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《Deep Red Sugar Saxophonist》第4話(最終話)

 これは、中学時代に書いたお話です。
 昔使っていたパソコンから、そのままデータを移しました。
 訂正なし、原文ママです。
 途中まで公開しますので、どうか生あたたかい目で見守ってやってください。

(前回のお話はこちらから↓)

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「・・・しょうがないわね、わかったわよ」
 少し低く、透き通った声が聞こえた。

 靖人の目の前に、綾子が立っていた。服の袖で、口から出ていた血を拭う。
「な・・・・・・」
 靖人は思わず飛びのく。
「何よ、あなたが目を開けてって言ったからこうして開けてあげたのに」
 綾子が腕を組む。右腕と左足からの出血、そして、胸からの大出血が、かなり痛々しい。
「ど・・・どうして・・・・・・」
 靖人は震え上がっていた。言葉も震える。
「えー・・・なんでそうなるのか、私もよくわからないけどさ、私って殺されても生きていられるらしいのよ。信じられないでしょ?」
 綾子は微笑した。
「過去に一回だけ殺されて・・・今回は二回目」
 綾子は再び微笑する。靖人は、体の震えが止まらなかった。その靖人の服のポケットから、綾子はナイフを取り出した。
「やっくん・・・普段からこのナイフ持っているの?」 
 綾子がナイフを手にとって尋ねる。
「あ・・・っ、まあな・・・・・・」
 靖人は答えた。
「そっか・・・ちょっと借りるけど、いい?」
 ナイフの刃を出してそう尋ねた綾子の表情は、少し沈んでいた。
「構わない。」
 靖人は、もうすっかりこの状況に慣れた様だった。体中の震えも止まっている。
「血がべっとり付いちゃうけど・・・ほんとにいいのね?」
「へ?」
 どういうことか尋ねる前に、綾子はそのナイフをものすごい速さで投げた。・・・怪我をしている右腕を思いきり使っていた。
 遠くのほうで呻き声が聞こえる。綾子が表情をゆがめる。
「私について来る?やっくん・・・・・・」
 綾子の声は、少しだけ暗かった。
 靖人は綾子の後に続いた。血のにおいが漂ってくる。
 死なないって言っても・・・痛くないのかな、綾子。
 靖人は、ふとそう思った。

 綾子が立ち止まる。いつの間にか、綾子はフルートを持っていた。靖人は気づかなかったのかもしれないが、走りながら、綾子はフルートを組み立てていた。
 綾子の前には、さっきまで綾子を傷つけていた、常任指揮者が倒れていた。背中に深く、靖人のナイフが刺さっている。立場が一気に逆転した。
 綾子は、また表情をゆがめた。気が付くと、綾子のフルートの先に、月光を浴びて光るものが見えた。
 ・・・ナイフだ。
 綾子は、その部分を指揮者の背中に強く突き刺した。指揮者の悲鳴が響き渡る。一回抜いて、もう一度、強く突き刺す。全体重をかけて、深く、深く、刺していく。悲鳴は大きくなっていく。靖人は思わず眼を背けた。悲鳴は続く。
 やがて、悲鳴が途切れた。靖人は、ゆっくりと綾子の方を向く。視線の先には、返り血を浴び、少し泣きそうになっている綾子と、変わり果てた姿になった常任指揮者がいた。綾子が ナイフを引き抜く。血が噴き出した。
「それじゃあ・・・逃げようか、やっくん」
 綾子は無理して笑顔を作って言った。残酷だと言っても、口調は変わらない。
「そろそろみんながこの事を知って、私たちを追いかけてくるわ。もし捕まったら・・・死を覚悟しなきゃいけないわ」
 最後の言葉だけ、声が低かった。
「・・・うん。早く逃げようか、綾子」
 靖人が言った。

 二人の、長い逃亡が始まった。

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 中学時代に書き残した続きはまだあるのですが、とりあえずここで打ち止め!(ツッコミどころ満載だしね)

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(トータル2,0000字以上……学校の勉強しなさい)

 このお話をベースに、完全リメイクして新しいお話を公開します。

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