立春の朝4時。窓から大きく身を乗り出し 白い息を吐きながら オリオン座に向かって呟いた。 「 おはよう。 」 最も寒いこの時季は、最も空が美しいシーズンでもある。 大気は澄み渡り、星の輪郭までもがくっきりと見えるほど。 冬空の美しさは 寒さがもたらす最高の贈り物である事に気付かされる。 その冴えざえと輝く星を見つめている間、 耳の奥で流れていたのは 映画 【 風と共に去りぬ 】の為に作曲された < タラのテーマ > だった。 なのでその日は久々にDVDで堪能。 これぞ映画
美容師だった母が亡くなって19回目の夏が来た。 お洒落で賑やかなお祭り事が大好きだった母。 博多の山笠、京の祇園祭り、青森のねぷたや隅田川の花火大会。 癌を患ってからもテレビ中継を見ては、流行りの着物や髪形をチェックするプロ意識の高い人だった。 「 女はいつもきれいでいないとね。 蝶よ花よと育てられたんだから 期待に応える努力をしなくちゃ! それが周りに対する礼儀ってもんです。」 と 入院先のベッドの上でも頭にカーラー巻き付けて よくこんな話をしていた。 つまり