人生、ニュートラル

自分の価値観を決定付けたゲームは、やっぱりアトラスの真・女神転生だと思う。なんだかんだで、宗教のことを調べたり、世界の歴史に目を向けるようになったり、人の心の光や闇を考えるようになったからだ。

秩序なのか、混沌なのか。はたまた、全てにおいて中立なのか。

こうやって書くと全てが拮抗しているように見えてしまうが、実は一番狡猾なのが中立だ。ゲームの中の言葉で言うのであればニュートラル。ロウやカオスではなく、ニュートラル。

初めてゲームを始めたときは、ロウサイドの人間だった。風紀委員やったりとか、学級委員長やったり……。典型的な優等生で、学問は出来ても運動が苦手みたいなifで普通にいじめられてそうなタイプだった。

自分の中の欲望を解放するみたいなことがどうも苦手で、鬱屈した感情は錦の御旗、大義名分によってカタルシスを感じる、今思えば相当ヤバいやつだった。

ウチの母親はとても賢明だった、商売人な彼女は世の中そんなに綺麗に回らんということを僕に教えようとした。酒飲ましてみたりとか、夜な夜なゲーセン連れて行ったりとか。なんか、駄目なことなんだけどそういうちょっとズレたことをやっている感覚が僕の正気を保ってたのかもしれない。

まぁ、こうやって文章に起こそうとしてるぐらいなんで別に僕は気も触れてないし、至って平凡な人間として生きてはいる。この話の結論にドラマなんて何もないから期待しなくて良いんだけど……。

とにかく、ロウな生き方をしてきたし。そんな、僕が当たり前のようにメガテンやるとやっぱりロウだった。セラフの側につき、アスラ王をやっつける。天国はステキなところで、地獄はヤバいところ。決まりを守らない奴は悪で、規則に従わないこと自体が神の摂理への冒涜的な。

でも、ふと僕はそこで立ち止まって考えたわけなのね……。この価値観ってどこから来たんだろう?って、それは当時、中学生でロクに小遣いもなかったので、何度も同じゲームを遊ぶうちに嫌々でもカオスなルートにいき、やっぱりなんか違うなぁと思いながら。その選択の一つ一つが実はロウサイドと変わりがない事に気づいたからでもある。

ニュートラルって属性は実は存在しないんだということにも同時に気付いた瞬間でもある。自分のアラインメントが時計回りか、反時計回りかそれを必死で調整しながら。こいつはやっつけるけど、ここは従う。はたまた、めんどくさいけど両方やっつけるっと行為自体はゲームの観点から見るとただ攻略してるだけだけど、僕って観点からすると。風紀委員しながら、校舎の裏でタバコを燻らせてるみたいなもんだった。そんなことは実際にはしてない模範的な風紀委員だったけどね……。

良いこともあれば悪い事もある。そんな簡単な二元論じゃなくて、ここはこの人、こっちはこの人、はたまたここは邪魔なので全員排除!という作業は、現実世界に置き換えると狡猾に生きるということそのもので。人の主張なんて、あってないようなもんだと言うことでもある。もっと、無理矢理展開して考えると……。

自分が都合のいいように振る舞いたいだけだ。

人間は誰しもエゴを持ってるし、それを綺麗な洗練されたハイソな言葉で言い直すと、自己実現だ。

自己実現のための犠牲にはあらゆる犠牲も厭わない。なんか、ニュートラルって属性はそういう風に僕には見えた。神も悪魔も自分の手にかけて、自分が世界の王になるってそういうことじゃない?

変な話、この態度というか、人としての在り方は…僕の生き方そのものにとても大きく影響した。

実際に、今でも何かを考える時には二元論的な物言いをする人が苦手で、人付き合いで言うと二律背反の状態分かっていて傍若無人に振る舞う人の方が付き合いやすい。

けど、そういう人に対しての世間からのレッテルは変人とか、狂人とか、頭良すぎでおかしな人だ。

別に僕は自分で自分のことを飛び抜けて優秀とか思ってない。寧ろ、めんどくさくてマジごめんと毎回思ってる。全方面に対して均一な議論は心がけるけど、出来ないから……。色んなことをバッサバッサ斬り捨てていくんだけど、その根底にある価値観はニュートラルだ。良いところはパクって、気にいらないところはぶった斬る。どれも気にいらなけりゃ全部否定して組み立て直す。ニュートラルだ。

スイスが永世中立国なのに軍隊があるのは何故か?じゃないけど、結果的にニュートラルであることはとんでもなく疲れる。全部、吟味して利がありそうなことだけ、自分の周りに置いていくから。

けど、そういう生き方が僕にはあってる気がする。それがメガテンと僕だし。大好きなゲーム。

そう、人生はニュートラルなんだって教えてくれたゲームのおかげで、好き勝手生きていけるようになった。そんな忘れられない最高のゲームが、真・女神転生。

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