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バイオハッキング

2018年当時、すでにアメリカにはさまざまなセンサや器具、電子回路を体内に埋め込み、知覚を鋭敏にしたり、磁気や放射線などを感じ取れるように自分の能力を増強するバイオハッカー集団「グラインドハウス・ウェットウェア」や、彼らに身体改造装置を提供する集団「グラインダー」などが存在した。本書は、彼らがどうして人間拡張にとりつかれているのか。そして彼らの悲願はどのようにしてどこまで達成されているのかを浮き彫りにしていく。
#わたしの本棚 #バイオハッキング

はじめに

本書を読んだ時、体内に異物を埋め込んで身体機能を拡張する集団がいることに衝撃を受けた。

本noteでは、目次だけの記載に留めておきます
なお、「バイオハッキング」の言葉は、本書で使用されている意味合いとは別に「自然療法」的なニュアンスでも使われているようです

バイオハッキング

はじめに

・・・・・・・・・グラインドハウスのメンバーは、婉曲に言えば、標準仕様の人体に備わる知覚装置に不満を抱いている。人間には味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚という五つの感覚が備わっているが、彼らはこれだけでは足りないと思い、この問題を解消すべきと考えている。そのうえ、この五つにもそれぞれ限界がある。人間が動物界のほかの住人たち、例えばコウモリや鳥や昆虫と同じように太陽光の偏光を感知できないのはなぜだろう。サメのように電気を感じることができないのはなぜなのか。下等なシャコでさえ紫外線の波長を検知できるというのに、人間にそれができないのはどうしてなのか。・・・・・

第1部 五感

1.味覚

第六の味を探せーー脂肪の味
表現出来ない味を感知できるかーーカルシウムの味
コク味とうま味、欧米人にとっての難しさ
コク味を味わうには?
コク味と塩麹ーーサンフランシスコの飲食店
発酵の豊かさーーバークレーの漬物店

2.嗅覚

記憶とにおいーーパリの高齢者病棟にて
アルツハイマー病と嗅覚
においが呼び覚ます記憶
アルツハイマー病と嗅覚の喪失
においテストでアルツハイマー病を発見する
記憶と文化
記憶をかぐーーシンガポールで

3.視覚

人工網膜システム、アーガスⅡ
視覚が働く仕組み
人工網膜を移植するーーディーン・ロイド
人工網膜を開発するーーセカンド・サイト社
人工網膜で見るということ

4.聴覚

書き込みと読み出しーー脳の活動を解読する
聴覚は音をどう処理するか
聞いた言葉を再現する
脳をリバースエンジニアリングする
記憶や夢を再現できるか?

5.触覚

手術支援ロボット、ダ・ヴィンチ
触覚と感覚代行
触覚なしでロボット手術をする
手術ロボットをつくる
義肢を脳で動かす

第2部 メタ感覚的知覚

6.時間

一万年時計とロング・ナウ協会
時間を測るニューロンはあるか?
原子時計をつくる
一万年時計の意義

7.痛み

心の痛みと体の痛み
痛みを感じる回路
失恋の痛み
社会的な痛みと身体的な痛みを追体験する
心の痛みと体の痛みはどちらが長く続くか?
なぜ痛みを感じるように進化したのか?
人とのつながりと痛み

8.情動

文化によるソフトなバイオハッキング
情動とは何か?
悲しみと文化
文化による情動の違い
アジアと欧米で情動反応は違うのか?
信頼できる政治家の顔は?

第3部 知覚のハッキング

9.仮想現実

戦争を体験させる仮想現実(VR)
仮想現実で治療する
仮想現実で兵士を訓練する
仮想現実が現実世界に影響をおよぼす
人間でないアバターになる

10.拡張現実

アイボーグ、ロブ・スペンス
ウェアラブルなAR装置
人を幸福にする拡張現実
拡張現実がもたらす問題
なぜカメラアイが必要か?

11.新しい感覚

磁石を埋め込むーーボディーピアス店にて
磁覚を獲得する
自分の体をハッキングするボディーハッカー
磁石インプラントの創始者
隠れた次元を探索するトランスヒューマニスト
自らの手で知覚を拡張する

おわりに

本書刊行から5年の歳月が流れ、技術は急速に進んでいます。
脳に埋め込む電極やセンサは微細化と高性能化が進んでいます。

本書出版から5年経った2023年5月、彼らの知覚はどこまで進化しているのだろうか?

なぜ、アメリカ人は自分を改造しようとし、日本人は外付けの機器で能力を拡張しようとするのだろうか

私は、映画やアニメの文化的な影響が大きいと考えています
アメリカ映画は「シザーハンズ」のように、自分自身を改造する映画が多いです。

一方、日本では「ガンダム」に代表されるモビルスーツなどで能力を拡張する作品が主流です

日本では「バイオハッキング」が話題にならないのは、このような文化的違いがもたらしているのではないでしょうか

海外の方が日本より早く脳と電子回路を接続する人たちが現れるのではないでしょうか

いっぽう、日本のガンダムも負けてはいません
虚構の世界線とはいえ、「ガンドアーム」という人機一体化技術は、「クワイエット・ゼロ」という人体と全宇宙に存在する電子ネットワークが一体となり、人体が全宇宙のコントロールを傘下に収められる可能性を秘めている技術のようですから

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