新しい教育のかたちを考えるサマースクール
新しい学校のカタチ
きみはひとりしかいない。きみはひとりじゃない。
いま、どう学べばいいのか。未来をどう生きていくのか。もう、答えは1つじゃない。答えは、1人1人の中にある。
今の学校は、1人1人を見つめているだろうか。世界でたった1つしかない「きみらしさ」を見つけだし、育てることができているだろうか。
今までの学校システムの中に埋もれてしまっている子がいる。1つの価値観におさまりきれない子もいる。もっとはるか先を見つけだし、歩んでいる子もいる。
偏差値というモノサシが、ついに時代遅れになろうとしている今、「きみらしさ」が未来を生きる力になってゆく。
だから、1人1人が自分の好きを見つけ、育む学校をつくります。
サマースクールの概要
~〜好き! を見つける3日間。自然豊かな農園で、少人数制のサマースクール開催!〜~
当サマースクールは、「日本の学校教育に、新しい選択肢を」の理念のもと、2020年度に開校の準備を進めている、次世代の小学校のパイロット版です。
このサマースクールでは、子どもたちが 好き!を発見し、没頭して深めていく経験を得ることを目的としています。
そのために、アート、工作、音楽、ロボット、数理思考、書道、自然の7つのジャンルとナビゲーターを用意し、子どもたちが自由に体験して深めていける場にします。
また、企業の技術協力を頂き、子どもの生体データと興味や集中力の相関関係を解析、科学的にも子どもの可能性を引き出す方法を検証します。
自然豊かな農園で、今まで知らなかったジャンルを体験、楽しみながら 好き を見つけて、入り込む。そんなサマースクールです。
◇ナビゲーター
7つのジャンルで子どもたちをナビゲートします。
音楽(中島さち子さん)
書道(寧月さん)
自然(篠原悟さん)
イメージ積み木(井本陽久さん)
プログラミング玩具(梅田寛康さん)
自由絵画(渡邉文隆さん)
木工(Weekend Furniture Club)
サマースクールでの、学びや観察の視点
私は教員として働いているが、今の教育システムは子供たちにとって不十分であると思う。暗記や知識一辺倒の教育、画一的な指導方法が受け継がれ、進展が見られない。それによって苦しんでいる子や能力がうまく発揮されない子どもを多く見てきた。しかし言うだけでは何も変わらない。教育の最前線にいる自分たちが動かなければ何も始まらない。そんなふうにおもっていた矢先、今回のサマースクールの話を聞いた。同じ問題意識をもった方たちと教育を変えていきたいと思って参加した次第だ。また現場の先生方に情報を共有し、これからの教育についてともに考えていきたい思いがあった。
今回のサマースクールで自分が観察したいと思った視点は3つ。
①子供の興味や関心、集中や没頭は大人がどれだけ見て取れるのか。また、fitbitによる生体データとどのようにリンクするのか
②学校の教員よりも専門性の高い、その道で仕事をしている方々の教え方や教育的効果はどのようなものか
③教育業界以外の方々は今の学校の教育についてどう考え、何が課題と認識しているか
①子供の興味や関心、集中や没頭は大人がどれだけ見て取れるのか。また、fitbitによる生体データとどのようにリンクするのか
私は普段から、教育の本来の価値は数値化できないところにあると思っている。学力テストで順位付けすることも大切なのかもしれない。しかしもっと大事なこと、意欲や熱意、共感性、美意識、徳育などを的確に見とることは難しい。今回のサマースクールでは生体認識デバイスを利用して、今まで見えなかったところに焦点を当てて、どんなとき子供が学んでいるのかというのを客観的に見えるかどうか調べた。すると、「子供が追体験しているときが、夢中になっている、あるいはなっていた証拠だ」ということが分かってきた。「僕ね、今日○○したんだよ。」と教えてくれるとき、子供はありったけの自分の中にある表現力と記憶力とを使ってものすごい学習していることが分かった。教えることばかりに教師の役割は意識しがちであるが、「傾聴」がこれからの教育においては重要なのかもしれないという考察ができた。
②学校の教員よりも専門性の高い、その道で仕事をしている方々の教え方や教育的効果はどのようなものか
今回のサマースクールの先生を務めるナビゲーターの方々はその道で生きている人たち。たとえば音楽の中島さち子さんは、ジャズピアニストであり、日本初数学オリンピック女性金メダリストでもある。数学と音楽を関連付けた教育活動などを行っている。そういうプロの方々のワークショップは子供に対してどう展開されていくのかとても関心があった。注意深く観察していると、どの先生にも共通点があった。
・子供の自主性、興味関心を大切にすること
・教えすぎない、活動を見守る姿勢を大切にすること
・子供に「こうさせたい」と思うのではなく「ありのまま」を受け入れようとしていること
・教材の良し悪しを知り、なぜその教具なのかまで理由を明確にしていること
・何より先生が楽しんでいること
日本の学校現場にいま必要なことばかりだと思った。
特に先生が楽しむことの大切さはもっと教育界において大事にされた方が良いと思う。
というのも先生が教えている内容に、楽しさを見いだせていなかったら子供にその学習コンテンツの楽しさを伝えられないからだ。専門性があるとはその分野をとことん楽しんでいるということなのだと強く感じた。そして私が特に関心をもったのは、教材に対するこだわりである。いわく「初心者ほど良いものにふれてほしい。」ということだ。たとえば書道。紙によって滲み具合が変わってくる。今回の活動はどの紙にしようか。そんなことまで考えている。墨汁の色も黒だけでなく、朱色、藍色、金銀などで書くこともあることを知った。先生が話していた中で印象的だったのは、「まずは楽しくないと。良い教材は活動をスムーズにし、表現を豊かにする。」という。また、「苦手な子ほど良い道具がそろっていないことが多い。だから、できない、嫌い。につながってしまうこともよくある。」と言っていた。
「子供に楽しんでもらうために教材研究をしていく。」ことがこれからの教材研究のあり方の一つになっていくと考えられる。
続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?