見出し画像

28歳で初の正社員になってから這い上がって穏やかなアラフォー生活を獲得するまでをつづってみる vol.3

▼前回までの記事

【前回までのあらすじ】
28歳で初の正社員となりITエンジニアとして働き始め、最初の現場で成果を出したものの会社の事情で次の現場へ異動となった。
そこはカルト宗教まがいの会社だったが、本社から案件を持ち帰るミッションを課された僕は敬虔な信者を演じて教祖社長の信頼を獲得するも、足を引っ張る部下に苦慮する。
それでも何とか策を講じて部隊を整えていった。

【補足①】カルト案件の前に1件短期案件に参加していた(忘れていた)

そういえば新宿案件とカルト案件(C社)の間にひとつ別の案件に参加していたのを忘れていた。新橋での案件で、若手の女の子とスキルが高いおじさんと一緒に入場して、その人から色々と教わる予定だった。

現場はPM(プロジェクトマネージャー)が引いたスケジュールが遅延しまくっていて、というかそもそも最初に引いたスケジュールが無理ゲーで、それを騙し騙しやればやるほど工期が延びていくという炎上現場ではありがちな状況だった

ただ、その案件に入場する背景として大きかったのは「単純に単価が高いから」という会社の利益上の都合だった。(単価というのはエンジニア1人を派遣した時にもらえる報酬のこと)

その現場は金払いが良い反面、その時その時の作業量の過多によってはスパッと契約を切ることで有名な現場で、結局僕と若手の女の子はそのあおりを受けて2ヶ月ほどで退場することになった。そんな短期間だったから、先輩のおじさんから教わるも何もなく、技術的な成長は得られなかった。

【補足②】カルト案件の前に引越しをしていた(忘れていた)

正社員として働き始めて少し経ったタイミングで、ちょっとした事件があった。管理会社からうちに「隣人から『同棲しているのではないか』とクレームが入った」という連絡があった。僕らがいつも賑やかに会話していたので、それに隣人がキレたものと思われる。単身用の住宅でほぼ同棲のような生活をしていたから、指摘されてしまえばぐうの音も出ない。

管理会社もそんなに責め立てる感じではなかったが、「契約上隣人側に立たざるを得ない」というスタンスだった。ひとまず「うるさくしないように気を付けます」ということで手打ちとなった

※ ※ ※

ただその日以降、めちゃめちゃ気にしぃな性格の彼女が度を越して静かになった。普通の会話をするにしてもボソボソ喋るようになってしまった。うちの彼女はそこのバランス感覚が絶望的に欠如している。

それじゃ僕もつまらないし、「じゃあもう同棲可の物件に引っ越そう」と提案した。環境の変化を極端に嫌う彼女は首を縦に振らなかったが、「じゃあ今のままでいいの?」というとそれも嫌だと言った。どっちやねん。

こういう場合は動いてしまえば何とかなると彼女との経験上わかっていたので、僕ひとりで物件探しをしていくつか当たりをつけて、それを元に半ば強引に不動産屋さんに連れて行った

気になった一件目の内見をしたところ、1ルーム12畳という広さにテンションが上がっていたので、僕はここで決めるべきだと踏んで、他の候補の物件はスルーして「この物件に決めちゃおう!」とごり押しで提案して押し切り、そこに引越しが決まった

場所は梶が谷駅という、田園都市線の溝の口駅の隣にあるところで、僕としては中央林間よりも都内寄りで好都合の立地だった。安いスーパーが無いことと全体として店が少ないこと以外はとても過ごしやすい場所で、結果的に引っ越しは大成功だった。

積極的かつ効果的なコミュニケーション手段を活用する

さて、話をカルト案件に戻そう。

チームの社員さんたちは飲みに行くことが好きな人たちで、僕も積極的に連れていってもらったし、強要しない範囲で自然と部下たちも巻き込んでいった。

飲みにケーションの何が良いかというと、シンプルに仲良くなれることはもちろんだが、それ以上に相手の不平不満が自然と聞けるという点が大きかった。そこに寄り添う姿勢を見せられたり、実際に不平不満の種を解消してあげることが出来ればそれが信頼関係の構築に大きく作用するからだ。

※ ※ ※

信頼関係のことでいえば、飲みの時でも仕事中の雑談の時でも、要所要所で僕が使っていたあるワザがあった。それは相手に対して「○○さんは気苦労多いですよねー」といたわりの言葉をかけることだ。

もちろん適当にそれを言っても意味はなく、普段の仕事ぶりや会話からその人がどういう点で気を遣っているかを観察しておいて、それに対してのねぎらいを行うのだ。

そうすると大体の人が「そうなんだよー、わかる?」と言って、その気苦労について自然と語り始める。基本的にはそういう気苦労は解決策がないようなものが多く、そこで働くからには付き合っていかなければならない内容であることが多い。ただ、そういう類のものは、誰かわかってくれる人に話すだけでも気持ちが軽くなるものなのだ。

「この人はそういうとこわかってくれるんだ」と思わせることが出来たら相手はこちらを信頼してくれるようになるので、その後も不平不満をすぐに伝えてくれるようになるし、仕事におけるコミュニケーションも自然と円滑になる。

※ ※ ※

ちなみに僕は人間観察が得意だから割とナチュラルにそういった勘所を掴めたが、それでもより精度を高めるために「チームメンバーの長所・短所リスト」というものを作っていた

週に一度、業後の時間でそのリストの更新を行い続けた。なんとなく作り始めたリストだったが、あれは誰が作っても活用できるものだと思うから、むしろ人間観察が苦手な人ほどそういうのを作るように心掛けてみると良いのかもしれない。

交代要員の参戦と業務改善

パソコンオタクのD君が退職した後、交代要員としてS君が入ってきた。彼は彼で結構ミスが多いし反省できないタイプなので扱いにそこそこ困ったが、D君ほど致命的ではなかったため何とかやっていくことが出来た

ただ彼は昼食後の居眠りが酷かった。午後イチで会議が入ることが多かったのだが、目をひん剝いて寝落ちしていた。かく言う僕も昼食後は猛烈な眠気に襲われていたのだが、彼と僕ではアプローチが大きく違った

S君はただ襲ってくる眠気に抗おうとするだけ(そして毎回負ける)。一方僕は「昼食後は猛烈に眠くなる」という欠点をメンバーに伝えて「万一寝てたらペンを刺しても良いから起こして」とお願いし、食後に必ず缶コーヒーを飲み、午後の始業とともにガムを噛み、それでもどうにもならない時は顔を洗いに行った。

ここで肝心なのは、一つ一つが効果を挙げるかどうかではなく、食後に眠くなるという欠点を克服しようと努力している姿勢を見せることなのだ。そういう姿勢をちゃんと見せても寝てしまう場合はギリ大目に見てもらえたりするが、何の対策も講じずにただ眠気に負けるだけだと「あいつはやる気がない」というジャッジになってしまう。(そういうことの重要性をS君には伝えたのだが、残念ながら彼はくみ取ってくれなかった)

※ ※ ※

ちょっと話が逸れたので引き戻すと、S君もギリギリ戦力になれていたことで、僕は以前よりは自分のタスクに集中することができるようになった。

実はこの現場、うちのメンバーの不出来もさることながら、C社の社員にトラブルメーカーが多くて度々開発本部から怒られていた。作業スピードが異常に遅いおじさんや、日本語力が偏差値50を切るレベルかつ感情的でキレやすい男の子、タスクを自分で増やしてはパニックに陥る女の子などなど、それぞれのメンバーが多様なトラブルを引き起こしていた。

チームがトラブったり混乱する主な要因として、「タスク消化に必要な時間の見積もりの欠如」と「スケジューリングの欠如」があった。だから僕は、自発的にいくつかに分かれているタスクの各工程ごとに実働としてどれだけの時間を要しているかの集計を取ったし、それを元に誰を何日どのタスクに配置するかというスケジュール表を作成した。

勝手に作った資料だったが社員さんに見せたら喜ばれて、正式な資料として本部への報告にも使う資料になった


《vol.4に続く》

もしめちゃめちゃ満足して頂けるようなことがあれば!