【10分・2人・声劇台本】台風の職員室

男1:女1

【演じる上で注意点】

注釈:以下は、読まないでください。
 () 描写(読まないでください)
 [] セリフ読み方
A 男性の名前を入れて読んでください
B 女性の名前を入れて読んでください

【あらすじ】

文化祭前日、生徒の為に買出しに行っていた男A先生は、台風の中帰ってくる。職員室には、その日の戸締り担当である女B先生が待っていた。女B先生は男A先生に戸締りを任せて、家に帰ろうとするが…

【役者】

男・・・独身20代後半。担任を持つ教師。
女・・・独身20代後半。学校に新任してきた教師。

【台本】

男「あーやべっ!雨降ってきた!」
(ガラガラと、男は職員室の扉を開ける)

男「あれ?まだ、いらっしゃったんですか?」
女「あ、A先生。お疲れ様です。今週は私が戸締り担当なので、まだA先生の机にパソコン残ってたので、戸締りするの待ってましたけど…
傘持って行かなかったんですか?」
男「いやーそうなんですよ。まだ、降らないかな?と思って、買い出し行きました」
女「買い出し?」
男「あ、ほら、明日文化祭で必要なものを、3組の子供たちに頼まれましてね」
女「確かに、明日ですもんね。今日は、台風予報があるので、生徒は早帰りでしたもんね」
男「なので、担任の私が…よっこいしょっ!と」
女「重そうですね。何買われたんですか?」
男「基本は、炭酸ジュースとオレンジとか、カフェ用に必要らしくて」

女「あはははは…飲食系のクラスは大変ですね」
男「まぁこれも「アイスルセイト」の為ってやつです」
女「お疲れ様です。」
男「てか、B先生は帰らなくて大丈夫ですか?」
女「あ、今書類作成終わりそうなので、それが終わったら帰りますよ」
男「もし、よかったらなんですけど、僕が戸締りしておきますよ」
女「え!いやいやいや、そんな事頼めないですよ」
男「いや、気にしないでください。台風も来てますし、それこそ電車とまったりしたら、大変ですよ?」
女「そうですよね…そしたら、お任せしていいですか?」
男「はい!もちろんです」

女「すいません。新人で、赴任してきたばかりなのに。」
男「そんなこと、誰も気にしませんよ。特に僕たちは、年が近いわけですし、遠慮は無しです」
女「じゃー…お言葉に甘えさせていただきますね」
男「大丈夫ですよ。そしたら、僕着替えて来るので、カギだけいつものところに、かけておいてください。」
女「わかりました。失礼しますね。」
男「はーい…さて、僕は着替えに行こうかな」

(長い沈黙)
女「あれー電車止まってる?学校戻るか…
(長い沈黙。ガラガラと、扉の開く音)
…ようやく着いた…って、きやぁあ!」
男「うわっ!…って、え?あれ?B先生?」
女「な、な、なんで、何も着てないんですか!」
男「あ、すいません。って、別に下はズボン履いてるじゃないですか!」」
女「あ、あれ?まぁ、とりあえず、着替え終わらしてくださいっ!」

男「B先生?終わりましたよ」
女「もう、なんで職員室で着替えてるんですかっ!?」
男「いや、もう誰もいないので、更衣室まで行くのめんどくさくて。って、それよりなんで帰ってきたんですか?」
女「はぁ…もう。私は、電車が止まってたので、再開するまで仕事の続きしようかと戻ってきました。…クシュンッ!」
男「てか、B先生も傘持って行かなかったんですね」
女「はい…走ればいけるかなって」
男「学校に予備の傘も、全部持っていかれてるみたいですね」
女「そうなんですよね。でも、A先生はなんで学生のジャージ着てるんですか?」
男「服がなかったので、倉庫に眠ってた大きめのやつ借りました。」
女「そしたら、私もそれ借りようかな。どこですか?」
男「あ、あの棚に入ってますよ。教頭先生の机の奥にある」
女「これですか?」
男「あ、それじゃなくて」

女「うわっ!なにこれ…なんで髪の毛が」
男「大丈夫ですか?…って、これ、もしかして」
女「知ってるんですか?」
男「これ、1つ前の教頭のカツラだ」
女「え、なんでこんなところに。前の教頭先生のカツラ…びっくりしたぁ」
男「まぁその人が今の校長先生なんですけどね」
女「ええええ!」
男「これは、多分隠してたんでしょうね……その棚、誰も使わないから、僕は開けたことないですし」
女「はぁ…で、ジャージはこっちの棚ですか?」
男「そうですね。サイズ何ですか?僕取りますよ」
女「Mサイズです。」
男「どれどれ…あー、これもうLサイズか、XLしかないですね。」
女「予備だからですかね、Lサイズください。」
男「はい、どうぞ。」
女「それじゃ、わ・た・し・は!更衣室行ってきます。」
男「そんな、強く言わなくても…」

(B先生、職員室に戻ってくる)
女「天気どうですか?」
男「あ、着替え終わりましたか」
女「……なに、ジロジロ見てるんですか」
男「あ、いや、すいません。なんか、その…———」
女「幼い、って言いたいんですか?」
男「あ…はい」
女「怒りますよ?」
男「いや、本当は違くて、その中学の友達に似てるなぁと思って」
女「へぇ、中学ここだったんですか?」
男「全然違うんですけど、ここのジャージと似てるんですよね」
女「そうなんですね。A先生ってどんな中学生だったんですか?」
男「んー、よくいう陰キャってやつでしたね。ゲームオタクの」
女「ゲームするんですね。なんかサッカー部の顧問されてるから、
てっきり?超元気少年だと思ってましたよ」
男「いやいや、サッカーは大学の時にサークルで始めただけで、高校までは超陰キャでしたよ
それこそ、B先生は?」

女「私は、無理して陽キャ装ってましたよ。当時、憧れ?っていうか、好きな先生の注意引きたくて、ギャルみたいなことしてました」
男「すげぇ…僕の知らない世界ですね」
女「無理してましたよ」
男「そうなんですか?なんか僕のクラスのギャル達は、楽しそうに見えましたけどね」
女「あの世代の女の子は、背伸びしたがるんですよ」
男「そういうもんなんですね」
女「ところで、どこの学校に行かれてたんですか?」
男「言っても、わからないと思いますよ。地元、関東じゃないですし」
女「私も、関東じゃないですよ?私、地元広島なので」
男「え?広島なんですか?そしたら、僕と一緒じゃないですか」
女「そうなんですか?何市ですか?」
男「江田島えたしま市です」
女「え!!!もしかして、江田島中学校だったり…します?」

男「あーはい、そうですけど、もしかして?」
女「はい、私もです。」
男「待って待って、今何歳でしたっけ?」
女「27ですけど」
男「てことは、僕たち同じ日に卒業してます」
女「ええええ!」
男「はい。その証拠に、あのサムケン知ってますよね?」
女「あの寒いおやじギャグしか言わない健太先生でしょ?」
男「僕、そのクラスです」
女「てことは、隣のクラスにいたわよ、私」
男「隣っていうと…えーっと」
女「モモヒキよ」
男「あ!百福モモフク先生のクラスだったんですね…てことは、あのいつも廊下にいたギャルって、B先生ですか?」

女「あー廊下にたむろってたわ」
男「その廊下の一番近い席にいたの、僕ですよ」
女「んー…ちょっとわかないんわ」
男「まぁそうですよね」
女「でも、なんか同郷?っていうか、同級生がいるのは、心強いかも」
男「そんな助けになれないかもしれないですけど、なんかあったらこれからも言ってください」
女「はい。ありがとうございます。」
男「あ、少し雨弱まってきましたね」
女「台風の目ですかね」
男「そしたら、帰りますかね…このダサいジャージで」
女「(軽く笑う)変な風に思われますかね?」
男「たぶん?でも今は、みんな家にこもってますよ」
女「そしたら、大丈夫ですかね?」
男「あのー、もしよかったらなんですけど、僕の家で雨宿りしていきます?」
女「…いや、え?」

(沈黙)
男「あ!いや、そんな変な意味じゃなくて、広島の実家から広島饅頭とはっさく大福あるので、食べていきません?」
女「え!それ久々に食べたいかも…お邪魔していいですか?」
男「はい。もちろんです。」
女「じゃ、カギ閉めますね」
男「僕、玄関で傘もう1回探してみます。」


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