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ハワイの火の女神ペレの威力と魔力。

ハワイには数多くの神話や伝説がいまも大切に語り継がれているが、中でも一番有名で敬意や崇拝の対象となっている人物がペレではなだろうか。
ペレはハワイでは火の女神。タヒチからハワイへ渡ってきて、島々を転々としながら、最終的にハワイ火山国立公園内にあるハレマウマウ火口に安住の地を求めたと伝えられている。

火の女神ペレの威力はいまだハワイ島では健在だ。ハワイ諸島の中でハワイ島はもっとも若い島で、ハワイ島の海面下にはホットスポットと呼ばれるマグマ溜まりがある。ハワイ諸島はすべてこの地球のエネルギーであるマグマが海底爆発を起こして誕生し、それが長年の歳月を経て海面上に隆起してできた島々だ。ハワイの島々はプレートの移動によって北西へと日々動いていて、一番古い時代に誕生したカウアイ島もかつてはこのホットスポット上にあって火山活動をしていた。

今はハワイ島がまさに活発に活動し、その島の規模を日々拡大しているのである。
世界一活発な活火山として世界に知られている標高1248mキラウエア火山。キラウエアとは「たくさんの蒸気が噴き出す」という意味で、古代のハワイアンは山の頂上部分に対してこの言葉を使っていた。
しかし地質学者や多くの科学者がこの火山全体を指す言葉として使うようになったため、現在では頂上部分のハレマウマウ火口を擁するキラウエア・カルデラをはじめ、東側に広がる火口群(チェーン・オブ・クレーターズ)までを含んでの総称になっている。

文書として記録されているキラウエア火山の噴火は1820年からだが、伝説として語られているものは1790年の大噴火だ。
この時代、ハワイ島ではカメハメハがハワイ諸島統一という野望を掲げていた戦乱の時代。カメハメハの野望に抵抗していたハワイ島の南側を統治していたチーフ、ケオーウア・クアフウラが率いる戦士たちは1790年の大噴火の犠牲者となった。これによりカメハメハは火の女神ペレを味方につけていると言われるようになり、その後の各島制覇、全島統一へと万進したのだ。
最近では1983年、頂上から南東側へ移動したプウ・オーオーと呼ばれる場所での噴火だ。この噴火により黒砂海岸で有名だったカラパナという町は溶岩で埋め尽くされたのである。

キラウエア火山はこのように大昔から現在に至るまで、ほとんど休むことなく活動を続けている。

火山の中心地ともいえるキラウエア・カルデラ。このカルデラの中にハレマウマウ・クレーターがあり、ここに火の女神ペレが住んでいる、ペレの魂が宿っていると言われているのだ。

火山の噴火は、人々の行いがペレの怒りに触れてしまった証拠だ、と古代ハワイアンは信じてきた。何よりも火山の噴火を恐れた古代ハワイアンは火の神ペレに供物を捧げ、ペレの怒りに触れて災害が起こらないように、と毎日祈りを捧げていたのである。

しかし1824年12月、そんなハワイアンの自然崇拝を尻目に大事件が起こる。以前にも紹介したが、島に住むカピオラニは火の女神ペレを崇拝する祈りではなく、キリスト教の祈りをハレマウマウ・クレーターに向かって唱えたのだ。古代のハワイアンが恐れおののき、日々祈りを捧げていたペレを冒涜したこの事件は、きっとペレの怒りに触れて火山が大爆発するに違いないと、当時の多くのハワイアンを震撼させた。しかし火山は噴火することなく穏やかな日々が続き、これによってキリスト教の信頼度がハワイアンの間で広がり、キリスト教へと改宗させる大きなひとつのきっかけとなったと言われている “事件” である。

現在、まことしやかに伝えられている噂のひとつ、火山の石を持ち帰るとペレの怒りに触れて数々の災難が起こるという話。多くの人が無断で溶岩石を持ち帰ってしまい、実際に災難が降りかかったという報告が多数あるのだ。
災難に遭った人たちから、元の場所に戻して欲しい、ということで毎日多くの石がビジターセンターに届くそうである。ハワイでは自然万物に神が宿っているというひとつの証でもあり、火の女神ペレの魂は溶岩石ひとつにもしっかりと宿っているのである。

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