いい肉は塩だけで旨いが、腐肉はパールやダイヤを添えないとお口に運んでもらえない、だから今夜もアタシは着飾るの…と卑下る友がいたので、ネオン眩しい新宿三丁目交差点でつい、声を荒げてしまった。
「いいかいよくお聞き！そのパールやダイヤは装飾でなく凶器として使うんだよ！そもそも捕食者は君だ！ほんとは飾る必要すらない！それでも不安なら鈍器をひとつ、かばんに忍ばせておけばいいっ！」
本当は襟首を掴んで喝を入れたいところだったがオフショル着用のため断念、代わりに脇を掴んで四方へ揺らしたら思いのほか彼女が笑いすぎて、さっき飲み殺したタピオカが口から爆誕するというアメイジングに見舞われた、死者蘇生！
地面に散らばったタピオカがパールに負けじと輝く。
“じゃあこれも装飾じゃなくて、凶器として使わなきゃだね？”
そう言って唾液まみれのタピオカを拾う彼女の笑顔が、一番の装飾であり凶器なのだ。