10年の足跡

昨日、THE BACK HORNの20周年ライヴに行ってきた。
御堂筋線なんば駅に着くと、懐かしい気持ちになった。
THE BACK HORNのライヴはなんばHATCHで行われる事が多かった。
私が初めて彼らを見たのもここだった。

私が初めて彼らの音楽に出会ったのは学祭の有志発表会であった。
友人がステージで爆発的なエネルギーを発しているのを目の当たりにして、音楽の力に初めて気付かされたのであった。
彼らが演奏したTHE BACK HORNは音響の稚拙さもあり、不完全なものであったけれど、熱量というか魂は正しく本物で心を打たれた。
それから2年後の夏。
私は初めてライヴに赴く事になる。
初めてのバイト代で買ったWALKMANに彼らの音楽を詰め込んで聞いていた。
しかし、どんな風貌の人が歌っているのか全く知らなかった。
しかも、それほどハマって聴いてはいなかった。
そのライヴも大学で知ったASIAN KUNG-FU GENERATION目当てであった。
talking rockという雑誌のフェス第一回目であった。
THE BACK HORNはついでのような感覚であった。
目的はラストのASIAN KUNG-FU GENERATIONであった。
しかし、私は3組目に現れたTHE BACK HORNを目の当たりにし、完全に音楽の概念を覆されたのである。
目の前で繰り広げられているものは一体なんなのか。
彼らは一体なんなのか。
私は会場の中盤の位置で棒立ちになり鳥肌で泡立ちながら魂を揺さぶられた。
高校時代の友人が表現しようといていたものは音楽の完成度なんて目に見える完成形でなかったのだな、とそこで初めて知ったのだ。
THE BACK HORNが表現していたものは魂の叫びであった。
そこにあったものは圧倒的な生命力であった。

あの時の記憶をフラッシュバックさせながら、会場に入った。
大学の時のように人混みに埋もれて暴れ回るように楽しむ事なく、二階席の庇の下で静かに聞いた。
初めてのライヴから毎年彼らのライヴには駆けつけてきた。
その中でもトップクラスの選曲であった。
本当は何もかも取っ払ってあの観客の様に表現したかったのかも知れないが、やはり彼らが表現し続けている魂をしっかりと受け止めていきたいと感じた事も確かであった。

彼らの音楽に出会って10年程経ったが、初めて聴いた時の衝撃は未だに鮮明に覚えている。
真夜中のライオン、幾千光年の孤独、コバルトブルー、コオロギのヴァイオリン、何処へ行く、数えきれない程の衝撃があった。

彼らのお陰で今の自分がある。
それは紛れのないことである。
彼らを知らなかった10年と知っている10年。
多分、私の人間性の厚みはまるで違うものになっていたと思う。
私はこれからも彼らを見続けて、聴き続けて、魂を見つめ直す。
彼らをまたこの場所で聞きたい、そうやってこれからも生きていく。
それって途轍もない原動力だとは思いませんか?

2018/12/16 東西線の帰路で

#ライヴ #バックホーン #日記 #エッセイ #コラム #音楽

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