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コミュニティとしての演劇 〜僕が演技への挑戦をはじめた理由〜

ついに下北沢演劇祭での公演が来週と迫りました。
ここで、なぜ僕がいま演劇への挑戦を始めたのか書き残しておきたいと思います。

それは大きく2つあります。
ひとつめは僕の半生をざっと振り返り、ふたつめは近年ずっと考えていることをまとめます。

1.くすぶっていた夢

まず第一に、小さなころからずっとやりたかったことだからです。

信号もないど田舎で生まれ育ち、子どものころの娯楽といえばテレビが中心でした。御多分に洩れず僕も大のテレビっ子で、『ごっつええ感じ』などのバラエティはもちろん、連ドラを観て育ちました。

そのブラウン管の向こう側の世界に憧れ、その物語(他の誰かの人生)を生きてみたいとよく妄想したものです。
小学生のころは兄と漫画を描き、中学校の文化祭では劇の主役や監督をやったりしていました。高校では週末に映画を観漁り、いつしか映画を創ることを夢見るようになりました。

ただ高校卒業後、専門学校への進路を考えましたが、いつのまにか染み付いた保守的な常識に流され普通の大学に進学しました。
同時に東京生活を始めたものの、憧れていた世界への夢はいつしか惰性という渦の中で眠ったままでした。

そして右に倣えの就職活動でも当たり障りのない大企業に入社し、その後ベンチャーなんかも経験して、いわゆる典型的な人生を送っていました。
※これは僕の場合であり、決してそういう人生を否定しているわけではありません。

そんな僕に、31歳のとき転機が訪れました。
兄の死と子どもの誕生です。

一年の間に最も身近な人の生と死を目の当たりにし、限りある命を改めて痛感させられ、今までの価値観を大きく揺さぶられました。

そして僕は、鬱になりました。
後先のことどころか、今の生きる意味さえ見失い、僕は人生から逃げ出しました。なにもかもリセットし、生き方を見つめなおすことを選択しました。…いえ、そうせざるを得なかったのです。

そんなこんなで、30歳を超えて脱サラし自由人となってからは、いつ死ぬか分からない一度きりの人生、やりたいことだけやって生きると決め、とにかく心と体が動くものに取り組んでいる毎日です。

そのひとつとして昨年から始めたのが、演技への挑戦でした。

2.コミュニティ欲

(ひとつめが長くなりましたが、)もうひとつは、価値観を共有するコミュニティを求めていたからです。

モノやサービスに溢れる現代、確かに世の中は便利になりましたが、大抵の欲求は満たされ、生きる実感を得られない人たち(特に若者)が増えていると言われて久しくありません。

僕もそのひとりで、これからの生き方を考えるなかで、物欲を捨てました。

モノで満たされる幸せは、所詮かりそめのもので上を求めたらキリがありません。そんなものを得るための作業(多くはお金稼ぎ)に縛られ、大事な人生の一分一秒を無駄にすることが虚しくなりました。
そう、一番大切なものは生きている"時間"なのです。

同じようにモノで満たされてもどこか物足りなく、生きる意味を感じられない人たちが増え、人とのつながりや人から認められることを求め出しました。承認欲求の最たる矛先はSNSのいいねに現れていますね。

そしてだいたいのものは個人で手に入れることができ、お金を介することで他人との関わりを薄くしてきた僕らは、人間らしい関わりを欲しはじめました。
自然や人にやさしく生産者の顔が見えるエシカル消費、シェアハウスといった共同生活に代表されるシェアリング文化、エモ消費と言われるクラウドファンディング、オンラインサロン活動の盛り上がり、地方移住による村社会の復興などが進んでいますね。

これからの時代、"コミュニティ"が重要になると考え挑戦した取り組みが、実は3年前の地元の町長選挙出馬でした。

コミュニティとしての演劇の可能性

いろんなかたちのコミュニティが生まれるなかで、僕は「演劇」に可能性を感じています。

その理由は以下5つです。

①実際に集まってひとつの作品を創り上げられる
②ある程度のまとまった時間をともに過ごせる
③人前で発表することで達成感を味わえ承認欲求を満たせる
④年齢や性別、肩書きや経歴を問わない
⑤他の誰かの人生を生き共感できる

事実、集まったメンバーとは楽しく稽古でき、飲みに行ったりプライベートまで仲良く付き合っています。そして今まで出会ったことのない世界の人たちと交流でき、多様な価値観に触れることができています。

僕のような自由人…でなくても、普通に会社で働いている人でも、仕事後や週末に参加したらきっと楽しいと思います。(実際にそういうメンバーももちろんいます)

※ちなみに、近いような考えをホリエモンも言ってましたね。

これからの政治や社会、ビジネスにおいて、「消費者から生産者へ」「傍観者から参加者へ」と言われますが、演劇でも同じことが言える気がします。

「観客から演者へ」

"人"が"夢"の横で見てるだけだと「儚」いもので終わってしまいます。"夢"の"中"に飛び込み「夢中」になることが幸せな人生を送る秘訣ではないでしょうか。


これが、僕がいま演劇を始めた理由と、それをおすすめするわけです。

今回の経験を通して感じた想いを大切にしながら、そんな『コミュニティとしての演劇』による幸せを拡げる活動をできたらと考える今日この頃です。

与え合いの恩贈りで巡る世の中になったらいいな。 だれでも好きなこと、ちょっと得意な自分にできることで、だれかのためになれて、それが仕事にもできたら、そんな素敵なことはないですね。 ぼくの活動が少しでも、あなたの人生のエネルギーになれましたらうれしいです。