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メディアの話その81 電話と時計と服とメディア

iPhoneが、なぜインターネット時代のもっともメジャーなメディア再生装置となったのか。それは「電話」という、昔からある道具をベースにしているからである。「電話をかける」という行為は100年間以上、人類みんながやってきた。だから、「電話をかける」行為、というのを教える必要がない。

アップルのすごいところは、次世代ウォークマンであるiPodと「電話をかける」装置とを合体させたところにある。イヤフォーンをつけて音楽を聞くソニーウォークマンが切り開いた携帯音楽装置の使い方もまた40年の間に世界人類に浸透して、これまた教える必要がない。

手で持った機械で電話をかける。

携帯装置で音楽を聞く。

どちらも人類の文化にインストール済みの行為だ。

だからこそ、iPhoneは「利用マニュアル」も使い方指南もなしに、瞬時に浸透した。

これ、アップルウォッチにも同じことがいえる。「時計を腕に巻く」という行為は200年単位で人類のなかに文化的にインストール済みである。教える必要がない。だから、瞬時にアップルウオッチはこの世で一番売れている時計になった。

科学技術は進歩するけれども、人間という生き物は進化しない。

この当たり前を理解しないと、人類がこれまで使ったことのない道具に新しい技術を乗せて、普及に失敗する羽目になる。

ARやVRがうまく浸透しないのは、おそらくウェラブル装置が、人類の文化にインストールされてないからである。メガネになんとかのっけようとしているけれど、うまくいかないのは、五感感受装置と大脳がつまった頭部に装着する機器が、ちょっとでもおっきかったり、使いにくかったりすると、だれも着用したくなくなるから、だろう。

だとすると、ウェアラブルにもっともできるすでにある機器はなんだろうか。

おそらく「服」だ。

すでに、リーバイスとグーグルがとりくんでいるけれど、「服」とウェラブル、というのは今後いろいろでてくるような気がする。

https://jp.techcrunch.com/2019/10/01/2019-09-30-google-brings-its-jacquard-wearables-tech-to-levis-trucker-jacket/





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