「シンデレラ」のルーツ?

良い季節になりましたね。ゴールデンウィークも間近です。今年は10連休! 皆さん、どちらにお出かけでしょうか。

近場で遊ぶところ、と言ったらディズニーランド。ディズニーランドのシンボルはシンデレラ城! ということで、今回はおとぎ話の世界に遊ぶことにしましょう。

「シンデレラ」はご存知のとおり、フランスのシャルル・ペロー(ルイ14世に仕えた宮廷文学者)の「童話集」に載っているお話です。貧しい女の子が王子様と結ばれる童話は、今でも「シンデレラ・ストーリー」として根強い人気を保っています。

このお話はヨーロッパが舞台ですが、実は「シンデレラ」より800年も前の中国に、これとよく似たお話が記録されていたのです。それが唐の段成式の『酉陽雑俎(ゆうようざっそ)』にある「葉限(しょうげん)」の物語です。

葉限は主人公の女の子の名前です。葉限は実の母親が亡くなった後、継母にいじめられ、汚い服を着せられて家の雑用をしていました。そんな彼女の友達は、赤い目をした金色の魚です。葉限は魚をかわいがり、自分のご飯を分け与えて育てていました。

ところが継母がそれを見つけ、葉限をだまして遠いところへ行かせている間に、魚を殺して食べてしまったのです。悲しんだ葉限は魚の骨を拾い集めて隠しておきました。すると魚の魂が現れ、葉限が望むものを与えてくれるようになりました。

あるとき、町でお祭りがありました。葉限も見に行きたいと思い、魚の骨にお願いしてきれいな服と金色の靴を出してもらいました。葉限は美しい身なりになってお祭りに出かけますが、帰りに靴を落としてしまいました。靴は王様に届けられ、王様はその靴の持ち主を探し求めましたが、どの女性も靴をはくことができません。そこへ葉限が現れて靴をはくと、ぴったり合いました。王様は葉限と結婚し、継母とその娘は石をぶつけられて死んでしまいました。……

どうです、よく似ているでしょう? この話は当時中国の少数民族に伝わっていたものだそうです。段成式はさまざまな本の中から(または見聞から)、この話を見つけ、書き留めておいたのですね。

この物語には魔法使いは出てきませんが、「望みをかなえる魚の骨」と、「落とした靴」はシンデレラにそっくり。そこで、この話がヨーロッパに伝わって「シンデレラ」になったのだと言う人もいます。

日本にも類似の話があります。室町時代から江戸時代初期(「シンデレラ」より100~200年前)に成立したといわれる『御伽草子(おとぎぞうし)』の中の、「鉢かづき姫」です。

鉢かづき姫の実のお母さんは、自分が死ぬ前に「この鉢がお前を守ってくれるだろう」と言って、娘の頭に鉢をかぶせました。ところがその鉢は頭にぴったりはまって、取れなくなってしまったのです。継母はそんな姫をいじめて、家から追い出してしまいました。姫は川に身を投げて自殺しようとしますが、鉢が水に浮いてしまうので死ぬこともできません。そこである殿様の家に奉公しますが、その家の若様に見初められて結婚を申し込まれます。若様の家族は当然、大反対。ところが、姫の頭から鉢が取れると、顔立ちは美しく教養も高いので、めでたく結婚しましたとさ。

玉の輿のサクセス・ストーリーは、時代や洋の東西を問わず、人々のあこがれなのかもしれません。そして何よりも、心の美しさが大切であることを、教えているようです。


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