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【無料版】短編小説集

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Twitterで更新している140字小説を短編小説化したものたち。140字小説と合わせてお楽しみください。こちらのマガジンに掲載してある作品は、全て無料となっております。
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記事一覧

『冬の終わりと春の訪れ』#18【完】

≪前へ  ――なんてことを書いてくれたんだ。  読み終わってすぐ、僕は自分の鞄の中から新…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#17

≪前へ 次へ≫  刻一刻と〝終わり〟が近づいてくる。それは私自身を焦らせていた。  彼に…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#16

≪前へ 次へ≫  先輩とはカラオケで21時くらいまで過ごした後に別れた。先輩は、なんだかす…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#15

≪前へ 次へ≫  クリスマスのときに行ったカラオケ店と同じところへ先輩は向かった。  普…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#14

≪前へ 次へ≫  それから数日間の記憶は、正直息苦しかった。  臆病な僕は彼女にLINEで連…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#13

≪前へ 次へ≫ 「……なんで、ですか」  僕の反応に、部長は眉を下げた。  午後1時過ぎ。…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#12

≪前へ 次へ≫  遠山さんとの冬休みは、穏やかな時間の流れる日々だった。  晴れた日は部室に行って今までのようになんでもないような話をして過ごし、雪が降った日には雪だるまを造ったり、雪合戦をしてみた。高校生にもなって、雪が降ったときに毎回はしゃぐというのはなんだか子ども染みているようにも思えたけれど、それはあまり気にならなかった。  それよりも、毎回見られる遠山さんの新しい表情が新鮮で、僕は冬休みの毎日をこれ以上ないくらい満喫していた。  そうしていたら、気づいた頃には今

『冬の終わりと春の訪れ』#11

≪前へ 次へ≫  次の日は、僕の期待通りに雪が積もった。 『学校の時計台の下に11時、とか…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#10

≪前へ 次へ≫  画面に曲名が表示される。葵先輩がわくわくとした様子で遠山さんにマイクを…

柳川陽向
4年前

『冬の終わりと春の訪れ』#9

≪前へ 次へ≫  クリスマス当日。  待ち合わせ場所である駅前の時計台の下に行くと、既に…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#8

≪前へ 次へ≫ 『刻一刻と〝終わり〟が近づいてくる。それは私自身を焦らせていた。』 『彼…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#7

≪前へ 次へ≫  速水先輩は、僕の言葉に納得したようなしていないような微妙な顔をしていた…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』#6

≪前へ 次へ≫ 『文化祭が終わってから、彼とはほぼ毎日部室で話をする仲になった。それはい…

柳川陽向
4年前
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『冬の終わりと春の訪れ』 #5

≪前へ 次へ≫ 「遠山さんは、いつから物語を書き始めたんですか?」 「中学1年のとき」 「すごい、早いですね。当時書いた作品は賞に応募とかしたんですか?」 「ううん。ウェブで公開はしてたけど、賞に応募とかは無理。そんな実力ないよ」 「ええっ、勿体ない、絶対何かしらの賞狙えますよ」 「そんなこと言うの君くらいだよ……」 「っていうか僕の名前わかってます?」 「……そういえば聞いてない気がする」 「僕も言ってない気がしました。遠山さん僕に興味なさすぎっすね」 「ちょ、そんな言