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解題 (LXX)出エジプト記7章18節


70人訳のギリシャ語本文は以下。

καὶ οἱ ἰχθύες οἱ ἐν τῷ ποταμῷ τελευτήσουσιν, καὶ ἐποζέσει ὁ ποταμός, καὶ οὐ δυνήσονται οἱ Αἰγύπτιοι πιεῖν ὕδωρ ἀπὸ τοῦ ποταμοῦ.(Exo. 7:18)

上に使われる単語は、1つを除いて全て新約聖書の本文に現れる単語になっている。まずは、最初の節。καὶ οἱ ἰχθύες οἱ ἐν τῷ ποταμῷ τελευτήσουσιν,は非常に単純な構文になっている。主語はοἱ ἰχθύες οἱ ἐν τῷ ποταμῷで、τελευτήσουσινが定動詞になっている。言ってみればS+Vの構造。主語は、名詞+修飾語の形になっており、ἰχθύεςは男性名詞ἰχθύς(魚)の複数主格つまり魚たちは~、それを修飾する語はἐν τῷ ποταμῷ。ἐνは前置詞で~中にを表す。τῷ ποταμῷは男性名詞ποταμός(川)の単数与格。(ἐνは与格支配)つまり、川の中の魚たちは~となる。さて、定動詞。τελευτήσουσινは動詞τελευτάω(達する、完成する、死ぬ)の直説法能動態未来形3人称複数形。つまり、川の中の魚たちは死ぬだろう。という意味になる。

2番目の節はκαὶ ἐποζέσει ὁ ποταμός,ここも単純な構文となり、V+Sの形になっている。主語はὁ ποταμόςで、川は~。ちなみにこの川はどこにも記述はないが、ナイル川を指している。定動詞はἐποζέσειだが、この動詞はἐπόζω(臭くなる)の直説法能動態未来形3人称単数ということで、そして川は臭くなるだろう。となる。

3番目の節はκαὶ οὐ δυνήσονται οἱ Αἰγύπτιοι πιεῖν ὕδωρ ἀπὸ τοῦ ποταμοῦ.ここの構文はV+S+Oとなるが、動詞δυνήσονταιの前に副詞οὐがあるので否定形になっている。この節の主語はοἱ Αἰγύπτιοιは男性名詞Αἰγύπτιος(エジプト人)の複数形主格でエジプト人たちは~となる。さて動詞δυνήσονταιは動詞δύναμαι(~できる)の直説法中動態未来形3人称複数。この動詞は能動態の形がない能動態欠如動詞(デポーネント)。また、動詞の不定詞を伴い~できるとなる。不定詞となっているのは、πιεῖνでこれは動詞πίνω(飲む)の能動態現在不定詞。もちろん目的語が必要で、それがὕδωρ ἀπὸ τοῦ ποταμοῦ。ὕδωρ(水)は中性名詞で第三変化名詞で、主格と対格が同じ形でここは対格。ἀπὸは~からのを示す属格支配の前置詞だから、川からの水を飲むことができないとなり、エジプト人たちは川からの水を飲むことができなくなるであろう、との神からの予言の言葉となる。


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