新しい時代の始まり

桜も終わり、4月の半ばとなりました。「お代替わり」と「新元号」で、大にぎわいのゴールデンウィークになりそうです。

さて、新元号の「令和」は万葉集が出典ということですが、「令」はいろいろな意味を持つ語です。

そもそも「令」の字は今から2000年前に中国で編纂された最古の辞書(字形・字音・意味のすべてを説明した辞書)である『説文解字』には「令は号を発するもの也」、つまり「命令する」意味と書かれています。

ところが中国最古の類語辞典『爾雅(じが)』(成立年代不詳)には「令は善也」とあります。

孔子の言行録である『論語』にも、「巧言令色鮮(すくな)し仁」という言葉がありますね(かつて学校で習った方もおられるのでは)。「令色」とは、「うわべだけ良く見せかける顔つき」ということで、ここでも「令」は「善い」意味で使われています。

たった一つの漢字にも、さまざまな意味と使い分けがあります。このコラムでは、私たちの生活と切り離すことのできない「漢字」について、面白くてちょっとためになるお話を綴っていこうと思います。

そうそう、新元号の出典とされる「初春令月、気淑風和」は、後漢の張衡「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」という文との類似が言われていますが、万葉集「梅花の歌」の序は漢文ですし、あるいは「本歌取り」なのかもしれませんね。

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