【15分・2人・声劇台本】最後の手紙

男1:女1

【演じる上で注意点】

注釈:以下は、読まないでください。
 () 描写(読まないでください)
 [] セリフ読み方
【】各場面
A 男性の名前を入れて読んでください
B 女性の名前を入れて読んでください
N ナレーター(推奨で女性を入れています)

【あらすじ】

3年付き合った高校生の2人、彼女は日本、彼氏は海外の大学に行くことに決まった。そんなある日、彼女が彼氏を新宿に呼び出した。彼女は、別れ話を持ちかける。

【台本】

女「ごめん。待った?」
男「いや、大丈夫だよ。俺も今来たところ、どうする?
スタバでも寄る?」
女「んー、寒くないから、そのまま上いかない?」
男「いいけど、話って?」
女「そこでするよ」
(2人は新宿バスタの屋上へ向かって歩き始めた)
男「なら、向かうか。てか、新宿バスタ混んでるね」
女「確かにね、4月の1週目だからいろんな人が行ったり来たりしてるのかもね」
男「お、それより大学来週からじゃない?」
女「うん。入学式があるね」
男「楽しみじゃん!俺も行っていいの?」
女「いや、さすがに家族来るから、来ても会えないし…うん」
男「そっかそっか、了解。俺も8月からアメリカで大学生か~
楽しみだわ」
女「エスカレーター気を付けて、でも凄いよね、海外の大学って」
男「ありがと。そっちは、履修の登録とか全部終わったの?」
女「うん、あとは教科書揃えるだけかな」
男「高校の友達は、どうしてるの?」
女「それは…あ!こないだ部活のメンバーでご飯行ったよ」
男「楽しかった?」
女「…うん」
男「エレベーター来たよ」

(少し沈黙)
女「あー、少し風強いね」
男「まぁその分、誰もいないよ」
女「そうだね。天気いいのに、風が強い…少し寒いかも」
男「で、話って?」
女「その、前に言った顧問の先生覚えてる?」
男「あの、部活の顧問?」
女「うん。……その」
男「[冗談を言うように軽めに] あ、もしかして惚れちゃったとか?」
女「(少し沈黙)」
男「え、まじで?」
女「うん、ごめん」
男「[落胆するように] ま、まじか~…」
女「ほんとごめん」
男「いや、しょーがないよ。すきになっちゃったんだから。いつからなの?」
女「わからない」

男「なら、この前のご飯行った時に、気付いたってこと?」
女「うん、多分。部活でご飯のあと、部長だったから2人きりになって、そこで気づいた」
男「そうだったんか…でも8コも上だよ?」
女「知ってる。」
男「向こうは、K王の院生だっけ?」
女「そう。でも、もうすぐ社会人になる」
男「うん…ごめん…」
(涙目になる男)
女「泣かないで…」
男「[声を震わせて] いや、泣いてない。ちょっと雨が降ってきたかな」
女「ごめん」
男「謝るなって、俺が悪いんだから」
女「違うよ?Aは、何も悪くない」
男「[泣きながら] …いいよ」
女「一番泣かせたくない人を泣かせてる。一番大切な人なの、Aは」
男「[怒りながら] それなら!どうして!」
女「違うの、もう好きって意味が」
男「[怒りながら] どういうこと?もう好きじゃないってこと?」
女「そうじゃないの…その、好きなんだけど、恋愛感情じゃない」
男「[怒りながら] わからない!」
女「多分、家族みたいな好きに似てる」
男「待って待って、意味がわからないんだけど」
女「うまく説明できない。」
男「なんで…俺じゃダメなんだよ」
女「わからない。まだ、好きかもしれないけど、もう恋じゃない」
男「そうなんだね…だから!だから…言ったじゃん。声荒げてごめん」
女「いいよ。そうなるよね」
男「うん。合宿の時に2人の写真見て、こいつはロリコンだからって言ったじゃん」
女「うん」
男「それでも、好きってことなの?ただ、若いJKが好きなだけかもしれないよ?」
女「違う。そんな人じゃない。」
男「わからないだろ!」
女「[強く反論] 知ってるもん!そんなこと言わないで!」
男「なんだよ、急に。」
女「知らないでしょ、Aは彼のこと。」
男「当たり前だろ」
女「中1のころから知ってるもん…もう…6年も知ってる」
男「待って、ずっとそいつが好きだったってことじゃないよね?」
女「違う…3年間はちゃんと好きだったよ?」
男「ごめん。もう信じられないかな…」
女「え…うん。だよね」

男「ならさ、1つお願いがある」
女「なに?なんでも言って」
男「そいつに告白してみないか?」
女「え、なんで?」
男「頭がおかしい事言ってるのはわかってる。でも、それで彼も同じ気持ちなら諦めがつく」
女「でも、別に―—」
男「いや、頼む。会う約束してるんだろ?」
女「何で知ってるの?」
男「3年も付き合ったんだぞ?ある程度はわかる」
女「わかった」
男「最後に、たい焼きでも食べに行かないか?」
女「代々木駅前の?」
男「そう」
女「いいよ」
男「風も強いし、もう降りようか」

N女「3日後、Bは部活の顧問とご飯に出かけた。その日の夜に、Aと約束の電話をしていた。」
男「もしもし?」
女「もしもし?」
男「どうだった?ご飯」
女「悪くなかったよ」
男「何食べたの?」
女「居酒屋行ったよ」
男「酒飲んだの?」
女「少しね」
男「なんだよ、そんなことするやつじゃなかったのに」
女「もう大学生だよ?」
男「だから?違法だろ」
女「うるさい!わからないんだよ、まだ大学生になってないAには」
男「そうかい。それで、告白はうまくいったのかよ」
女「…しなかった」
男「え?」
女「というより、できなかった」
男「なんで?」
女「それが…向こうから言われた」
男「なにを?…もしかして、向こうから告ってきたの?」
女「うん…そう」
男「[鼻で笑う] ふっ…答えは簡単だな」
女「まだ、答えなかった」
男「なんで?」
女「わからない。でも、…言われた瞬間に、Aのことを思い出したの」
男「は?何それ、意味がわからないよ!」
女「私もわからないよ!」
男「もういい!…切るぞ」
女「切らないで…ねぇ、やっぱり日本に残ってよ」
男「…無理だよ」
女「お願い、やっぱり行ってほしくない!」
男「無理だよ…ごめん」
女「だよね。無理言って…ごめん」
男「いいよ。もう切るね。」
女「うん、でも信じて、ちゃんとAのこと好きだよ」
男「言ってろ。俺はまだ好きだけど、もうわからないから」

N女「8月のある日、Bは成田国際空港の蕎麦屋にいた」
男「おい…なんでここにいるんだよ」
女「ごめん。やっぱ、最後に話したくて…」
男「もう、話す事なんてないよ」
女「違うの。[涙目] その、まだ最後に、時間、過ごしたいの…お願い」
男「わかったよ…しゃーない、泣くな」
女「うん…とりあえず、何か頼む?」
男「俺はいつものでいいよ」
女「天そば、冷たいやつ?」
男「さすが、わかってるじゃん。そっちは?」
女「[少し笑って] でしょ?3年だもんっ!」
男「その顔…いや、なんでもない。で、あったかいやつでいいの?」
女「うん」
男「このタブレットで頼むか。てか、よくわかったな、この蕎麦屋来るって」
女「よく話してたじゃん?日本最後の日は、蕎麦だって」
男「[笑いながら] 確かに!よく、覚えてるな」
女「だーかーらー…もう、どれだけ一緒にいたと思ってるの?」
男「色々あったよな-」
女「うん。何が一番覚えてる?」
男「んー、文化祭行ったやつもそうだし、記念日とかもそうだけど、手紙かな?一番は」
女「好きだよね。手紙」
男「うん、どんなプレゼントより心がこもってる感じがする」
女「今日も書いてきた…これ」
男「え…今、読んでも?」
女「ダメ!…飛行機で読んで」
男「わかったよ。…ん?なんだこのロボット」
女「ん?あ、蕎麦あるよ」
男「いや、ロボットが蕎麦運ぶとか、未来的すぎるだろ…食うか」

(沈黙)

女「ご馳走様。」
男「いいよ、最後の日本円だし」
女「そうなの?帰ってきて、使えたのに」
男「「帰る」か…。まぁもう行くよ、ゲートも混んできたし」
女「後ろ姿見るの、怖いから私もう行くね。でも、上から飛行機見ておく」
男「じゃーね」

(沈黙)
女「んー、どの飛行機かわからないなぁ…てか、同じような飛行機多すぎるし」
男「おい」
女「なんか、Aの声も聞こえてきたし…ほんと好きだったんだな」
男「A」
女「やば、名前も呼ばれてる…はぁ~」
男「どこ見てんだよ」
女「え?…(後ろを振り向く)[動揺] なんで、ここにいるの?」
男「いや、その…」
女「[焦るように] 待って!てか、今何時!?飛行機、もう飛ぶよ!何してんのって!」
男「落ち着けって」
女「落ち着けないよ!何してるのって!!!」
男「うるせっ…(キスする)」
女「(キス音)…ね、みんな見てる」
男「大丈夫。やっぱ、日本残る」
女「え…何言ってるの?」
男「手紙、読んだ」
女「え……いつ?」
男「やっぱ、一緒にいたい。」
女「大学は?」
男「いいよ、こっちで浪人して、同じ大学目指す」
女「ほんとに、それでいいの?」
男「うん。やっぱり、好きだよ…
Aとの時間、諦めきれない」
女「うん…でも―――」
男「[遮る] いいから!何も言うなって…大丈夫。これが俺が選んだ道だから」
女「ね?」
男「…なんだよ、手握ってきて」
女「空港の屋上って、風強いね?」
男「ん?そら、そうだろ」
女「もういい」
男「なんで拗ねてんだよ」
女「てか、スーツケースは?」
男「あ!やべっ!」
女「え、まさか…」
男「あ、あれだ」
女「あれって?」
男「あの飛行機に乗ってる…あー」
女「まぁ、私のこと持ち帰って?」


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