見出し画像

巫女

みこ
神事などで神役を果たす女性を指します。古くは邪馬台国の卑弥呼や、ご神託を伝えたという神功皇后の伝承があります。

神社に奉仕する女性のうち、神楽や湯立(ゆだて)の神事などで神役を果たす者のことをいいます。
かつては、神懸かりして神の言葉を述べるシャーマンとして祭祀の中心にいました。古くは、邪馬台国の卑弥呼(ひみこ)が鬼道(きどう)に仕えたという伝承や、神懸かりして住吉の神の託宣を伝えた神功皇后の伝承があります。
古代律令国家においても、皇族の女性が斎王として伊勢神宮の天照大神(あまてらすおおみかみ)に奉仕する制度もありました。斎王は、『日本書紀』に見える豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)、倭姫命(やまとひめのみこと)を起源とし、南北朝の戦乱により廃絶するまで存続しました。
民間では中世を通じて各地で巫女による神楽の奉納が行われていましたが、近世になると打ち続く戦乱のなかで庇護者が衰退し、巫女は数を減らしていきました。また、本州では、女性司祭者の地位が男性神職に代わられ、巫女は神職の補助的な役割を担うようになりました。一方で、こうした神社に奉仕する巫女とは別に、歩き巫女、渡り巫女などと呼ばれる巫女もいました。彼女たちは、祭礼の場や市を訪ねて旅をしては禊や祓い、口寄せなどを行い、なかには遊女の側面を持つ巫女もいました。
しかし、多くの巫女の地位は、近代の神社制度の確立と共に低下していき、神楽舞などを行う、祭祀の補佐的な役割となりました。現在では神懸かり現象を起こす例はほとんど見られなくなり、祭礼に当たって神楽を舞う神楽巫女が一般的となっています。
宮司や禰宜(ねぎ)のような位階は無く、必要な資格も特に定められていません。神道の知識や奉仕の作法、巫女舞などの教育は、それぞれの神社に委ねられています。

巫女の踊り  鈴木春信筆  MFA Boston蔵

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?