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”戸籍”と”お墓” ~家という認識の違い

写真は、私の大好きな父方の祖父母の若かりし頃の写真です。
某ムックに掲載する際に、プロ方に白黒写真を着色をしていただきました。感謝です。写真は昭和30年代初頭か、20年代後半と思われます。

さて、なぜ写真から話題振りをしたかと言うと。
私は祖父母と同じ墓に入れないという話しから入りたかったからです。

ところで、皆さんはご自身が万が一不幸にも”今死んでしまったら”自分がどこの墓に納骨されるかご存じでしょうか。

私の場合。すでに結婚していて、名字も変わっていますので・・・。
離婚して実家に戻らない限りは、入る墓はありません。
夫が、新しい墓を作りそこに納骨されるでしょう。

ちなみに、夫は三男坊で墓守では無いので実家の墓には入れません。
これが、万が一夫が長男で墓守だったら・・・私も、夫の先祖代々の墓に入る事になるので。
この辺りが、意外と認識の薄い方も多いかも知れません。

この辺りの事は、成人して仏事に関わってくると自然と分かってくることですが。若い方は、まだあやふやな部分かも知れません。

過去のnote記事を読んでいただけると分かりますが。
私は先祖調べ(ファミリーヒストリー)を、ライフワークとしています。
その時、調査をする際に墓石からの情報を頼りにすることがあります。

最初は、戸籍の家制度=墓に入る人。
という、盛大な勘違いをしていて首を傾げた事がありました。
成人していて、両親が仏事行っているのを側でみていてもこれです。
分かり易くnoteに書けば、皆さんのお役に立てるのでは?と思い記事をかいてみようと思った所です。では、よろしければお付き合いください。

先祖調べをしていて、戸籍は簡単に取得できますが。
墓石や過去帳を調べようと思った時に、まず頭を抱えるのはこの認識の違いからでしょう。
「実家の墓を見たけれど、曾祖父母から上は記載が無かった」
「どうやら、高祖父母の墓はどこか違う所にあるらしい」
こんな話が良く、先祖調べ界隈では飛び交います。

なぜか?
それは、直系尊属卑属が総て同じ墓に埋葬されるわけでは無いからです。

墓を継ぐのは、墓守=古い言い方だと家督相続した者です。
※飽くまでも、一般論としての話

分かり易く言うと、両親が眠る墓に入れるのは「子供の内だれか1人」ということです。ただし、未婚で亡くなった場合は親の墓に入ることになります。この辺りが、非常にややこしい所と言えるでしょう。

例えば、長男が家を継いだ。でも都会に出てしまい、墓守は二男。
と言う場合は、墓守になった二男が先祖代々の墓に入ります。

ただ、一般的に長男が家を継ぎ。墓も守るというのが日本の文化のセオリーです。こういうことから・・・。
我が家の例を書いてみると、祖父が二男だったので、墓は祖父兄(長男)が継ぎ。我が家の墓は、祖父母しかまだ入ってない(両親存命)という状態です。両親が亡くなれば、弟が墓を守り。遠い将来弟もそこに入るのでしょう。ちなみに、曾祖父は長男、高祖父も後継ぎ(二男)。

そんなことから、上の代は長男→長男→長男で繋がっている為、高祖父の墓から、天保期まで遡れるだけの墓が存在します。
天保期から上は、総本家に繋がり。総本家の墓地も、確認が取れています。

こんな感じになります。
分かっていただけたでしょうか。

墓守として墓を継がなかった人間は、先祖代々の墓には入れない。
これが、現在の日本の墓という物なのです。

もう一つ例をだしてみたいと思います。
夫側の墓事情ですが。

①夫(三男)
②義父(二男)
③義祖父(長男)
④義曾祖父(三男)
⑤義高祖父(長男)
こんな感じで繋がってきています。

ですから、義父が立てた墓が1つ。
義曾祖父が立てた墓が1つ。
義高祖父以前の先祖代々の墓が1つ。

これだけ、調べたら墓地が出て来ました。

そして、ここが外してはいけないポイントなのですが。
お寺様の過去帳は、墓単位で基本管理されています。
墓1つにつき、1家と言う認識です。
直系尊属かどうかも重要ですが、お寺様は墓1つにつき1家という認識で
檀家様としてお付き合いをしています。

ですから、過去帳を見せていただきたい場合。
墓を所有している檀家様である親戚の許可が必要です。

夫の家で言えば
②の過去帳をお願いしたい場合は、義父と菩提寺の許可。
③④の過去帳をお願いしたい場合は、義父の長兄、又は長兄が亡くなっている場合はその墓を管理している傍系親戚と菩提寺の許可。
⑤の過去帳をお願いしたい場合は、義高祖父宅の現在の後継ぎをされている方と、菩提寺の許可。

こうなってきます。
ですから「私は、こちらのお墓の直系尊属になります!過去帳見せてください。無理なら抜き出しをお願いしたいです」と言っても取り合っていただけないのです。

直系尊属である必要性もありますが、飽くまでもお寺様は檀家有りきで経済活動をしており、ボランティアでお墓とお寺を守っている訳では有りません。当然、お願いごとには謝礼も必須です。

ですから、寺の実質的なスポンサーである、現檀家様である墓守りの許可が無ければ、無断で他人(身内であっても)に情報開示はされないと言う事です。この辺りが、墓と菩提寺の難しい部分かと思います。

私は夫の家系を調べる時に、⑤の菩提寺にある墓が23代ほど続いているということで。義高祖父様の現在の御子孫、墓守の方にお願いをして許可を得ました。当然、そこから菩提寺に問い合わせるスタートラインに立つという状況でした。

と言うわけで、今回は墓に入れる人と、戸籍の家という物は大分違うのだよ。というお話をいたしました。参考になれば嬉しいです。では、また!