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3枚の「嫌われカード」を抱きしめて

3枚の「嫌われカード」

タロットカードには3枚の嫌われ者がいる。

大アルカナ(『正義』とか『世界』とか有名なカード)22枚で嫌いなカード選手権を開いたら、間違いなく票はその3枚に集中する。集中した上で票を三分割させて混沌を極めるだろう。

もし大アルカナが高校生で22人のクラスならば、教室の隅でエロゲの話をしている三人に、女性のカード……『女帝』辺りが「キモーい! みんなぁ、あいつら見たら目が腐るからあっち行こう」とか散々な扱いを受けているだろう。

それが、『悪魔』『塔』『死』の三大凶札と呼ばれるカードである

じゃんっ!

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見よ、このまがまがしい雰囲気! 思わずどんよりしてしまっただろう!!!

だいたいの「タロットって怖いじゃーん」って言う人は、この3枚のいずれか、または全部を恐れている場合が多い。

ちなみに私もその一人だった。

当時ご執心だった男の子についてクラスメイトに占ってもらったらペラリ、『死』

「うーん、あきらめた方がいいね」

結局私の恋は実らず、「うっわ、キモいのに好かれたまじ無理」的な扱いを受けて終わった。

そしてタロット占いがトラウマになった。


さて、そんなタロット界の嫌われ者、『悪魔』『塔』『死神』の三大凶札。

実は私、こやつらのことが結構好きだったりする。というか、どうしようもなく大好きで愛おしい

別に、このカードが現れ、依頼主が悲しむ顔を見たいとかそういう趣味はない。だとしたら占い師以前に人間としてヤバすぎる

そうではなく、これらは「こだわりを解いてくれるカード」なのだ。

今回は3枚のカードについて解説し、そこから得た学びも披露していこうと思う。

※今回の記事はカード解釈の一例です。
カードの解釈は状況・読み手によって大きく、それこそ正反対ぐらい変わります。それがタロット占いの楽しいところなのですが、今回は私のリーディングをぜひ楽しんでいってください。


『悪魔』は中島!?~「仕事とかいいから野球しようぜ!」

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人は苦しい時、辛い時ほど「絶対こうしなきゃだめだ」という思い込みに囚われてしまうことがある。

「真面目への縛り」とか「日本教育の呪い」などと表現しても過言ではない。

日本はそうやって「こだわり」や「逃げ道を塞ぐ仕組み」によって視野が狭くなり死んでしまう人は後を絶たない。

そこで、前しか見えなくなっているあなたを助けてくれるカードこそが『悪魔』である。

と、いうのもタロットの悪魔はちょっと間抜けなので、その絵を以てうっかり重大な秘密をバラしてしまっているのだ。

というのも、自分だけ登場するカードならバレようがないのに、ついうっかり堕落してしまった『恋人』のカードのカップルも一緒に登場させてしまっているのだ。

囚われの男女が示すものとは何だろうか。

要するに、このカードは、「何かに異常にこだわっている」こと自体へのサインなのだ

描かれている鎖に囚われている人たち。それは、あなたの思い込みか、周りの洗脳か。恋愛ならば「この人じゃダメ」か。

とにかく、人が「こうしなくては絶対だめだ」と縛り付けられている様子を描いている。

『悪魔』は言う。

「我輩の登場だ! 人間ども、恐れおののくがいい! ……ってあれれ〜? 何でここに縛られた人間がいるのかな〜? ま、我輩は知らんけどな!」

みたいな感じがする。そういうところがこれまた可愛い。いや、良いやつじゃん、お前!

(ま、案外、『悪魔』っぽい人ほど良心があるものだ。そんな知り合いが何人か思い当たる。)

また、『悪魔』のカードはあなたに「ちょっと俺と遊ぼうよー」と囁いてくれることもある。ちょうど、「磯野、野球しようぜ!」的な感じで。

決して休むことは悪いことではない。休んでばかりいることは良く無いことかもしれないが。

むしろ、働いているだけの人生は「あなたらしさ」がどんどん失われていってしまう。

『悪魔』はそんなあなたに「ひひひ、我輩は悪い悪魔だからお前を遊びに誘っちゃうぜ! おい、頑張りすぎだから仕事休んでこっちこい!」とか言っちゃう。

やっぱいいやつじゃん、キミ。

それを指摘すれば、『悪魔』はきっと全力で否定するだろう。かわいい。


改革担当大臣の『塔』~「ちょっとご意見よろしいでしょうか(半ギレ」


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『塔』はもう少し乱暴だ。あなたが囚われている城をぶっ壊すと予言してしまうのだから。

その城というのは、思い込みだったり、環境だったりする。

例えば「できない」という思い込み、職場、環境。

それらに対して、「はい、ここは今から立ち入り禁止です。なぜなら今すぐぶっ壊すからです。3、2、1……」的な感じでぶっ壊してしまう。


しかし、一見離れがたいと固執したそれも、失ってみれば「あ、気のせいかも」ということなんて世の中ザラにある。

逆に、『塔』の未来を予言されたとしても、本当に失いたくないものならば壊さないよう冷静に問題を洗い出してみるきっかけにもなる

その時こそタロット占いによって手伝えることもあるだろう。

大丈夫、運命は変えられる

同じく突然の変化を示す『運命の輪』がいきなり100本の薔薇を差し出してくる彼氏だとしたら、『塔』は会議中に「すみません、ここ改革しましょう」と提案してくる空気の読めないサラリーマン。ちなみにビル解体業者勤務だ。

時に「まじで空気読めよ」というタイミングで言ってくるが、悪いやつではない。そういうことを言う人がいないとプロジェクト(=人間)は変われないままだ

100本の薔薇を差し出されたところで人生は変われど人間が変われる訳がない。

『塔』は、あなたの中から問題を見つけ出し、問題を提起し、リーダーとなってくれるだけなのだ。

そんなカードを無闇に嫌う必要はない。どうか、自分で占った時に塔を見てもまずは一度安心してほしい。

『塔』だってなんだかんだいいやつだ。

プロジェクトを終えた後、崩れ落ちる塔を眺めながら、「あなたは変われますよ」なんてメガネをキラリと上げながら言ってくれるのだろう。多分、メガネを取ったらイケメンだ。あらやだ、素敵。


『死』はひっそりと。~「コイツ無口だけどめっちゃええ奴やねん」

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そして、私が22枚の大アルカナ(※『正義』とか『世界』とかの有名なタロット)で最も信頼を置いているカード、『死』。単純に好きとも言える。

かといって人に「これを待ち受けにしてみようよ」とか言ったら間違いなくサイコパスだと思われるのでやめておくが、とにかく私は『死』のカードが大好きだ

このカードは現代においてとても大切なメッセージを伝えてくれる。

それは当然「○ね」とかではなく、「そろそろステップアップした方がいいんじゃない?」というサインなのだ。

もっと具体的な例を言うと、「その会社にこだわり続けるより、もっといい働き方があるよ」。要するに「転職カード」だ。

不思議と、このカードは「めっちゃ環境を変えたい」と心が叫んでいる人の前に現れることが多い。

友達をはじめて占った時、一発目からこのカードが出た時は背筋が凍った。LINE経由で占ったからまだマシだったが、対面ならきっと場も凍っていた。

ただ、このカードは友達を助ける契機になってくれた。

高校時代の私の前に現れた『死』のカードの意味も今ならわかる。

当時の私は手痛い失恋をしたばかりで、その傷を忘れるために人を好きになろうとしていた。傷を癒すために男の子を好きになろうとしていた。恋に恋をしていただけだった。

そんなのから解放されようよ、と『死』は言いたかったのだろう。でも『死』は無口だ。無口で不器用なのだ。

そんな『死』を愛さない手はない。

できるなら、たとえ世界中のだれが嫌っても、私は『死』を嫌わせない占い師でいたい。


さて、『死』が言いたいことは新しい空気を取り込む。

「こだわり」や「洗脳」状態に陥った人々を人に嫌われながらも優しく救ってくれる。

そんなこのカードを、よければ少しだけ好きになってほしい。



もちろん、これらの解釈はあくまで一例だ。
私のリーディングでも別の解釈を取ることは全然ありえるのだ。
だが、この解釈が存在することはたしかなことである。


「嫌われ者」との付き合い方は


最近、佐々木閑さん著『ネットカルマ』という本をちびちびと読んでいる。
今のネットに巣食うネットリンチ問題などをブッダの教えにあてはめて辛さから解放されるプロセスを説いている。

現代のネット社会では、事件や騒動、発言だけを見て、「その人の全て」とみなし、人格全てを否定していると指摘し、「ネットでの悪評に疑いを持っていく人が増えていく」と予言している。

実際、私も死ぬほど覚えのあることだ。「その意見嫌だなぁ」という人を容赦なくブロックしてしまうことが多い。

ネットの至る所で繰り広げられる終わらない論争だって、お互い問題の断片しか見ておらず、相手を深く知ろうとしていないから争いが止まないのだろう。

それは余りに悲しくはないだろうか。

そういうのは、タロットの表面だけ見て「『死』だ!! やっべ〜〜〜不幸になるじゃん」と言っているのと一緒だ。

78枚のタロットと、それを扱う占い師にあなたの不幸を願うものなどいないというのに。(敢えて言うならメチャクチャいいカードにこそ時折罠が潜んでいる。占い師はそれを見逃さない)


幸せはどこにある

先日、ある占い師さんに鑑定をお願いした時、「どうすれば幸せになれますか?」と人生の迷子もいいところな相談をしてしまった。

しかし、占い師さんは冷静に「インドのある考えでは健康、人を愛すること、勉強です」と教えてくれた。

この記事を通して一番言いたいのは「人を愛すること」。

我欲や、一方的な意見・考えによって運命の人を遠ざけてはいないだろうか。大切にすべき人をないがしろにはしていないだろうか。誰かを攻撃してはいないだろうか。わたしはしている。

しかし、それは自分を確実に幸せから遠ざけていく。


もちろん愛する対象には自分も入っている。自分を愛するためには健康と勉強だ。

そんな私は今日も知り合いに人への愚痴をぶちまけた。
カードも人も、様々な解釈がある。

嫌われ者だからというだけで誰かを嫌えば、「いつか私も嫌われ者になるのでは?」という妄想に閉じ込められてしまうかもしれない。


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