かもしれません。

「え?まさか行けないなんてことないよね」

「HPにもそんなこと出てなかったし」

「今日関係ないよね、これ」

「風ないし、行けないのは強風の時だけだろ」

「行ける行ける、こんないい天気なんだから」

「悪い冗談はやめてよ、マジで」

「だって、ここ歩くために東京から来たんだよ」

「ウソだよね、、、えー、、、、ウソだよね」

右の看板にはわざわざ赤字で強調されて書かれている「通行止め」の文字と、道路でよく見る通行止め標識のマーク。

そして左の看板に書かれた「工期」、今日10月31日は誰がなんと言おうと直球ど真ん中。

どう好意的に考えても、、、アウト。

100%アウト。

情状酌量の余地なし。

でも、でも行けるところまで進むしかありません。この先に待っている結果がほぼ間違いなく望んでいるような結果ではないとしても、ここで帰る訳にはいきません。

何億分の一であろう一縷の望みを抱きながら女人禁制の門に続く坂道を進みます。

そして見えてきたのは、

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これでもか!というくらいにさっきより大きな「通行止」の文字と黒い縁取りがされた赤いバツ印。

そして

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門にはガッチリと歴史を感じさせる木製の閂がかけられていて、その前には念入りにダブルの「立入禁止」札がかけられたバリケードが立てられ来るものを阻んでいました。

わかっているとは言え現実を受け入れたくなく、この期に及んでもまだ諦めきれない僕は奥さんに「ご協力だからしたくなかったらしなくてもいいんじゃん?監視カメラも、、、、どこにもないじゃん?ほら!門の横だって隙間あるし、全然行けるじゃん!」

とにわかに、じゃんじゃんオトコと化し

「だってこんないい天気なんだよ!風だって全く吹いてないしさ!!この先を歩くためにきたのに!!マジで!冗談やめてくれよ!!ウソだろー!!」

と、恨み節が止まりません。この気持ち、わかっていただけますよね。

でももちろん僕も分別ある50過ぎのオトナです。

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門の上から小さく見える灯台と穏やかに広がる積丹ブルーの海を、憎きコマツ製の重機越しに心ゆくまで眺めてから名残惜しくもその場を後にしました。

リベンジを誓って。

絶対、いつかこの先を歩いてやる!!

待ってろよ!チャレンカの小道!!



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