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※無償公開【スマートフォンゲーム市場㊦】(2018.10.12発表)

※こちらは2018 年10 月12 日発表の調査データです。最新の情報ではない可能性がありますのでご了承ください。

目次

#【スマートフォンゲーム市場㊤】
・市場定義/市場構造
・スマートフォンゲームの比較 by「X ビジネスエンジン」
・市場規模

#【スマートフォンゲーム市場㊦】
・主要事業者の動向
・主要事業者詳細個票①(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)
・主要事業者詳細個票②(グリー)
・主要事業者詳細個票③(ディー・エヌ・エー)
・関連事業者詳細個票①(NHN PlayArt)
・関連事業者簡易個票②(NHN ハンゲーム)
・関連事業者簡易個票③(エヌ・シー・ジャパン)
・関連事業者簡易個票④(ゲームオン)
・関連事業者簡易個票⑤(ネクソン)

≪主要事業者の動向≫

ガンホー・オンライン・エンターテイメント:


 1998 年にインターネットオークション事業を目的とし、ソフトバンク社と米国企業のオンセール社との合弁会社として設立、現商号となった2002 年より主な事業内容をオンラインゲームサービス事業へと変更し、PC オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」の提供を開始した。
 スマートフォン向けコンテンツでは、2011 年11 月にアクションパズルRPG「ケリ姫クエスト」の提供を開始し、2012 年2 月には同社の主要コンテンツとなる「パズル&ドラゴン」をリリースしている。
 2017 年12 月期の業績(連結)は、売上高92,306 百万円(前期比17.9%減)、営業利益34,384 百万円(同25.4%減)、経常利益34,351 百万円(同25.5%減)、当期純利益22,397 百万円(同19.8%減)の減収減益であった。
 主な減収要因は、主力ゲームである「パズドラ」の売上高が減少したためであるが、既存ゲームについては、「パズドラ」を長期的に楽しんでもらうことを主眼に、新ダンジョンなどの追加やゲーム内容の改善、他社有名キャラクターとのコラボレーションなど、継続的なアップデートやイベントを実施した。その結果、2017 年11 月に国内累計4,700万ダウンロードを突破した。

ディー・エヌ・エー:


 フィーチャーフォン向けとなるソーシャルネットワークを利用したプラットフォームゲーム事業「Mobage」の開発・運営と、スマートフォン向けゲームを開発・運営している。1999 年3 月にインターネットオークション事業からスタートし、2004 年にいち早くモバイルインターネットに舵を切り、モバイル端末に特化したオークションサイト「モバオク」を提供開始している。2006 年からはソーシャルゲームビジネスモデルの原型となるモバイルSNS 事業を展開し、同年2 月に携帯電話向けの総合ポータルサイト「モバゲータウン(現:Mobage)」を開設した。
 2010 年1 月には、外部のゲームディベロッパーにもプラットフォームをオープン化したことによりソーシャルゲーム事業が一気に拡大し、2013 年からスマートフォン向けアプリ市場へ本格参入した。
 2018 年3 月期の業績(連結)は、売上収益1,393 億90 百万円(前期比3.1%減)、営業利益27,503 百万円(同18.7%増)、当期利益229 億81 百万円(同25.4%減)であった。
 同社グループは、ゲーム事業、EC 事業、スポーツ事業、新規事業・その他の4 部門で構成されているが、売上収益は、スポーツ事業では増加したものの、それ以外の事業では減少となった。
 ゲーム事業においては、売上収益が979 億70 百万円(前期比3.4%減)、セグメント利益が251 億17 百万円(同12.2%減)であった。国内のブラウザタイトルにおけるユーザー消費額が前期より減少したものの、グローバルでのアプリタイトルにおけるユーザー消費額は、国内既存タイトルの堅調な推移や、任天堂㈱との協業タイトルの貢献などにより、前期から増加した。一方、費用面では、アプリタイトルの運用体制強化などに伴い、販売促進費・広告宣伝費や業務委託費が増加した。
 ここ数年、国内のMobage におけるブラウザゲームのMAU(月間アクティブユーザー数)は減少が続いているものの、スマートフォン向けネイティブアプリゲームではタイトル単位でユーザー数が積み上がっている状況である。

グリー:


 2004 年2 月、創業者であり現社長の田中良和氏が個人サイト「GREE」アルファ版のサービスを公開したことに始まる。公開後1 ヶ月間で利用者が1 万人を超え、同年12 月に楽天と共同でグリーを設立した。
 2007 年5 月には、初のモバイルソーシャルゲームとしてリリースした「釣り★スタ」が大ヒットし、その後、「踊り子クリノッペ」「探検ドリランド」などのヒットタイトルを複数リリースしている。
 2010 年6 月には、「GREE」プラットフォームのオープン化を実施した。従来は自社開発ゲームの配信を基本としてきたが、他社ゲームも配信することで一気に業容を拡大させた。また、同年8 月にはスマートフォン向けプラットフォーム「GREE」をリリースしている。
 現在は、自社運営の「GREE」プラットフォーム向けゲームの開発・配信のほか、関連会社で他社IP ゲームやオリジナルネイティブアプリの開発・配信を行っている。
 2018 年6 月期の業績(連結)は、売上高779 億25 百万円(前期比19.2%増)、営業利益94 億21 百万円(同17.8%増)、経常利益103 億17 百万円(同2.8%増)、当期純利益47 億8 百万円(同61.1%減)で6 期ぶりに増収増益となった。
 主な増収要因は、既存モバイルゲームにおける運営強化が奏功したこと、有力パートナーと連携し海外展開が実現したことに加え、新規モバイルゲームを複数本リリースしたことにより、前期に比べてウェブゲームのコイン消費が減少したものの、モバイルゲームの増加が上回り、全体コイン消費が増加した。
 一方、当期純利益の減少要因としては、前期において子会社売却などに伴う特別利益および税効果会計の影響があったためである。

<スマートフォンゲーム市場 詳細個票>

①ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

1.事業概要
●スマホゲーム「パズドラ」を中心に各種オンラインゲームを展開
 同社は、1998 年にインターネットオークション事業を目的とし、ソフトバンク社と米国企業のオンセール社との合弁会社として設立、現商号となった2002 年より主な事業内容をオンラインゲームサービス事業へと変更し、PC オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」の提供を開始した。
 スマートフォン向けコンテンツでは、2011 年11 月にアクションパズルRPG「ケリ姫クエスト」の提供を開始し、2012 年2 月には同社の主要コンテンツとなる「パズル&ドラゴン」をリリースしている。
 代表的なタイトルは、「パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)」のほか、前述したケリ姫クエストの続編として2012 年11 月にリリースした「ケリ姫スイーツ」、2014 年2 月にリリースした戦略ボードロールプレイング(以下、RPG)アプリ「サモンズボード」、2016年3 月リリースのパズドラをテーマにしたGPS を使った探索アプリ「パズドラレーダー」などである。いずれも100 万人単位でのユーザー獲得に成功し、現在までサービスを継続している。RPG とパズル要素やアクションを組み合わせたゲーム開発を得意としており、スマートフォンデバイスに特化した操作性で人気を博している。
 2002 年8 月にPC オンライン事業を創業して以降、PC 向けのNMORPG(多人数同時接続型ロールプレイングゲーム)を主力事業としてきたが、現在ではスマートフォンの普及拡大に伴い、スマートフォン向けのアプリ提供を主力事業としている。提供するゲームは、プラットフォーム上で展開されるブラウザゲームではなく、PC オンラインゲームの開発や運営で培ってきたノウハウを活かしたスマートフォン向けのネイティブアプリの開発に注力している。今までにはなかったユーザーに驚きを与えるようなゲームを提供するとともに、タイトルをリリースした後でもユーザーに支持されるようなゲーム運営を目指している。
 PC オンラインゲームについては、同社グループが企画・開発したPC オンラインゲームの配信・運営を行っており、一般ユーザーから月額利用料またはアイテム課金による利用料を徴収して運営している。なお、配信・運営するオンラインゲームのうち、ライセンス使用許諾を受けたゲームコンテンツに関しては、個別契約に基づき売上金額に対するライセンス使用料の支払いを行っている。
 その他、家庭用ゲーム機向けおよび携帯型ゲーム専用機向けゲームソフトの企画・開発・運営・配信・販売も行っており、ゲームソフトを制作し、卸商社や小売店を通じてユーザーへ販売している。また、家庭用ゲーム機のインターネット接続が可能になったことから、ダウンロード配信によるゲームコンテンツの販売なども行っている。

2.業績概況
●「パズドラ」の売上減などにより2017 年12 月期は減収減益
 2017 年12 月期の業績(連結)は、売上高92,306 百万円(前期比17.9%減)、営業利益34,384 百万円(同25.4%減)、経常利益34,351 百万円(同25.5%減)、当期純利益22,397百万円(同19.8%減)の減収減益であった。
 主な減収要因は、主力ゲームである「パズドラ」の売上高が減少したためであるが、既存ゲームについては、「パズドラ」を長期的に楽しんでもらうことを主眼に、新ダンジョンなどの追加やゲーム内容の改善、他社有名キャラクターとのコラボレーションなど、継続的なアップデートやイベントを実施した。その結果、2017 年11 月に国内累計4,700 万ダウンロードを突破した。
「パズドラレーダー」においては、2017 年10 月にユーザー同士がオンラインで対戦することができる対戦モードを実装し、遊びの幅をさらに広げた。また、2018 年1 月には「パズドラプロジェクト2018」と題し、「パズドラ」シリーズの新たなアニメ、マンガ、玩具に関する展開に加え、「パズドラ」が競技認定タイトルに決定したe-Sports の分野での取り組みを進めている。
一方、新規タイトルにおいては、2018 年2 月にスマートフォン向け新感覚次世代サッカーシミュレーション「カルチョファンタジスタ」のサービスを開始した。さらに、スマートフォン向けカードゲーム「クロノマギア」も2018 年4 月にサービスを開始した。
また、連結子会社のGRAVITY Co.,Ltd. が主にアジア地域へ展開しているスマートフォン向けゲーム「Ragnarok M」も好調に推移した。

3.事業体制・事業戦略
●MAU の維持・拡大を重視
同社はMAU(Monthly Active User:月に1 回以上ゲームにログインしている利用者)を維持し、拡大させることが最も重要であると考えている。長期的なゲームブランドを構築し、収益に貢献するものであると捉え、ゲーム内イベントやキャンペーンなどの各種施策の立案を行っている。また、事業拡大の戦略については、自社オリジナルのキラーコンテンツの確保を最優先している。
2017 年に向けた開発パイプラインは家庭用、スマートフォン向けのほか、VR などの新分野を合わせて11 本であった。
これまでは国内市場を中心としたゲーム開発を行ってきたが、日本配信の後に海外展開を行うと海外への展開に時間を要するだけでなく、地域によって好まれるゲームも様々なため、幅広い地域で受け入れられることは容易ではない。そのため、ゲーム開発の段階から国内だけではなく、グローバルでの配信を見据えたゲーム開発へと方針を転換させている。

●ゲーム提供後もユーザーを飽きさせない仕掛けを継続
同社ではゲーム提供後の運営に力を入れている。ゲーム内容の更新や新規キャラクターの追加などを頻繁に実施しており、ユーザーを飽きさせない工夫を続けている。また、他社の人気ゲームやアニメなどとのコラボレーションやイベントなど多彩な集客策も行っている。さらに、自社のゲーム開発者や公認プレーヤーが他のユーザーとコミュニケーションを取りながらゲームの詳細や攻略方法を紹介する動画なども定期的に配信されており、ユーザーに末永く楽しんでもらうための運営がなされている。
パズドラにおいては、コラボレーションを積極化させた。バンダイナムコゲームスの「太鼓の達人プラス」やスクウェア・エニックスの「クリスタル・ディフェンダーズ」などをはじめ、様々なキャラクターや人気ゲームと連携した。さらに、既存の人気IP となる「ドラゴンボールZ」などとのコラボレーション企画を定期的に組み込むことで絶えずゲームに新鮮味を与える施策も行われている。

●グローバル化の推進
中長期的な成長を維持するため、スマートフォンやPC オンラインゲーム、コンシューマーゲームにおいて、自社による展開または海外パートナーとの連携によるグローバル化を推進している。また、海外展開を強化するため、海外の現地子会社の設立や同社グループの事業に関連性の高い企業との連携およびM&A などを積極的に進めている。
パズドラにおいては、2012 年から米国、韓国でのサービスを開始し、2013 年にはカナダに加え、英国やフランスをはじめとする欧州でも提供している。さらに、2014 年1 月には、香港、台湾でAndroid 端末での提供も開始し、現在では日本をはじめ33 の国と地域で提供している。一方、中国国内においては、2016 年7 月に配信を開始したものの、2017 年3月には撤退している。なお、同社は中国市場を含めたグローバルタイトルの開発を今後も
継続していく方針である。

②グリー株式会社

1.事業概要
●SNS サービス「GREE」の運営およびスマホゲームアプリの開発・運営
  同社は、2004 年2 月、創業者であり現社長の田中良和氏が個人サイト「GREE」アルファ版のサービスを公開したことに始まる。公開後1 ヶ月間で利用者が1 万人を超え、同年12 月に楽天と共同でグリーを設立した。
 2007 年5 月には、初のモバイルソーシャルゲームとしてリリースした「釣り★スタ」が大ヒットし、その後、「踊り子クリノッペ」「探検ドリランド」などのヒットタイトルを複数リリースしている。
 2010 年6 月には、「GREE」プラットフォームのオープン化を実施した。従来は自社開発ゲームの配信を基本としてきたが、他社ゲームも配信することで一気に業容を拡大させた。また、同年8 月にはスマートフォン向けプラットフォーム「GREE」をリリースしている。
 現在は、自社運営の「GREE」プラットフォーム向けゲームの開発・配信のほか、関連会社で他社IP ゲームやオリジナルネイティブアプリの開発・配信を行っている。
 「GREE」は、SNS の基本機能に加え、ソーシャルゲームなどの多様なコンテンツがSNSと密接に連動することにより、ユーザー間のコミュニケーションを中心に据えた様々なエンターテインメント要素を備えている。また、外部デベロッパーからソーシャルゲームを始めとした多様なコンテンツが提供され、ユーザーのアクティビティの活性化ならびに一部有償アイテムなどを通じた収益化にも貢献している。
 一方、ネイティブゲームでは、協業案件をメインに同グループの開発スタジオで開発などが進められ、運営も含めてネイティブゲームにおける様々なノウハウの蓄積を行っている。市場の趨勢がネイティブアプリへと移行したことに伴い、現在ではネイティブゲームの新規タイトル開発を強化している。また最近では、有力パートナーとの協業によるタイトルをさらに強化させる一方で、有力IP を用いた自社の新規タイトル開発にも注力してい
る。

2.業績概況
●モバイルゲームの貢献などにより6 期ぶりに増収増益
2018 年6 月期の業績(連結)は、売上高779 億25 百万円(前期比19.2%増)、営業利益94 億21 百万円(同17.8%増)、経常利益103 億17 百万円(同2.8%増)、当期純利益47 億8 百万円(同61.1%減)で6 期ぶりに増収増益となった。
 主な増収要因は、既存モバイルゲームにおける運営強化が奏功したこと、有力パートナーと連携し海外展開が実現したことに加え、新規モバイルゲームを複数本リリースしたことにより、前期に比べてウェブゲームのコイン消費が減少したものの、モバイルゲームの増加が上回り、全体コイン消費が増加した。
 一方、当期純利益の減少要因としては、前期において子会社売却などに伴う特別利益および税効果の影響があったためである。

3.事業体制・事業戦略
●グループの関連会社との連携や外部企業と提携したゲーム開発
 同社は自社でゲームを開発するとともに、GREE 上にサービスを提供できるGREE プラットフォームを公開し、パートナー企業にもゲームを提供してもらうことで、より多くのユーザー獲得に努めている。
 国内ゲームの開発は、自社のほか「ポケラボ」「Wright Flyer Studios」などの子会社が担当している。その他、ポリゴンマジックとの合弁会社「ジープラ」などの関連開発会社もある。また、スクウェア・エニックスなどの有料ゲームメーカーとの協業タイトルも拡充している。
2018 年8 月には、国内最大手のデジタルアニメーションスタジオを有するアニメ制作会社「ポリゴン・ピクチュアズ」と資本業務提携し、Wright Flyer Studios が開発する3D ゲームや、ライブエンターテインメント事業を担うWright Flyer Live Entertainment が手がけるVTuber をより高品質に、より効率的にマルチチャネル展開するためのコンテンツ共有システム「SC2:Sharing System for Cross-media Content」を共同開発している。

●営業方針とプロモーション活動
 主な販売領域としては、App Store やGoogle Play などのアプリマーケット経由が中心である。子会社のグリーアドバタイジングを通じ、グリーグループのシナジー効果とマーケティングノウハウを活かしたグローバルなプロモーション活動を行っている。
 自社のコンテンツにおいては、末永くファンになってもらうことを重視しながら、定期的なアップデートを通じ、新コンテンツの追加やブラッシュアップを図っている。また、人気IP を持つ有力パートナーと協業して開発したタイトルを拡充し、集客強化を図っている。
 テレビCM は、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの復帰を目的に行っている。現状では継続率も高まり、双方で期待通りの効果が出ている。

●海外展開は国内開発モデルに注力
 ネイティブゲームの海外展開は、これまで国内開発および海外開発モデルの両方を展開してきたが、2017 年7 月に北米にある開発スタジオを閉鎖し、国内タイトルを海外で展開する戦略に切り替えている。今後は国内開発モデルに注力し、日本国内で実績のあるタイトルの海外展開を拡大することで引き続き海外事業の成長を目指していく。
 中国市場については、ジャパンオリジナルでの配信と現地での運用の2 点と考えている。理由は、日本でリリースしたタイトルに忠実であることを中国市場のユーザーは好んでいる傾向があると見られているためである。また、パラメーターのチューニングなどは現地の感覚が重要であり、現地の有力パートナーと連携して運用することが重要であると捉えている。今後も「エンジン×IP×グローバル」戦略により多くのネイティブゲームの海外展
開を進めていく。

③株式会社ディー・エヌ・エー

1.事業概要
●SNS を利用したソーシャルゲームプラットフォーム「Mobage」の運営・開発
 同社は、フィーチャーフォン向けとなるソーシャルネットワークを利用したプラットフォームゲーム事業「Mobage」の開発・運営と、スマートフォン向けゲームを開発・運営している。1999 年3 月にインターネットオークション事業からスタートし、2004 年にいち早くモバイルインターネットに舵を切り、モバイル端末に特化したオークションサイト「モバオク」を提供開始している。2006 年からはソーシャルゲームビジネスモデルの原型となるモバイルSNS 事業を展開し、同年2 月に携帯電話向けの総合ポータルサイト「モバゲータウン(現:Mobage)」を開設した。
 2010 年1 月には、外部のゲームディベロッパーにもプラットフォームをオープン化したことによりソーシャルゲーム事業が一気に拡大し、2013 年からスマートフォン向けアプリ市場へ本格参入した。
 事業の柱である「ゲーム事業」では、1,000 種類以上の高品質ゲーム、ケータイ小説、占い、有名人ブログなどのエンターテインメントから、日記やサークルなどのコミュニティ機能、さらにはニュース、検索、乗換案内などの便利ツールが楽しめるソーシャルゲームプラットフォーム「Mobage」を軸に展開している。2009 年10 月からは、自社でソーシャルゲームの開発に着手、2010 年1 月からはプラットフォームを他社に開放するなど、時代
に合わせた施策によりさらなる成長をみせている。
 2015 年3 月には、任天堂との間でグローバル市場を対象としたスマートフォン向けゲームアプリの共同開発・運営および会員制サービスの共同開発を目的とした業務および資本提携を行い、2016 年12 月にリリースした「スーパーマリオ ラン」といった任天堂のIPを活用したスマートデバイス向けゲームアプリの共同開発・運営や、スマートデバイスと任天堂のゲーム専用機などをつなぐ一体型メンバーズサービス「My Nintendo」の運営基盤を共同開発している。
 取扱商品は、現状では任天堂(ファイアーエムブレム)やスクウェア・エニックス(ファイナルファンタジー)、バンダイナムコエンターテインメント(ワンピース)など、有力企業からの人気IP 提供タイトルや協業タイトルが主力となっている。

2.業績概況
●2018 年3 月期のゲーム事業は海外のユーザー消費額が増加したものの、減収減益に
 2018 年3 月期の業績(連結)は、売上収益1,393 億90 百万円(前期比3.1%減)、営業利益27,503 百万円(同18.7%増)、当期利益229 億81 百万円(同25.4%減)であった。
 同社グループは、ゲーム事業、EC 事業、スポーツ事業、新規事業・その他の4 部門で構成されているが、売上収益は、スポーツ事業では増加したものの、それ以外の事業では減少となった。
ゲーム事業においては、売上収益が979 億70 百万円(前期比3.4%減)、セグメント利益が251 億17 百万円(同12.2%減)であった。国内のブラウザタイトルにおけるユーザー消費額が前期より減少したものの、グローバルでのアプリタイトルにおけるユーザー消費額は、国内既存タイトルの堅調な推移や、任天堂㈱との協業タイトルの貢献などにより、前期から増加した。一方、費用面では、アプリタイトルの運用体制強化などに伴い、販売促
進費・広告宣伝費や業務委託費が増加した。
 ここ数年、国内のMobage におけるブラウザゲームのMAU(月間アクティブユーザー数)は減少が続いているものの、スマートフォン向けネイティブアプリゲームではタイトル単位でユーザー数が積み上がっている状況である。

3.事業体制・事業戦略
●開発・運営体制
 サードパーティーとの協業タイトルをアプリストア向けに提供することで、市場環境の変化への対応を図りつつ、スマートフォン向け自社タイトルを積極的に開発している。内製や協業ともに底堅くIP を活用したタイトルは一定のヒット確率が見込めるため、IP でそれなりの規模感のある作品を継続的に生み出していける体制をとっている。
 協業を進める任天堂との役割分担については、基本的にはお互いの強みを活かすかたちでアプリの共同開発や運営を行っている。これまでのパッケージゲーム開発で実績があるため、フロント開発は主に任天堂が担当し、運営のキモとなるバックエンドの開発、インフラ、分析などは同社が担当している。リリース後は、サーバーの運用などバックエンドの業務割合が大きくなる一方で、ゲームのアップデート、機能改善、イベントなどの運用にフロントエンドの力も欠かせないため、両社が一体となって開発と運用を進めている。
 2017 年以降は、大型化したタイトルや成長見込みのあるタイトルに運営人員を増やし、イベント量やマーケティング上のアクティビティを増強することで、タイトルのさらなる大型化を目指している。

●国内外の営業展開
 国内では、既存有力タイトルのさらなる強化と新規タイトルの投入に継続して取り組んでいる。一方、中国では有力IP を活用したアプリ展開を継続しつつ、欧米圏を含むグローバル市場向けには任天堂との業務・資本提携におけるタイトルをはじめ、外部パートナーとの協業タイトルを主軸に展開している。
 任天堂との提携による収益配分については、メンバーサービス「My Nintendo」については、ベースとなる開発費を徴収、ゲームアプリ開発・運営についてはレベニューシェアをしている。
 また、日本・中国に拠点を持っている強みを活かし、成功タイトルの多地域展開やグローバルでのIP 獲得を進めている。中国市場については、人気アニメなどの有力IP の活用と、高度に現地化した体制を活かした戦略を推進し、継続的に投資している。

●中長期的な経営戦略
 スマートフォンをはじめとする高機能端末の世界的な普及や技術の進化により、モバイル端末向けに続々と新しいインターネットサービスが登場し、モバイルインターネットの事業領域はますます拡大している。そのような環境下で、主力事業であるモバイル向けゲームの事業領域においては、開発・運営で積み上げてきたノウハウを活かしながら、新しいトレンドを作るゲームタイトルを創出することで、グローバルにユーザベースの裾野を拡大し、収益基盤を強化していく方向にある。さらに、これに加え新たな事業の柱の礎を築いていく考えである。これまでもいち早くモバイルインターネットの可能性に着目し、時代のニーズを捉えた事業を次々に立ち上げて成長してきまたが、今後もインターネット、さらにはAI(人工知能)を活用しつつ、サービスの構築力や様々な企業との協業経験などを活かし、ゲーム事業に匹敵するような事業の創出を目指すことで、中長期にわたって持続的に成長する事業ポートフォリオの構築を重要な経営戦略として進めていく。

<スマートフォンゲーム市場 簡易個票>

①NHN PlayArt 株式会社

②NHN ハンゲーム株式会社(旧 NHN PlayArt株式会社)

③エヌ・シー・ジャパン株式会社

④株式会社ゲームオン

⑤株式会社ネクソン

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