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[実話怪談]紅茶

Nさんが子供の頃に住んでいた家では不気味なことがよく起こっていた。
寝ている時に足を引っ張られたり、机に向かっている時に髪をさらわれるなどの霊現象が当たり前だったという。
同じ部屋で暮らす妹は、何も感じないようで「お姉ちゃんは変わった人」というレッテルを貼られてしまっていた。
母親に訴えてみたところで「寝ぼけているのよ」「ご先祖様がからかってるのよ」などと相手にしてもらえなかったという。

ある朝、普段はあまり家事をしない母が珍しく朝食の準備をしていた。
「アイスティーを入れたから飲みなさい」と出されたものの、普段と違うお母さんの様子にNさんは少し躊躇をしてしまった。
少し遅れて起きてきた妹が「お姉ちゃんが飲まないなら、私飲むね」と飲んでしまった。

すると、母が悲鳴をあげ、妹は嘔吐した。少し血も混じっているようだった。父はその様子を青ざめながら見ていた。Nさんは何が起こったのかわからずに、ただ呆然としていた。

紅茶には酸性洗剤と小さなガラス片が混ぜられていたのだ。

その後、両親は
「おまえがちゃんと飲んでいれば妹がこんなに苦しむことはなかったのに」
「お前も妹と同じように苦しめ」とNさんを責め続けたという。

Nさんは中学を卒業すると家を出て、アルバイトでなんとか生計を立てている。

知人の紹介で知り合った霊能者に実家を調べてもらったところ
「その土地には霊道が通っていて悪霊があなたを連れて行こうとしていた」
と言われて、ひどく納得したという。