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iPhoneで渓流の中を撮ってみた

※この記事はiPhone11を使った撮影記になります

僕の職場であるトヨタ白川郷自然學校は、白川村の中心から少し離れた山間にあるので、自前の井戸ポンプと水道設備を持っています。
水道をひねると井戸水が出てくるのですが、これがとても綺麗な水で、正直、売っているミネラルウォーターと違いがわかりません。

そんな自然學校は白谷・馬狩谷という2本の川に挟まれています。
以前、iPhone先端のカメラ部分だけを水中に入れてみたら、結構綺麗に写ったのを思い出して、試しに白谷の水中を撮影してみました。

水が綺麗な土地だとは思っていたものの、ここまで透明度が高いとは思いませんでした。よく見ると幼いイワナも泳いでいます。
何度か訪れる内に、運よく成魚の姿も撮ることができました。

ニッコウイワナの♀。
錆色の婚姻色も出ています。


撮影時期は11月初旬。
SNSで見て下さった自然写真家の先生によると、産卵行動が見れるかも、とのこと!
これは面白くなってきました。できるなら生態を観察したいところです。


しかし、僕が手持ちでスマートフォンを水中に差し込むやり方では魚に思いっきり警戒されてしまいますし、いくら防水性能の高いiPhoneといっても、流水に長時間漬けておくのは危険です。
さて、どうしたものか…。


まずは、シンプルにスマートフォン用の防水ケースを試してみました。

造りは悪くなく、自宅の風呂場で実験したときは、使えるかなと思ったのですが、冷水につけるとケース内部の空気との温度差で曇ってしまいました。
素材的に傷や汚れも付きやすいので、川の中で使いこむには向いてなさそうです。残念ながら没。

次に試してみたのは、職場にCASIOさんが寄付してくださった、EX-FR100l。

これは大変に面白いカメラで、コントローラー兼モニターパーツと、カメラパーツが分離してBluetoothで無線コントロールできます。

アクセサリを使うと有線での水中撮影ができますが、長さが足りなかったので延長ケーブルを購入。遠隔撮影が可能になりました。
これで試してみたところ、無事に撮影成功。よし。

結構クリアーに撮れていますし、様子はバッチリわかります。


さて、撮影自体はできるようになりましたが、まだ重大な課題があります。
それは撮影時間が短いこと。
今回の目標はイワナの産卵行動撮影ですが、このカメラは起動して30~40分しか録画できないので、これでは少々チャンスが少ないです。

淵の中で、イワナがどこに執着しているかを調べる必要もあるので、水中カメラはそのまま調査用に運用するとして、別途長時間撮影できる方法が欲しいところです。


ここで、なぜ水中撮影の時間が限られるのか考えてみましょう。
それはカメラの気密性と引き換えに給電ができないからです。
どうにかして、機材を水につけずに給電する方法がないか…。
と考えていたところ、閃きました。
あるじゃないですか、空気中から水の中を覗く方法が。

そう、箱メガネ方式です。
天面が開いている透明なケースにスマートフォンを入れる方式ならば、いけるのではないか?

いても立ってもいられずに、仕事が終わった後に高山市の100均へ走り、閉店間際のお店で、試作機のパーツをそろえました。

安っぽい見た目ですが

小物入れと、簡易スマホ用三脚で作った220円の箱眼鏡。
これを使って、どんな絵が撮れるのでしょうか。

岩陰にいたイワナ

おお。
容器の深さが足りないせいで使いづらいですが、光学系が110円にしてはよく撮れています。
しっかりした材料で作れば、この方式で大丈夫そうです。

満を持して完成したのがこちら。

完成~✨

結構かっこよくて気に入っています(笑)
ガラスを使っているので扱いに気を遣いますが、画質はかなりよいものができました。

この中にiPhoneを立てかけて、動画を撮りっぱなしにして放置します。
実験してみて驚いたのですが、なんとiPhoneは動画を数時間廻しっぱなしにしても、処理落ちもヒートアップもなく淡々と動画を撮影してくれることがわかりました。これは頼りになる相棒です。
野生動物の観察では、人間が近くにいては自然な行動は見せてもらえないものです。
ここはiPhoneに任せてしまいましょう。

ニッコウイワナの大きなオス。
近くに来ることがわかっていれば、こんなに鮮明に写せます。
リラックスした様子で泳いできたイワナたち

動画のリンクが見づらいので静止画で切り出しましたが、見違えるほど画質がよくなりました!
これで道具ができたので、さぁ写るだろうか…と期待しましたが、残念ながら、撮りたかった産卵シーズンは終わってしまいました。

しかし、別のちょっと貴重なシーンが撮影できたので、よかったら見てください。


このカワネズミは、陸上と水中を行き来しながら生活していますが、センサーカメラでも中々写すことができません。このシーンは、朝から7時間くらい動画を回していた日に写っていたので、この撮影方法だったからこそ撮れたシーンかもしれないですね。


今回は、目標達成はできなかったものの、撮影機材としてのiPhoneの素晴らしいポテンシャルを知ることができ、大変有意義なフィールドワークになりました。
この光学性能と動画処理性能なら、他の光学機器と組み合わせて色々なことができそうです。
また新たな使い方を開発したら記事にしようかなと思います。

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