見出し画像

こんな俺がいるからこそ保たれている世界の均衡

“新年に去年を振り返る”という後出し感と手際の悪さを、もはや伝統芸能として捉えている自分に激しく平手打ちをカマしながら、その手で上司に(仮)病のため休ませてくれとメールを連打してゲットした11連休で、一体何を成し遂げたかと問われれば脂肪の蓄積と醸成と腐敗に他ならず、年始から怒涛のアクシデントが続くこの日本の片隅で今、一番クズとして輝いているのがこの俺だという事実に率先して気を失いたくなる。

しかし同時に、こんな俺がいるからこそ保たれている世界の均衡なのでは?と都合のいい声(CV:津田健次郎)が脳内に響き渡り俺を癒すので、母の憂いが消えることもしばらくはないのだろう。

死ぬまで親不孝でいいからどうか私より先には死んでくれるなという彼女の言葉を胸に、スローバック2023年末!

【2023年10月】
推しについて後輩と談義する。俺は平素から推し活なるものには一切手を染めておらず(日記で推しと表現する人はいるがあくまで便宜上)、後輩の活動報告を聞くことに終始しているのだが、後輩の推しであるKing Gnuキングヌー:通称ヌーが、控えめに言ってものすごく怖いのだ。
後輩は井口さんというボーカルを推していて、天下の東京芸大・声楽科出身でありながらMステで奇行種歩きで登場したり、Xであらゆる有名人にクソリプを送り続けたり、ステージで突如服を脱いだりと、変態パフォにおいても枚挙にいとまが寸分もない人だ。後輩はその全てを「偉業」として称えており、それはそれでアレやな…という偏差値2くらいの感想しか湧かないけれど、俺が怖いのは彼ではなく、その横で事も無げに歌っている常田さんというリーダーの方だ。彼のファミリーヒストリーも錚々たるもので、一言でいえば芸術一家に生まれたサラブレッド(※ビジュアル爆イケ超陽キャ)なのだ。
元来、才能も容姿も性格も優れている陽キャを目の前にすると、自発的に目を潰して(双方の)存在を消すことで平静を保っている俺ではあるが、ステージで歌う常田さんを初めて見た時、目を潰す前に24時間我慢し続けてようやく解放された膀胱ぼうこうが如く涙が溢れ出し、胸はタッキー社長が24時間ヘッダーにしている溶岩を流されたかの如く熱く溶け出し、手は24時間ケツの下に敷きっぱなしたが如く痺れ、ま〇こは西野カナの全盛期24時間分をまとめた着メロが如く震えあがった。

後輩「それ好きですよね?完全に好きになった人の挙動ですよね?」
やん「違う、好きじゃない!俺がこの方を好きになるなんておこがまし過ぎる!違う!好きじゃない!」
後輩「は?まじでそれ、どういう感情すか?」
やん「か、簡潔に言えば好きより…怖いって感覚やな…」
後輩「あ~好きすぎて怖い、ね…」
やん「違う!好きじゃない!い、いふ、そう、畏怖の念や!」
後輩「あ~先輩リアコ(※芸能人を本気で好きなる人)なんすね、多分。で、傷つきたくないから怖いと言って遠ざける、と」
やん「な!違う!好きじゃない!怖いんや!好きじゃなっ…ちがっ…」

めちゃくちゃ好きや。それはそれは好きや。どうしようもないくらい好きや。
秒で彼女の有無検索して、すぐにヒットしたその彼女もキレイで可愛くてお似合いで、やっぱり完璧には完璧が引き寄せられるんやってパンツ…ではなく枕を濡らしまくった。
辛すぎて“しばらくヌー禁止で会話してくれ、1ヌー1万な”と懇願するくらい、俺は生粋のリアコやった。

後輩「大丈夫すよ、そうやって10数年前、鈴木亮平の時も耐え抜いたじゃないすか」
やん「そうやな、もうそんな経つんやな、しかも結婚してさらに魅力増したしな」
後輩「ですです。所詮出会える可能性なんてドリームジャンボだし、仮に出会えて結婚したとして、そっから先は日常っすから」
やん「たしかにな…この昂りはこの距離感でこそ味わえるんやもんな」
後輩「そうすよ!距離が近いってことはそれだけ粗が見えるし、現実と向き合ってかなきゃいけないってことすから。夢なんて見れないっすよ。」
やん「夢、かぁ。夢、大事やんなぁ。」
後輩「大事っすよ。それで生き長らえてるようなもんなんで、私。逆に言えば、好きで好きでしょうがない、興奮して夜も眠れない人と24時間365日一緒にいれますか?疲れませんか?嫌われる恐怖わき続けませんか?耐えられますか?てことっす」
やん「無理っす(即答)」

結局その後も常田さんを推すことはなかったものの、推すなんて言葉がおこがましいくらいには畏怖の念を抱いているので、“それが推しているということだ”と何度後輩に指摘されようが、俺は一生常田さんいとしいしとが怖いし、めちゃくちゃ好きで、それはそれは好きで、どうしようもないくらい好きなんやと思う。

【2023年11月】
会社から人間ドック実施のお知らせが回ってきた。
2月に自費(※母の)で受けたばかりではあるが、これを逃せば1年先まで会社負担で受けられない。どうせ母の金で受けられるし…なんてことは微塵も思わず(※信じてほしい)、やれるうちにやらねばと早速申し込んだ。

人間ドックで何より辛いのは胃カメラでも採血でもなく、検便だ。
俺は生来自分の便が見られない性質で、毎年号泣しながら己の亡骸をすくって献上している。何がそこまで嫌なのか、俺を辛くさせるのかは藪の中、先月の“ヌーにリアコ事件”同様、傷つくのが怖いから遠ざけているのかもしれないが、決して“便にリアコ”という事ではないのでお間違えなきようお願いしたい。

2日分の便を採取してジップロック3袋を重ねて密封。朝8時から健診スタートのため、久々に満員電車に揺られて病院へ向かった。以前は吐き気が止まらず一駅ごとに降りることもままあったが、俺の鞄には便が入っている!しかも2日分!どうだお前ら見てみろ俺の便だ!便だぞ!今日の俺にはこの便が付いてるんだぞ!と謎に無敵の人になってしまい、ものすごく心強かった。

到着後、検査着に着替えたらば内科から受診する。身長体重・視力聴力・採血X線。ベルトコンベアに載せられたエコノミックアニマルたちは誰一人音を立てることなく粛々と検査を巡回していた。あとは胃カメラが終わればこのコンベアも終了、午後からはエコノミックなアニマルとして業務にジョインな現実がそれぞれに待っている。

今回ドックを予約する際、10月にも関わらず、“年末までの予約枠があと一つしか空いていない、しかも胃カメラが経口になるが大丈夫か”と問われたが拒否権など全くなかったし、言うて経口も経鼻もそんなに変わらんだろうと高を括って本番に臨んだのだった。

目の前にある二つの部屋はどちらも胃カメラ検査専用ルームのようで、その両方から年配の男性の断末魔がドルビーサラウンドかここは!と突っ込みたくなる音量と迫力で聞こえてくるのは何故か。2月に初めて胃カメラをした時は経鼻胃カメラ検査だったため、鼻にも喉にも麻酔、おまけに静脈麻酔まで施してもらい、至れり尽くせりだった。にもかかわらず俺は、やれ麻酔の効きが弱いだ部屋が寒いだなんだと文句ばかりを並べ立てる嫌な患者のまま帰路に就いたのであった。あの時、断末魔をあげている者など一人もいなかったはずだ。どうしたことだ。もしや経口と経鼻には雲泥の差が…!!!と気付いた時にはすでに遅し、喉に麻酔をほんの少しかけただけで、ベッドに横向きで寝てくださいと看護師に促されたのだ。

医師あくま「はいこれ口にはさんでー」

有無を言わさずプラスチックの丸い筒を俺の口に挟み込む医師おに。何のサインも出さないまま突っ込まれる胃カメラ。当然出る嗚咽。涙。唾液。鼻水。えずく俺をガン無視でカメラをグイングインさせる医師ひとでなし。胃の中で旋回する胃カメラが最高に気持ち悪い。せめてあとどれぐらいで終わるかとか、頑張れとか、大丈夫かとか、きれいなヒダですねとか、きっと心もきれいなんでしょうねとか、そんな一言で少しは慰められたであろう諸々が全て砕け散って、何度も何度もえずいて、とめどなく溢れる涙とともに、この数分で形成された医師じゅれいへの憎悪たるや今年一、ようやく引っこ抜かれた胃カメラで殴って罵声を浴びせたるでぃ!と憤懣やるかたなく、よっしゃまじで抗議カマす!と血管を切ろうとしたら喉にかけた麻酔のせいで声が全然出ず。

さては医師ようかい、このために先に麻酔かけやがったなぁぁぁ!!!くそぉぉぉ!!!

初体験で優しくされたから、皆が優しいと思っていた俺が世間知らずだった。ただ穴があるから突っ込んだと平気で言う乱暴なヤツだってこの世にはいるのだ。優しくしてもらえることを当たり前だと思っちゃいけねぇ。Ah…人生という旅にでた俺たちには後戻りはない…いつの日にかあの睡蓮の花のように今まで流した涙の泉の上咲かせ…そう湘南乃風を吹かせながら、「二度と経口胃カメラはしねぇ!!!濡れたまんまでイッちゃって!!!」と目に映る全てのものに誓い散らした霜月であった。

一旦CMで~す!(※訳:12月分は書ききれなかったため次回です)



この記事が参加している募集

私の推しキャラ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?