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夜の魔法

11/27/2016
そういえば友だちと飲むときは、バカバカしい話しかしない。
本当にくだらない話ばかりで、次の日の朝に、夜の魔法が解けたら、どうしておもしろかったのか、まったく理由がわからないことが多い。それくらい、くだらなくて、愛おしくて、バカバカしい。

昨晩もダラダラと飲んでいたら、L字カウンターの奥にいた友人がじいっとモニターを見ている。まばたきすらしない。
「ねえ、恭ちゃん。なんであの人たちは、いい大人なのにキャミソールを着て走り回ってるの?」
パブのモニターにはNBAの名場面がエンドレスで流れていた。
不意をつかれた! あはは。そして、そのとぼけたしゃべり方に、思わず笑ってしまった。
「きむくん、バカだなあ! あれ、キャミソールじゃないよ! でも、たしかに変だね。いい大人なのに、ボールをてんてんとつくよりも、持って走ったほうが早いってわかんないんだね」

それからも、いい大人なのに、いい大人なのに、とひとしきり彼らをくさした。ははは、バカなのは僕らさ。

こうやって書いてみても、ほら、やっぱり夜の魔法が解けたらおもしろくない。でも、幸福感は残る。
ビールと音楽が作る夜の魔法。

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