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ブラディミール・ゲレーロ・Jr. 覚醒した天才

ブラディミール・ゲレーロ・ジュニアが絶好調です。執筆時点で.346/.451/.697 OPS 1.148 HR22 打点56と、全ての打撃部門でア・リーグトップに立つという、凄まじい打撃を見せつけています。さらに、発表されたオールスターの第一次開票では個人で獲得した得票数がMLB全体でトップとなりました。


彼と言えば2019年、MLB.COMにおけるプロスペクトランキング1位に選ばれ、華々しくデビューを飾りましたが、過去2年は期待されたほどの成績は残せていませんでした。しかし、今シーズンはついにその余りある才能をフルに発揮し始めています。

今回は彼のブレイクの要因を探るべく、何が変化したのかを見ていきたいと思います。見ていくうちに大きく3つの変化があることがわかりました。

それではbaseball savantを使って見ていきましょう。


アプローチの進化

以下をご覧ください。

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注目すべきはChase %と、Chase Contact %です。これはそれぞれボールゾーンのスイング率と、ボールゾーンでのコンタクト率なのですが、どちらも前年から大きく下がっています。つまり、ボール球を振らなくなっているのです。適切なストライクゾーンの管理が出来ていると言えます。

アプローチが向上した要因は一概には言えませんが、おそらくメジャーのストライクゾーンに慣れたことと、多くの打席を重ねてピッチャーに適応してきたという点が大きいのではないでしょうか。もともと彼はマイナーでも通算で155四球/139三振と非常に優れたアプローチを見せていました。メジャーで経験を積んだことで、正しくストライクゾーンを認識出来るようになり、優れたアプローチを発揮し始めたと考えられます。

もうひとつデータを見てみましょう。

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ここで注目したいのはLaunch Angle、つまり打球角度です。今年は20年から上がってはいますが、19年と比べるとプラス1C°で、打球の角度自体が劇的に変わったわけではありません。Exit Velocityは打球の平均終速ですが、20年から2.9マイル増と、ボールを強く叩けていることがわかります。このあたりはオフに体重を絞って身体のキレが良くなったこと、ボールゾーンを振らなくなったことも関係していそうです。


逆方向へパワーを発揮

今年に入るまでの彼は、逆方向(ライトスタンド)へのホームランが通算で3本しかありませんでした。

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しかし今年はすでに9本も逆方向へホームランを打っています。

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一般的には、これはコースに逆らわない打撃をしている結果だと考えられます。それが次の3つ目の要因にも繋がってきます。

高めのボールへの対応力が向上

以下のデータを見てください。コース別の長打率となっています。1枚目よりそれぞれ2019、2020、2021のものです。

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真ん中高めから外角高めのゾーンにきたボールを長打にすることが明らかに増えていることがわかります。さらに、全体的にヒットゾーンが低めから高めへ変化していますよね。高めのボールへの対応力が向上していることが見て取れます。


まとめ

ゲレーロジュニアのブレイク要因をまとめると、

・アプローチの向上

・逆方向へパワーを発揮出来るようになった

・高めのボールの対応力が向上

大きくこの3つが要因と言えそうです。

彼は現在三冠王を狙える位置にいますが、もし三冠王を獲得すれば、ブルージェイズからは史上初な上、史上最年少での獲得という偉業を達成することになります。

まだシーズンが半分も終わっていない状況で時期尚早なのは重々承知していますが、それでも彼はブルージェイズファンのみならず、MLBファンをも毎日ワクワクさせてくれます。

今からでも遅くありません。これを読んでくださったあなた。ブラディミール・ゲレーロ・Jr.という天才が偉業を達成する瞬間を、一緒に目撃しませんか?


追記

MLBの公式Youtubeにて、彼のホームラン集がアップされていました。ぜひ一度見てください。



参照データは全て以下より