さびニャン@home

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間違えやすい漢字たち ~簡体字と日本の漢字~

紀元前の大昔から使われてきた漢字は、その歴史の中でさまざまな変遷を経てきました。台湾では今でも画数の多い古い字体を使っていますが、中国では1950年代以降、従来の字体の一部を残して簡略化した漢字(簡体字)を使っています。 日本でも昔は「學(学)」、「體(体)」、「鐵(鉄)」のように書いていました(新字体の「鉄」は「金を失う」なんて冗談もありましたね)。 たしかに、画数が多いと書くのが大変ですよね。そこで簡略化してより書きやすく、覚えやすくしたわけですが、中国語簡体字の中には、

    • 古代「最凶」のフェイクニュース!?

      特報!! 呪われた「孔子廟」! 祀られていたのは孔子ではなかった!? 「聖人君子」が殺人鬼!! 動機は妬みか? ……今なら、こんな見出しが紙面を飾りそうな記事。糾弾の相手はなんと聖人君子で有名な孔子サマです。 そんなバカな、孔子サマと言えば人間愛を説いて諸国を遊説した、儒教の創始者でしょ? 人間性に優れて多くの弟子を抱えていた人でしょ? そんなことするわけないじゃない。 確かにそのとおりで、これはフィクションです。でも、古代の書物に書かれている、本当の(?)フェイクニ

      • 「心」の足し算

        あっという間に、もう6月。忙しさにかまけているうちに、今年も半分が過ぎようとしています。「移り気」という花言葉のアジサイも、だんだんと花の色を濃くしてきました。 そんなわけで、今回は「心」の話題です。 子供の頃漢字テストで、「忙」は「心を亡くすから忙しい」と覚えた方もおられるかもしれません。(古い?) この漢字、実は『説文解字』には載っていません。『説文解字』が成立した頃には存在せず、その後の時代に作られたものでしょうか。 「忙」と同じつくりで、「りっしんべん(心)」と

        • 漢字で見る男女差は……圧倒的に女性上位! (笑)

          世界の多くの王室が女王を認める中、頑なに男系を主張する日本。議論沸騰しておりますが、今後どうなりますことやら。 さて、今日はそんな「男女」の漢字に関する話題です。 今でこそ「男」という漢字は「田へん」ですが、2000年前の『説文解字』には部首に「男へん」が立っています。男性上位の古代、当然ですよね。「女」は古代も現在も「女へん」ですが、ここで問題です。『説文解字』の「男へん」と「女へん」の漢字では、どちらが多いでしょう? 正解は断然、「女へん」です! 「男へん」には男

        間違えやすい漢字たち ~簡体字と日本の漢字~

          人が歩けば道になる

          風薫る5月。ウォーキングやランニングに最適な気候ですね。 というわけで、今回は「歩く」「走る」に関係する漢字について考えてみましょう。 英語のwalkは日本語では「歩く」、runは「走る」ですね。実はこれ、古い意味なのです。おなじみ『説文解字』には「歩は、あるく、進むことである。“止”の字形を用いている」とあります。古代の文字を見ると、「止」の下に「止」を逆写しにしたような形が縦に連なっている形をしています。つまり、右足と左足の足跡です。右足と左足を前後に動かして進むこと

          人が歩けば道になる

          古代の知恵「漢字の足し算」

          初夏ですね。ツバメが帰って来て、電線でさえずっている姿を見かけるようになりました。折しもバードウィーク。今回は動物に関する字のお話です。 以前にもお話しましたが、同じ漢字2つ(または3つ、4つ)を組み合わせてできた漢字があります。それを「理義字(りぎじ)」といいます。「犬+犬+犬」「羊+羊+羊」などがそうでしたね。そのものの数が多いさまを表すそうですが、中には面白いものがあります。 「犬」。犬が2つで「㹜(ぎん)」、「犬が噛み合うさま」でしたね。犬が3つだと「猋(ひょう)

          古代の知恵「漢字の足し算」

          ぼうふらには片方の腕しかない???

          夏日どころか、真夏日に近いお天気ですね。このところ、天気の変化が激しくて体調管理もままなりません。 さて、気温が高くなると登場するのが、嫌われ者のハエと蚊です。蚊に刺されやすい体質の持ち主としては、油断ならない季節の到来です。 蚊の幼虫はご存知「ぼうふら」ですね。ぼうふらは尻を水面に出して呼吸し、棒を振るような格好で浮いたり沈んだりしているところから「棒振り」「棒振り虫」という名前がついたのだとか。 ぼうふらは漢字で「孑孒」と書きます(「孑孑」と書くのは誤用だそうです)

          ぼうふらには片方の腕しかない???

          「水」に関する漢字(その2)

          今回は「水」に関する漢字の第二弾。 『説文解字』が編纂されたころ(今から2000年ほど前)には、すでにたくさんの水に関する言葉がありました。でも、その当時の意味と現代では、いささか異なります。言葉を使っているうちに、もとの意味がなくなって別の意味が加わったり、別の使われ方をするようになったり、漢字そのものが使われなくなったりしています。 そんな中から、興味深いものを集めてみました。 例えば「波」。前回の蘇軾の話ではありませんが、もとの意味は「水が湧いて流れること」で、王

          「水」に関する漢字(その2)

          「水」に関する漢字と笑い話

          いよいよ新しい時代の始まりですね。新天皇陛下は「水」の研究家であられるということで、今回はそれに因んで水に関する漢字のお話を少々。 『説文解字』の「水部」は上下二部に分かれ、上篇には川の名前が、下篇には水に関わる漢字がたくさん並んでいます。その中からいくつか見てみましょう。 まず「水」。「水」は象形文字で、水が流れるさまをかたどっています。『説文解字』には、「水は平らである。たくさんの水が並んで流れるさまをかたどる」と記されています。ここから「水準、基準」という意味ができ

          「水」に関する漢字と笑い話

          公私のけじめ

          企業やお役所での「公費の私的流用」「公的な事柄と私事の混同」が騒がれていますが、偉くなってしまうと、何でも自分の思い通りになると勘違いしてしまうのでしょうか。 この「公」と「私」、とても興味深い構成をしています。 まずは「私」。「私」は「禾へん+ム(「し」と読みます)」から成り立ち、「ム」は『説文解字』に「邪(よこしま)なことである」と記されています。その根拠として秦の始皇帝時代の思想家である韓非子の著書を引き、「『韓非子』には『自分のためのみに図ることを私という』と書い

          「和」と部首のお話

          今週からいよいよ「令和」の始まりです! 先日は「令」について書いたので、今日は「和」について見てみましょう。 「和」という字の部首は何だかご存知ですか? 「禾(のぎへん)」ではなく、実は「口へん」なのです。毎度でてくる『説文解字』では「口部」に属し、「相応ずる也(声を合わせて応じる)」とあります。現代の漢和辞典でもほとんどが「口へん」に配置されているようなので、辞書を引く際にはご注意を。ではなぜ「口へん」かと言うと、もともとの意味が「声を合わせる」だとか。「禾」には「季節の

          「和」と部首のお話

          ビールの日

          初夏の気配が漂うこの頃、お天気が良ければ夏日になる気温です。こうなると、冷たい飲み物や食べ物が欲しくなりますね。女性だったらアイスクリーム、男性ならビールでしょうか? 実は4月24日は「地ビールの日」でした。1516年4月24日、バイエルン公ヴィルヘルム4世がビールの品質向上のために「ビール純粋令」を制定したのだそうで、「ビールは麦芽、ホップ、水、酵母のみを原料とする」と規定されています。 ビールの歴史は古く、紀元前4000年頃のメソポタミアが発祥の地と言われています。古代

          〜翼をください〜

          ◆鳥は古代から人間のそばにいて、親しみを感じる動物であったらしく、昔の辞書には「鳥」に関する漢字がさまざま記載されています。鳥は空を自由に飛び回れる「翼」が備わっています。今回はそれに関連するお話を一つ。 「羽」は『説文解字』に「鳥の長毛也」とあります。つまり、鳥の体に生えている長い毛、ということですね。中でも首筋に生える長い毛のことを特に「翁」と言いました。後に「おじいさん」の意味が加わりましたが、元々は字形のとおり「羽」に関係する言葉だったのです。また、「習う」という字

          〜翼をください〜

          ♪カラス、なぜ鳴くの♪

          暖かくなると、鳥が巣作りを始めます。この時期、気をつけなければならないのが「カラス」です。以前カラスに襲われた経験があるので、カラスが近くを飛ぶと恐怖の体験が蘇ります。 春のある日、神社の前を通りかかると、背後にバサッと音がして黒い物体が低空飛行で肩の辺りを飛び過ぎ、「えっ?」と思った瞬間、爪で頭をワシッと掴まれました。怪我をするほどではありませんでしたが、今でもあの爪の鋭さは覚えています。 さて、そんなカラスですが、実は古代は「親孝行の鳥」でした。『説文解字』には、「烏

          ♪カラス、なぜ鳴くの♪

          「シンデレラ」のルーツ?

          良い季節になりましたね。ゴールデンウィークも間近です。今年は10連休! 皆さん、どちらにお出かけでしょうか。 近場で遊ぶところ、と言ったらディズニーランド。ディズニーランドのシンボルはシンデレラ城! ということで、今回はおとぎ話の世界に遊ぶことにしましょう。 「シンデレラ」はご存知のとおり、フランスのシャルル・ペロー(ルイ14世に仕えた宮廷文学者)の「童話集」に載っているお話です。貧しい女の子が王子様と結ばれる童話は、今でも「シンデレラ・ストーリー」として根強い人気を保っ

          「シンデレラ」のルーツ?

          臭いは人を迷わせる?

          前回は羊の臭いについてのお話でした。 ところで、「臭」という字は「自」と「犬」から成り立っています。日本では「自+大」ですが、もともとは「自+犬」です(中国語では今でも「自+犬」と書きます)。なぜ「犬」かと言えば、ご存知のとおり、犬は鼻が利きますよね。 そう、「自」は「鼻」のことで、犬は鼻で臭いをかいで獲物を追跡するからなんです。 「自」は古くからある字です。古代の象形文字を見るとよくわかります。そして、私たちは日常的に「自分」と言うときに、人差し指で鼻を指しますよね?

          臭いは人を迷わせる?