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【「やぱ好き」創刊までの母子手帳6ーー名刺の点字印刷が完了】

西早稲田にある東京ヘレン・ケラー協会さんのご協力で、名刺に点字を刻印していただきました。皆様もお手持ちの名刺をお持ち込みいただければ、指定の点字を打ってくださいます。今回は150枚を約2週間で仕上げていただきました。価格も100枚当たり1100円とリーズナブルです。

1824年ころに現在の6点点字が完成したそうです

名刺の制作を振り返るだけでも長い道のりでした。

年が明け、長年携わってきた雑誌の制作から離れ、会社を辞めるときに、これまで一緒に仕事をしてきた関係者や多くの先輩編集者に支えられました。
「君がやっていたときの雑誌がいちばん好きだった。だから君が離れたら、もう読めないね」
「お金のことはどうでもいいから、一緒に仕事をしよう。一緒にやれるのが嬉しい」
 なかには、「お前食わせないと仕方ないだろ。〇〇さんに繋ぐから、連絡しろ」と手配してくださった方や実際に仕事を振ってくださった方もいました。短期間で新鮮な学びがありました。

年末のことですが、語学書の編集者の集まりがありました。ベストセラー編集者の大先輩から、「まず名刺をつくりなさい」というアドバイスをいただいたのです。作ろうと思えばすぐに作れたのですが、「目下取り組むべきこと」「将来、それがどう変わるか」を考えていると何時間もの熟考が必要でした。毎日悩み、結果2〜3週間経って、「屋号」「新メディア」の名前は別の方がいいという結論にいたったのです。
・英語以外のメディアを作る可能性
・すでに稼働しているアートを軸とした国際交流活動との連携
複数の柱を持つとなれば、新メディアと屋号の名前は一致させづらい気がしました。


屋号「Gap Education Japan」


アメリカなどでは、高校卒業後にすぐに大学に行かないで1年間ボランティアや旅をして自分のやりたいことを追求する人がいます。「ギャップイヤー」といって、受験に受かった後に、大学側が入学時期を猶予してくれるのです。オバマ米大統領の長女マリアもハーバードに行く前にギャップイヤーを過ごしていました。
 こういうモラトリアム期間は、大人も必要なんじゃないかと切実に思うのです。いったん落ち着いて、学び直したり、新しいことに挑戦したり、あるいはただ寝ているだけでもいい。睡眠がしっかり取れることでしっかりとした判断が初めて可能になります。そんなこんなで、「ギャップ」という言葉を使いたいなと、漠然と、頭の中をよぎっていました。
 そこに、「ハンディキャップの有無による教育格差(education gap)をそのままにできない」という、このプロジェクトの根源的意義を重ねました。重ねたというより、自然と重なっていたんです。
 自ずと、屋号はGap Educationにしようと。gmailのアカウントを取得しようとしたらすでに存在していたので、Japanを付け足しました。


メディア名「やっぱり英語が好き!」


メディアの命名にあたっては、コンセプトの明確化がまず必要でした。「リスニングの能力が上がる」とか「試験の点数がアップする」という実利的な視点ではなく、それ以前のフェーズとして「好きになる」→「楽しむ」という部分の導火線にしたいと思っていたのです。当初は「好き」とか「LOVE」のような言葉が候補にあがっていました。
 英語学習を挫折してしまった人や、身体的な理由や経済的な理由で学習を諦めざるを得なかった人の「それでもやっぱり英語をやりたい」という思いを体現するために「やっぱり」とか「やっぱ」などのイメージが加わり、最終的には「やぱ好き」という略名が可能な「やっぱり英語が好き!」に落ち着いたのです(ロゴデザインのストーリーについては後日あらためます)。

その際、歴代の英語学習誌の名前を振り返ってみたんです。
AERA English
Asahi Weekly
English Zone
English Journal
English AGE
CNN English Express
The Japan Times Alpha
多聴多読
ゼロからスタートEnglish
English Plus
ラジオ英会話

などなど。並べてみると、「英語」か「English」を入れている媒体がほとんどですよね。媒体そのものの名前に「英語」を入れるべきかどうかは悩みどころで、例えば「イギリス英語のシャワーを浴びよう!」のような特集タイトルを表紙に入れると、媒体名にも「英語」があるのに、中身のタイトルにも「英語」を使ってしまうのは、もったいない使い方だよなという考え方も成り立ちます。媒体名から外すことで中身のタイトル名の自由度が広がる可能性も考えましたが、最終的にはやむなく入れました。


全盲の学生のつぶやき


名前が決まった後、運命的な出会いがありました。このプロジェクトの願いについは、当初から多くの方が声をかけてくださったのですが、その一人に都内の大学に通う全盲の学生がいました。その方とtwitterで繋がったあと、タイムラインにどんぴしゃの言葉が流れてきて、脳内に稲妻が走ったのを覚えています。

ああ、この名前にしてよかった、間違いじゃなかったんだ、と。

また名刺作成には、これまで大変お世話になったデザイナーさんから「無償でデザインさせてください」というお言葉をいただき、それに甘えるかたちでとてもかっこいい作品に仕上がりました。泉沢図案室さま、どうもありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。

金色部分はF91(シャンパンゴールド)という特色です

MASANO-RINGO
『日本の論点』編集→記者→英語雑誌編集長→「やっぱり英語が好き!」編集主幹/新宿高校/SILS/Getty Images contributor/国際交流グループPhotowalk Tokyo創設/簿記2級/ニュース検定1級/1985年生まれ
Twitter: @WMasanoringo
YouTube: https://www.youtube.com/@yapasuki

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