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ドラマ「おかえりモネ」にみる日常

 静かなトーンのドラマです。朝の慌ただしさで、用事をしながら、歩きながら見ていることも多いです。

 従来の朝ドラは、ヒロインが泣いたり笑ったりしながら、立身出世していく内容が多かったと記憶しています。しかし「おかえりモネ」は大変静かなドラマです。時々浅野忠信が酔っ払って暴れますが、その他の登場人物は概ね物静かです。セリフもボソボソと呟くようで、聞き取れない時もあります。

 そもそも一般人の日常生活とは、山あり谷ありではなく、淡々とした日常なのではないでしょうか。

 コロナ禍でのテレビ番組は、コロナの話題で陰鬱か、お手軽に騒々しいものが多いです。寂しがり屋の息子は、テレビをつけっぱなしにしています。主に流しているのは2時間ドラマの再放送です。息子がテレビを見るのは、サッカーの試合と「有吉の壁」「バス旅シリーズ」です。

 音楽を聴く習慣のない私は、ドラマや映画での人の会話が聞こえているのが好きなので、息子が流す2時間ドラマの会話をBGMに暮らしています。そんな生活の中での「おかえりモネ」は申し分のないシナリオなのです。

 今日はモネと両親が宮城と東京で、それぞれの昔の友人たちと語らうシーンが交差していましたが、実にナチュラルに会話が描かれていました。私は思わず、その楽しげな会話に画面を注視しました。

 そしてもう何年も会っていない、私の中学の同級生たちのことを思い出しました。こんなふうに共有した昔を語り合い、笑っていた日のことを思い出しました。

 マスクなしで、ワハハと笑いあっていた頃は、ほんの2年前のことだったのですね。おそらく今日もみんなはそれぞれの場所で、淡々と日常を送っていることでしょう。

 コロナウィルスの感染拡大という未曾有の災害の渦中だからこそ、「おかえりモネ」が生まれたのかもしれません。東北の大震災を経験したモネたちは、時々仲間と、これまでを懐かしみながら、今日も前を向いて生きていく。こうして「おかえりモネ」の青春群像劇が成立したのです。

 私もいつか友だちと再会し、コロナの前の昔を懐かしむ日が来ればいいなぁと思いました。みんな元気で、また会おうね。

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