人は一生のうち、出会うべき人に必ず出会える。しかも一瞬遅すぎず、一瞬早すぎず。 ~森信三先生の言葉に想う

60年近く生きていると、人生は巨大な観覧車のようであり、気づかぬうちに、ゆっくりと大きな弧を描いていると感じることがある。そしてそこには予期せぬ出会いや、奇跡的な再会がある。

無意識に搭乗したゴンドラは、時空を超えて回転する。ある時の自分は、意を決してドアをこじ開けては無謀にも飛び降り、またある時は、ドアをそっと開いて乗り込んでくる誰かを迎え入れる。

タイトルに森信三先生の言葉を拝借した。「人は一生のうち、出会うべき人に必ず出会える。しかも一瞬遅すぎず、一瞬早すぎず」。

初見は15年も前だろうか。以来お気に入りとなって、特に面接時の学生さんなど、自分より若い人達にこのフレーズを紹介してきた。次にいつ会うかの確約はなくとも、今出会っていることは、決して偶然ではないのだと伝えて悦に入っていた。

センチメンタルに過ぎたかもしれない。けれど、最近立て続けに起きた懐かしい人達との再会の数々は、まさしく冒頭の観覧車を想起させる。10年とか、20なん年とかのインターバルは、大きな弧を描いた人生の軌跡に思えてくるのだ。

スティーブ・ジョブズは、"connecting the dots" と言った。彼の学生時代の道楽であったカリグラフィは、マッキントッシュの美しい活字となって花咲いた。ただそれを好きであったことの、位置情報でしかない点が結び合って線となる。果たして、出会いの奇跡は人とモノにも当てはまるらしい。

周りの人も自分自身も、我を強運の人と呼ぶ。その心は、今乗っている観覧車を信じ、行き交う人々とのご縁を楽しむことにある。これからも、時に飛び降り、時に迎え入れて、見えない大回転を満喫するとしよう。









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