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道楽と職業

「つくりたいもの」と「売れるもの」は違う。
「やりたいこと」と「稼げること」は違う。
「好きでもないこと」を仕事にするのはしんどいけど、「好きなこと」を仕事にするのもしんどい。


そう、夏目漱石が明治44年…今から100年以上も前に講演した内容が残っており、その『道楽と職業』が非常に面白いんですよ!まさに上記のようなことも言ってます。

色々と書いてあるのですが、あくまでも私の解釈で纏めると――

職業(仕事)は、基本は他人本位。自分が良いと思うものを勧めても世間は見向きもしなかったり、調子が悪くても自分の都合じゃ休めない。己を曲げてでも人に従わないといけない。その代わりちゃんと報酬は得られる。

道楽(趣味・好きなこと)は、自己本位。他人を気にせず、己を貫き通すことができるもの。認められれば報酬は得られるが、ほとんどの場合それは難しい。

基本的に道楽と職業は相反するもので、道楽は自分勝手にできるうちは楽しいが、これが職業になった途端に苦痛になる。
しかし、科学者や哲学者、芸術家は、他人本位では成り立たなくて、己を貫く必要がある。貫いた先に、認められたら、報酬を得られる。道楽が本職となるのだ。

この講義の中で漱石自身も、自己本位で食べていくことのできている稀な人間だと言っています。

これを読んでから、あまり良い意味では使われない「道楽」という言葉が、好きな言葉のひとつになりました。100年前は稀でも、今は道楽が職業に繋がる機会も多いと思います。もちろん今でも『道楽を職業にする』を選択した場合、『ギリギリ人間の生活ができる』レベルが多く、『そこそこ豊かな生活ができる』レベルまで行くのは稀ではありますが!

なんとなく『道楽を仕事にしている』人に対しての『好きなことしているんだから生活が多少苦しくても幸せよね』みたいな風潮は拭い去れないところがあります。

そもそも弊社がそれを実現できているとは言えない中で烏滸がましい話ですが、エンタメやアートに関わる方々とこの状況を少しでも前に進めることができれば、と思っています。

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