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映画 PERFECT DAYS の感想

個人的にとても印象に残る映画でした。

まとまりがないですが、感想等を書きます。
なんか見終わったあとモヤモヤ(悪い意味ではなく、感想を一言で言えないという感じ。)があり、言葉にしてみたかったので自分のメモ用で書きました。
※ネタバレあります。

🍿

生業のトイレ清掃だけでなく私生活でも丁寧にルーティンをこなす主人公(平山)の様子を淡々と映すシーンが多かったけど、音も心地よくてなんか見入ってしまう映像だった。
たぶん、映画館でみて正解だった。
YouTubeのASMR(私は普段あまり見ないんだけど)動画を観ているときの快感に近いのかも。
一時期たまに観てたハマちゃん(沖縄の有名YouTuberハイハイ探偵団のメンバー)の個人チャンネルの地味動画を思い出した。

拭き掃除や掃き掃除をひたすらやるのってなんか地味に楽しいよね。
私も広い予備校の教室を掃除するアルバイトをしていた時があって、映画を見ていてその時のことを思い出した。

色んなシーンで主人公が自分のルーティンを大切にしていることが伝わってきたけど、特に通勤中に運転の途中でカセットを入れるところが印象的だった。
普通は最初から(車に乗って発車する時点で)カセットを聴き始めると思うのだけど、「このあたりを通ったところで音楽を流す」みたいなルールが主人公の中にあるのかな。(住んでいる場所が狭い道だったりするので、広い道に出るまで運転に集中するため?それとも気分的な理由?繊細な人なんだなと感じた。)

観ていてとても平山に感情移入させられる。
休日に朝、静かに目覚めるシーンでは「よっしゃー!今日は休日だ!」という気分になる。

自分が内向的な性格で、ラジオや読書や散歩とかのあまりお金がかからない趣味もあるけど、実際には平山とは逆の生活をしているから、心のどこかで平山を羨ましく感じたりもする。
(私は長時間労働して、そのぶん残業代やボーナスをもらって、定期的に旅行で贅沢したりもしている。平山より給料は良いと思うけど、仕事に振り回されて自分のペースを崩されることもあるし、日常では自分の時間はあまりない。)

でも、ちゃんと想像してみると、さすがにいくら読書や写真好きでも、ひたすら淡々とした平山のような生活を送っていたら、私なら気が滅入ってしまうかもしれない。写真を撮るにしても休日くらいは色々な場所に自転車で行って撮ってみるとかするかな。
平山はかなりの変わり者だ。
慎ましい生活のなか、毎朝、外に出たときに明るい表情をしていて平山は凄いな。

マイペースにささやかな楽しみを大切にして自分が好きなことを中心に生きていけたら理想的だな、なんて思うけど、現実にはそんなことなかなか出来ることでは無いし、出来たとしても一時的なものかもしれない。
劇中でも平山も姪に押しかけられたり、同僚が急に退職して、ペースを崩されたりしている。

「世界は一つのようで沢山ある」みたいなこと(正確なセリフは覚えていない・・)を平山が姪に言うシーンがあるけど、反対に世界は分かれているようで繋がっているとも言えるのかな。
姪や、同僚(とその恋人)との交流は、平山としては自分で歓迎したものではないけど、生きていて他者との交流は避けられないし、平山自身にも必要なことだったとも言える気がする。

仕事の同僚が急にやめた後、辞めた同僚に代わる新しい相棒と初めて組む仕事の日に缶コーヒーを2つ買ったのはなぜだったんろう。
新しい同僚にあげるつもりだったんだろうか。
急に同僚が辞めたことで寂しくなって、新しい同僚と仲良くなりたいという意識が少しあったのな。
あげるつもりだったけど、想像していた人とタイプが違って(なんとなくやめた同僚と近いタイプを想像していたとか。)、あげそびれたのかも、とか想像した。


どんないきさつで平山が今の境遇になっているのかも凄い気になる。
裕福な家庭で育っているみたいだけど、なぜ妹は長い期間、平山の現在の境遇を知らなかったんだろう。
平山の家の棚に並んでいる本も休日に通っている本屋さんで少しずつ集めたものだとすると、それなりに長い期間、今の生活を送っている気がするんだけど。

平山は金銭的にはギリギリの生活を送っているように見えるけど、いざという時とか、どうするんだろう。
例えば毎日通勤に使っている愛車が故障した時とか本当に困りそう。なんとか分割払いで中古車を買うんだろうな。(次の車もきっとカセットテープが再生できるものを選ぶのかな。今どきあまり売ってなかったりしそう。)

裕福そうな妹や親の財産もきっと、平山としてはあてにできないんだろうと思う。(ラストで泣いている平山をみるとそんな感じがする。)

いつも鍵を閉めないで出かけるのは、きっと盗まれるような物がないと思っているからだろうな。
個人的に価値があるもの(現像した写真とか、カセットとか古本や植物達。)はあっても、現金や通帳の残高はほぼないから鍵を閉めないのだと思う。(いざという時のあてになると考えている財産があるのなら、恐怖心からきっと鍵は閉めると思う。)
妹が姪を迎えに来た時、平山が(鍵を閉めていないはずなのに)姪に鍵を渡したのはなぜだったんだろう。盗まれるようなものが無いギリギリの生活を送っていることが恥ずかしいと思ったのだろうか。若しくはあのシーンでは鍵を閉めていた?(カセットテープに金銭的な価値があると知ってから、鍵を閉めるようになったとか?それか、理由はよく分からないけど姪が居る期間だけ閉めすようにしていた?)

監督が外国の方で、海外でも評価されている映画ということで、海外の人がこの映画を観てどんな印象を持つかちょっと気になった。
スカイツリーが映るシーンが多かった気がするけど、スカイツリー観光に来たことのある外国人はこの映画を観て「我々が観光したスカイツリーの裏側では庶民がこのような生活をしているのか」みたいなことを思ったりするのかな。
平山は全然一般的な日本人では無いと思うんだけど。(自分が日本人だからって日本人の普通を知っているとは限らないかもしれないけど。)

劇中で描かれる街の風景や喧騒は東京に住んでいる人からすると日常の風景に感じるのかもしれないけど、沖縄在住で東京にはたまの観光や出張でしか行く事のない私は見ていて旅行で東京に行った時の感覚を思い出した。観光で来日したことのある外国人に近い目線なのかな、なんて思ったり。
映画に関係ないけど、県外の都会って那覇と雰囲気が結構違ったりするし、その中でもやっぱり東京は都会感が凄い。

なんだかよく分からない点が多くて(説明が少ないところが良いのかもしれないけど)、人に薦めたいとはあまり思わなかったんだけど、たぶんずっと自分の記憶には残る気がする。説明が少ないからこそ印象的なのかも。

もう一度見てみたら、誤解していたシーンや見落としていたシーンに気づくかもしれない。



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