一番偉い人へ
偉い人に僕はなりたいと思う。
一番偉い人に対する強烈な憧れがある。
一番は尊い、一番になれるってだけで実は才能だ。
その中でも一番偉いんだから、とてつもないって事だわな。
でも、偉い人に対する強烈な忌避感もある。
(無意識でも)、偉そうな振る舞いが気に入らないからだ。
でも、偉くなるとそうしたくなる。嘘で虚飾だらけでもそうしたくなる。
偉くなるってことは、とんでもない量の面倒くささと対峙したってことだし、現在進行形でその面倒くささはついて回っているだろう。
「そこには、最大限の敬意を払えよ!」
これが、偉そうな振る舞いの源泉な気がしてならない。
最近、好きなものを手放した。
理由は、自分の中での傍若無人っぷりを超えたからだ。
こうなると、自分の興す行動はたった一つだ。
「辞める」
である。急に自分が陳腐に見えて、自分の価値が0になったように錯覚する。本来は10かもしれないし、本来は1000かもしれないけど、0なのかそれ以下なのか……。という強烈な「嫌気」に襲われる。
で、辞める。スパッと切り捨ててしまう。
さながら、築き上げられた砂上の楼閣から眺める風景でもあり
虚飾宮殿の殿様の憐れな末路のようでもある。
いつもは、ここで瞬時に、それこそ「秒で」切り替えて次に行く類の人間だ。
でも、今回はそうではなさそうだ。どうやら、「怒り」の感情を押し殺しすぎて、発散されることのなかった「怒り」が自分を飲み込んだらしい……。
ただ、単に真っ白な僕が残った。
「あー、これが燃え尽きるってことか……。」
そう実感した瞬間だった。
偉くなければこんな思いはしなかったのかもしれない、残念だけど、小さくても山は山だったみたいで、そのお山の大将だった僕には結構な痛手だったみたいだ。
こんな繊細な人間が、一番偉いに憧れるのは不遜かもしれない。
でも、不遜でも良い。こうやって、自分の気持ちと闘い続けないと、リーダーの痛みは理解ができないからだ……。
今回、辞めたのは本当に自分が好きだった趣味のグループの頭だ。
でも、いろいろな経験をそこから学んだのは事実だし、人が「エゴ」によってのみしか動かないということもよく分かった。
人間模様と、人間の醜悪さと、人間の美しさを同時に学べたので素晴らしい経験だった。
リーダはリーダしながら、リーダになっていく。
苦悶して、吐きそうになって、のたうちまわって、それでもはいつくばって。リーダーになっていく。
今の、一番偉い人は少なからずもこの過程は踏んできただろう。
だからこそ、人は人に対して優しくならなきゃいけない。
だからこそ、人に対しての辛辣さも持ち得なきゃいけない、残念だけどそれが優しさの時の方が多いから。
どうありたいかは自由だし、みんながみんなリーダじゃなくても良い。
でも、一番偉い人になりたいと思っているなら、これだけは忘れちゃいけないんだと思う。
僕も、そのことだけは忘れずにこれからも懲りずに人に尽くしていこうと思っているのだ。
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