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90年代のBurrn!の影響を考える ー Burrn!は誰を表紙にしていたのか?

先日、「グランジムーブメントがメタルに与えた影響」という記事を書きました。その中で『当時、日本のメタルファンの間では「グランジ、オルタナ」に対しては批判的な意見も多かった印象です。これは当時、日本のメタラーに多大な影響力を持っていたBurrn!誌がグランジムーブメントのアーティストに対して否定的だった、ということもあるでしょう。なぜそうなったか、は、また別の原稿で考えるとして』と書いたのですが、本稿がその記事になります。基本的に、1992-1995は前の記事も参照しながら読んでいただけるとより楽しめるかと思います。

復刊した炎 Vol.4「1991特集」の巻頭特集に増田勇一(当記事では各編集者は敬称略とします)が執筆しており、その中で1991年当時のBurrn!に関する記述が出てきました。それによれば、当時の編集長(酒井康)との間で「Metallicaをしばらく表紙にしない」という会話があったそう。ちょうどブラックアルバムがリリースされて社会的現象になりつつあったMetallicaを取り上げないという選択はとても興味深いものがあります。それまではMetallicaを普通に表紙にしてきたし、もちろん応援してきた。そして90年代もしばらくすると表紙を飾るようになりますが、この判断は「91年時点でMetallicaはメタルから距離を置いた」という判断を酒井康が行ったということでしょう。少なくとも「Burrn!誌で表紙として取り上げるべきアーティストではなくなった」という判断がなされた。

全体的に、Burrn!は「グランジ、オルタナ」と呼ばれる91年からのムーブメントに対して否定的でした。今になって再評価はしているものの(今回の炎の特集もその一環)、グランジオルタナムーブメントはどちらかといえばスルーし、日本独自のシーンの形成に走った。また、その流れを汲むニューメタルの扱いも小さかった気がします。リンキンパークも表紙になったことがない。この辺りはシンコーミュージック内部的にはクロスビート誌やミュージックライフ誌との棲み分けという理由もあったのかもしれませんが、それよりも(おそらく)酒井康の頑ななまでのグランジオルタナ嫌い、そしてディープパープル至上主義が日本のメタル、ハードロック界に与えた影響はかなり大きなものがあると思います。


90年代、Burrn!誌は世界最大の売上を誇るメタル雑誌でした。実はBurrn!の売り上げのピークは80年代のUSにおけるHM/HR全盛期ではなくむしろグランジオルタナが沈静化した97年だった。世界最大の売上を誇るメタル雑誌であると同時に日本の音楽誌の中でも一番売れていたんですよね。世界中でメタルブームが沈静化していく中、日本だけはメタルのCDが売れ続け、Burrn!誌の売り上げも日本のメタル系CDの売り上げもピークを97年に迎える。ニューメタルやグランジオルタナを含めれば世界的にも実は90年代後半ぐらいが一番「激しいロック」が売れていたのかもしれませんが、日本の場合はUS、UKとは異なるバンド(いわゆる「ビッグインジャパン」と揶揄される)が売れていた。MR.BIGであり、イングウェイであり、ストラトヴァリウスであり、フェアウォーニングであり、リッチーブラックモアであり、、、。ジャーマンメタルもハロウィンやブラインドガーディアンを筆頭に日本では独自の存在感を放っていました。これは結果としてNuMetalやグランジオルタナとは別路線を採ったBurrn!誌の影響力が作り上げた日本独自のシーン、と言えるのかもしれません。80年代のHR/HMを求めるファンと、そうしたバンドを紹介するメディアと、供給するレーベル(ゼロコーポレーションなど)が一体となった日本独自のHR/HM市場形成。その中でBurrn!誌がかなり重要な役割を果たしたことについては(賛否はあれ)異論がないでしょう。

じゃあ、90年代にBurrn!はどんなアーティストを表紙にしていたのか。グランジオルタナやニューメタルを除外して、じゃあ誰を推していたのかということが気になったので調べてみました。グランジ・オルタナとの連動を考えて91年から2000年まで(※2022.11.1 1990年が抜けていたのでは文末の”おまけ”に載せました、それに合わせて一部記事も改訂)。wikiにも載っていないので、これまとめたデータは他にweb上にないのかも(あれば知りたかった)。調べ方は過去のバックナンバーがオークションサイト等で売られているのをひとつひとつ画像確認して洗い出しています。1年ごとに見ていきます。

1991

1 Scorpions
2 Bad moon rising
3 Helloween
4 Guns'n'Roses
5 Judas Priest
6 Alice Cooper
7 Extreme
8 Skid Row
9 Great White
10 Mr.Big
11 Gamma Ray
12 D.A.D.

1991年、USではMetallicaのブラックアルバムが8月、Nirvanaのネバーマインドが9月に発売されグランジブームが始まったとされる年ですが、その傾向はまったく現れていません。むしろジャーマンメタル推しですね。1月、3月、11月と4分の1がドイツ。2のバッドムーンライジングは元ライオンのダグ・アルドリッチの新バンドでした。こうしてみるとけっこうビジュアル重視、とも言えますね。ダグアルドリッチはビジュアルが華やかなので。エクストリームやスキッドロウもそういう側面もあったかも。まぁ、先日の記事でも書きましたがグランジムーブメントが盛り上がり始めたのは1991年の後半からなので実際には1992から。1992も一気にグランジ一色になったわけではなくじわじわと80年代メタル→グランジに移行し、ピークは93年、94年なので91年時点では妥当な結果といえる。欧米のメタル雑誌とそこまで変化はないでしょう。

12月号、D.A.D.が表紙

今見ると12月のD.A.D.はちょっと懐かしいですね。デンマーク発のロックバンドでした。USではそんなに人気は出ませんでしたが日本でのみライブ盤をリリースしたり、かなりプッシュされていた印象。ルックスもよかったし、そこそこ日本でセールスが良かったのでしょう。そのあと全然聞かなくなりましたが、実は2000年ぐらいから本国ではリバイバルが起きて今でもデンマークではトップバンド。2019年に出したアルバムはデンマークのナショナルチャートで1位(2000年代に入ってから6枚のアルバムを出していて、うち4枚が1位獲得)を取っています。もともとバンド名は「Disneyland After Dark」の略だそう(ディズニーからの訴訟を恐れて改名)。

1992

1 Ozzy Osbourne
2 Yngwie Malmsteen
3 Guns'n'Roses
4 Def Leppard
5 Jerusalem Slim
6 Megadeth
7 Black Sabbath
8 Iron Maiden
9 Pantera
10 Accept
11 Izzy Stradlin
12 Heavens Gate

9月号、Panteraの表紙

1992年。あまりグランジの影響は出ていませんが、9月号のパンテラは今思えばBurrn!なりのニューメタル、グランジへの接近だったのかも。けっこう異質ですからね。6月号のメガデスも何気にこの時が初表紙。スラッシュ四天王(ビッグ4)の中でSlayerが表紙になったのが一番遅い。この時点ではまだ表紙なし。Metallicaはもちろん、Anthraxは意外と早かったんですよね。日本ではスラッシュ四天王はMetallica→Anthrax→Megadeth→Slayerの順で人気が出たようです。まぁ、この時点までBurrn!では実はそこまでヘヴィなバンドって表紙を飾っていないんですよね。(※1990年を見落としていました。1990年はスラッシュメタルがかなり表紙を飾った年で、4月メガデス8月メタリカ12月スレイヤー、メガデスとスレイヤーはこの時が初で1991年は2回目ですね。1990年にスラッシュメタルへB!誌は舵を切っています。ただ、表紙になった順序はMtallica>Anthrax>Megadeth>Slayerで変わらず)。たぶん、91年のJudas Priestの「Painkiller」が衝撃的な激しさだった。そして92年9月号のパンテラは、初めてスクリーム系のボーカルが表紙を飾った号になると思います。(※これも1990年12月のSlayerの方が速いですね、また、1990年あたりの”スラッシュの台頭”の後にPainkillerが日本市場に来たことが分かります)。なお、パンテラの表紙はもしかしたら初めて「短髪の表紙」かも。それまで全部長髪な気がします。80年代メタルが「ヘアメタル」と言われるのがわかりますね(追記→ロブハルフォードも短髪でしたね。まぁ、いずれにせよ珍しい)。

5月のエルサリム・スリムは元ハノイロックスのマイケルモンローの新バンド。マイケルモンローはルックスが良いので表紙常連です。もともと(クィーンを日本に紹介した)ミュージックライフ別冊からスタートしたのがBurrn!なので、ルックスがいい、美青年系の表紙というのはDNAとして組み込まれているのかもしれません。イングウェイも(このころはまだ)美青年系でしたし、さんざんBurrn!でプッシュされるのはそれもあるのかも。11月のイジーストラドリンは珍しいですね。ガンズ脱退のタイミングで、ガンズの内幕を話す、みたいな内容だったかと思います。けっこうガンズは力を入れて特集している印象。毎年何かしらで表紙にしています。

12月号、Heavns Gateの表紙

ある意味伝説なのが12月号、ジャーマンメタルのヘブンズゲイトが表紙ですね。それほどジャーマンメタルの中でも大御所というわけではないし、この時出た新作もあまり評価が良くなかった。前作LIVIN' IN HYSTERIA(1991)がこの当時はかなり良い出来でジャーマンメタルの新星とされ、ハロウィンの再来かと期待されたものの新作HELL FOR SALE!(1992)がけっこう拡散した、いわゆる日本人好みのメロスピではなくなった(ハロウィンのピンクバブルズゴーエイプみたいな作品)だったので、表紙を飾りクロスレビューもされたけれど点が微妙という結果に。これは表紙にもなったし力を入れてプロモートしたかったのだけれどできた作品が日本市場と合っていなくてずっこけちゃった例ですね。本人たちはアメリカ進出をしたかったのか、この当時のドイツ市場のトレンドだったのか謎です。ただ、この当時のBurrn!はとにかく勢いがあったので、「表紙にすれば注目される、一定数売れる」ということはあったのでしょう。「定番の表紙アーティスト」ではなく、けっこう攻めた新しいアーティストもときどき出てくるのが特徴的です。

1993

1 AC/DC
2 Thunder
3 Van Halen
4 Coverdale Page
5 Aerosmith
6 Metallica
7 Mr.Big
8 Riot
9 Vince Neil
10 Deep Purple
11 Sepultura
12 Anthrax

グランジがいよいよ盛り上がってきた93年、Burrn!誌は完全に独自路線ですね。92年の方がパンテラで同時代性があったといえばあったかも。2月はUKのサンダーが表紙。渋いですね。このころから「英国ロック、ブルースロック」みたいなものを取り上げ始めた印象。これはBurrn!誌なりのグランジ、オルタナの解釈だったのかも。そこでシアトル勢ではなく、「ルーツロック(しかもUKより)」に行ったところは逆張り精神を感じます。ポールロジャースをものすごく持ち上げていたのもこの頃からかも。「伝説のボーカリスト」とか「めちゃくちゃ歌がうまい」みたいな評判でBurrn!誌でポールロジャースの名前を見かけるようになったんですね。そりゃ言いたいことはわかるんですが、ちょっと飛躍してる気も。もちろん名ボーカリストだけれど決してメタルボーカリストじゃないですからね。

8月 Riotが表紙

グランジオルタナのアーティストを取り上げない、という姿勢は一貫しており、とはいえ80年代からのメタルバンドはUSでは活動縮小。その中で「日本での知名度がそこそこあり、音楽性が変わっていない中堅バンド」を取り上げるように。このあたりが「ビッグインジャパン」を生んでいく流れだと思いますが、その一つであるRIOT。USのバンドながら欧州的な陰りを持ち、日本ではむかしからそこそこの人気がありましたがここで表紙に。この時のアルバムはNIGHTBRAKERだったんですが、これ、ジャケットがものすごく低予算感があるんですよね。

NIGHTBRAKERのジャケット

今では別のジャケットに差し替えられていますが、当時、これがクロスレビューで目玉作品になっていて、「え?」となった記憶が。内容は日本人好みの良作ではありましたが、プロダクションもややB級だし、USではこの時のRIOTはインディーズのマニア向けのバンドだったんですよね。それを巻頭特集に持ってきたというのはある意味Burrn!誌がパワーがあったからとも言えるし、表紙にするアーティストに困っていたともいえる。

11月号、Sepulturaが表紙

かと思えばエクストリームメタルは取り上げるようになっていて、11月はSepultura。リリースしたアルバムは(このバンドの前作Ariseと比べれば)ヘヴィでグルーヴィになったChaos A.D.でした。それまでのBurrn!の表紙アーティストとは明らかに異質なんですよね。PanteraもSepulturaも。怒号のごときボーカルだし。ちょっと極端なアーティストを取り上げてその号の売れ行きなどを見ながら雑誌の方向性を調整していたのかもしれません。ちなみにその前の10月号はディープパープルでリッチーブラックモア表紙ですからね、まったくリスナー層が違うと思われるアーティストを次々と表紙にするのはすごい。「メタル」が拡散していくと同時に、Burrn!誌としても対象が急激に拡大していった時期なのでしょう。ただ、新参の読者からすると「表紙のアーティスト」で音楽性がまったく予想できないというびっくり箱状態のメディアに。

他、この年の6月号ではメタリカ表紙が解禁されています。グランジ認定の終了、というか、さすがに無視しているのが不自然だということになったのでしょう。本誌で表紙にしていないだけでメタリカの特集号(別冊)を出したりしていたので、どう扱うか決めかねていたけれど、やっぱりBurrn!誌でプッシュすべきアーティストだよねと思い直した、ということかもしれません。12月号はAnthrax。ジョンブッシュにボーカルが変わって初、ですね。この時のアルバムSound of White Noise(1993)はかなりグランジ・オルタ名と呼ばれる音像に近づいた作品だったので、Burrn!誌なりにムーブメントに接近はしていたことがうかがえます。この年はジャーマンメタルの表紙はゼロ。ヘヴンズゲイトのダメージが大きかったのか、、、(確か、90年代で一番売れなかった号、と現編集長の広瀬和生がどこかで言っていた気がします)。

1994

1 Fight
2 Motley Crue
3 Yngwie J. Malmsteen
4 Pantera
5 Manic Eden
6 BBM
7 Demolition 23.
8 Slayer
9 Helloween
10 Mr.Big
11 Queensryche
12 Megadeth

94年、USではグランジ化のピークですね。LAメタル、ヘアメタルの権化であるモトリークルーもグランジ化したアルバムをリリースし、衝撃を与えます。ロブハルフォードもかなりグランジ化したFightでデビュー。そんな中でイングウェイをしっかり表紙にするBurrn!はぶれていません。ただ、4月にパンテラを入れてくるのが振れ幅。

5月号、マニックエデン
6月号 BBM

5月のManic Edenはエイドリアン・ヴァンデンバーグの新プロジェクト、6月のBBMはゲイリームーアとクリームのリズム隊(ジンジャーベイカーとジャックブルース)が組んだスーパーバンド。2か月連続でブルージーな作品が続きます。考えてみるとグランジムーブメントの中でUK(や欧州)のアーティストはブルースに回帰、接近したアーティストが多かったかも。あまりメタル色はなかったので従来のBurrn!誌読者には不評だった気もします。

7月はマイケルモンローの新バンド。エルサレムスリムが解散して組んだバンドですね。かなりパンキッシュだった印象。あまり評価もよくなかった印象です。書いていて気が付きましたがグランジオルタナに対する適応策として、もう一つ「パンキッシュになる」というのもあった気がする。とにかく80年代的な、アメリカンプログレハードの流れをくむメロディアスなハードロックが退潮し、代わってグランジオルタナのやや内省的で暗鬱な渦巻くような音像が出てきた。そこに変わらないアーティストはパンクやブルースなどよりグランジのルーツに回帰していったといえるかもしれません。

8月のSlayerは初表紙。スラッシュ四天王で最後の登場ですね。Sepulturaの方が先というのはやや意外。(1990年12月が初表紙でこの時は2回目の表紙でした。1990年に”スラッシュメタルへの接近”を果たしています)。こうして見てくると「メタル」の定義が一気にエクストリーム方向に広がり、ボーカルスタイルもスクリーム(でメロディレス)なものが市場を席巻し、日本市場でも一定の規模になってきた時期に合わせてBurrn!も変遷しているので、そのタイミングとSlayerの新譜リリースタイミングによるものでしょう。ジャーマンはハロウィンが表紙になり復活。これはボーカルが元ピンククリーム69のアンディデリスに変わり、ハロウィンとしても復活した時期ですね。

1995

1 Dokken
2 Slash
3 Bon Jovi
4 Skid Row
5 Blind Guardian
6 Yngwie Malmsteen
7 Black Sabbath
8 John Sykes
9 Ozzy Osbourne
10 Iron Maiden
11 Ritchie Blackmore's Rainbow
12 Metallica

95年、グランジムーブメントが一段落した年ですね。オジーやヴァンヘイレンが復活。やや華やかなメタルが復権します。それを反映してかBurrn!も極端なエクストリームメタルは表紙をかざっていませんね。基本的にメロディアスなバンドが多め。ドッケンからスタートですから、もう新年度から80年代な感じですね。

1月号 Dokken

ただ、ジョージリンチが短髪になり、ルックスとしては90年代的に。2月号のスラッシュは思い切り長髪でしたけれどね。ガンズは本体が停止している間、各メンバーを取り上げることで定期的に話題にしています。ファンが多いので話題に飢えていたんでしょう。5月はスキッドロウ。なぜかまったく売れなかった「遅れてきたグランジ化アルバム」サブヒューマンレイスですね。

5月号、カイハンセンとブラガ

5月はブラインドガーディアン初表紙。ジャーマンメタルの中堅どころを久々にプッシュです。ハロウィンの復活で日本のジャーマンメタル熱が再燃していたからか。元ハロウィンであるカイハンセンを表紙に使うという離れ業。カイハンセンはメンバーではなくこの作品ではプロデューサーなんですけれどね。まぁ、ブラガは日本でも一定の人気を確立していったのでここで表紙に抜擢したのは振り返ってみると英断だったのでしょう。グランジ、オルタナ(そしてブルース、パンク)一色から従来のヘアメタルやジャーマンメタル(メロスピ、パワーメタル)に回帰していく、80年代から正統進化したメタルが戻ってきつつあった一年。8月のジョンサイクス(ホワイトスネイクの「白蛇の紋章」の立役者)なんかも「80年代の復活」を感じさせます。7月号のブラックサバスもボーカルがトニーマーティンに戻し、様式美的なクロスパーパシスリリース時のもの。11月にはレインボウ復活ですからね。Burrn!誌、というか酒井康は猛烈なリッチーファンなので、ラジオ(HMシンジゲード)含めて大興奮だった記憶があります。10月号はメイデンも新ボーカルで復活しましたが、こちらはややメタラーの期待値を下回る出来(X Factorについての記事はこちら)だったのは残念。とはいえ、1年を通してみれば(80年代の)メタルスタイルの復活&進化の年だったといえるでしょう。

1996

1 Anthrax
2 Mr.Big
3 Helloween
4 Angra
5 Def Leppard
6 Metallica
7 Dave Mustaine
8 Michael Kiske
9 Ritchie Blackmore
10 Yngwie Malmsteen
11 Mr.Big
12 Van Halen

さて、前回の記事は95年で終わりましたがこちらは2000年まで見ていこうと思います。96年、グランジムーブメントが終わりつつあり、USではラップメタルやファンクメタル、いわゆる「NuMetal」が出てきた時期かな。ここでBurrn!誌はグランジ・オルタナ以上にNuMetalは無視というか、冷遇します。これは日本ではそれらのアーティストがあまりセールスに結びつかない、という事実もあったのでしょうね。このころから「ビッグインジャパン」というか「日本だけでビッグ」なアーティストがより増えていく、そうしたバンドをBurrn!誌がプッシュしていく、という現象がより顕著になってくる印象。今まで見てきたようにRiotとかイングウェイとか、「日本の方が人気があるアーティスト」はすでにいましたが、さらに加速していきます。ディープパープルやレインボーも90年代以降は日本がかなり大きな市場ですからね。さすがに本国UKには劣りますが、少なくともUSより日本で売れています。これもBurrn!誌が常に取り上げ続けたのも一因かと。逆にZeppはあまり取り上げなかった(ロッキンオンの方が取り上げた)のが日本における体温の差かも。日本だとディープパープルとレッドツェッペリンが同列に語られたりしますが、USでのセールス(や存在感)はめちゃくちゃ差がありますからね。

話を96年のBurrn!に戻すと、1発目Anthrax。まぁ、スラッシュだしミクスチャーですが80年代から取り上げているし、ちょっとヘアメタル的な華やかさ、パーティー感もありますからね。そんなに深刻じゃないというか。スケートやりながら聴く感じ。

この年の新顔は4月のAngraですね。ブラジルからSeplturaについで2組目の表紙アーティスト誕生。

4月号、Angraが表紙

Angels Cry(1993)でシーンに颯爽と現れ、クラシカルパワーメタルの可能性を示した後、ブラジル音楽色を強めたセカンドアルバムHoly Land(1996)のリリース時ですね。こうして振り返ってみると基本は常連のアーティスト(ルックスも良い80年代から活躍するアーティスト)が表紙を飾りつつ、年1組ぐらいは新しい波を紹介していく、という編集方針だったのが分かります。USのNuMetal(KornやLimp Bizkit)の流れとは全く違う、日本独自のシーンやプッシュを行っていたことが良く分かります。

他はだいたい同じメンツですが、Mr.Bigが2月、11月と年2回表紙に。この頃、日本でのMr.Big人気が絶好調だったころです。2月はアルバムHey Menの発売(オリコンで1位!)、11月はベスト盤の発売に伴う表紙ですね。年2回同じアーティストが表紙なのは初。Burrn!が生み出したビッグインジャパンの最大の成功例がMr.Bigでしょう。

7月のデイブムステインはMegadethではなくソロ名義なのはサイドプロジェクトのMD45リリース時だから。パンク曲のカバーを行ったアルバムですね。Megadeth版ガレージインクのようなアルバム。8月のマイケルキスクもHelloween脱退後のソロデビュー時のもの。

8月号

この頃はまだ髪があります。

1997

1 Fair Warning
2 Pantera
3 Motley crue
4 Queensryche
5 Blackmore's Night
6 Jon Bon Jovi
7 Royal Hunt
8 Judas Priest
9 Yngwie Malmsteen
10 Dream Theater
11 Metallica
12 Ozzy Osbourne

1997年、Burrn!誌、そして日本のメタル市場がセールス的には最盛期だった年。その勢いを感じさせるようにこの年はけっこう攻めています。まず1月号、ドイツのフェアウォーニング。

1月、フェアウォーニング表紙

いくらスコーピオンズとつながりがある(元メンバーのウリジョンロートの実弟、ジーノロートにゆかりのあるメンバーが結成)とはいえ、そこまでセールス規模があったのだろうか。まぁ、振り返ってみるとUKのThunderも表紙にしていましたからね。プッシュしたいタイミングでレーベルが表紙に出稿していたのかも。この時は3rdアルバム「Go!」のリリース時。ジャーマンメタルから表紙になるのは8組目(Scorpions、Accept、Helloween、Gamma Ray、Blind Guradian、Micakel Kiske、Heavens Gate)。世界中でFair Warningを97年に表紙にしていたのは日本ぐらいでしょう。本国ドイツでもなかったんじゃないかな。むしろ日本を中心に活動していたバンドのイメージもあります。

2月はPantera。Nu Metalより世代は前ですが、こうしたグルーヴメタルとか90年代USのメインストリームの流れだとPanteraだけは表紙になっていますね。日本のメタル史観はけっこうBurrn!が作っている部分があるので「Panteraは別格」みたいな意識はここで生まれているのかも。USではKornとかLimp BizkitとかNine Inch Nailsの方がビッグだった気がします。頑なにこの辺りは取り上げなかったけれど、Panteraだけは取り上げたのはなぜなんだろう。やはりブルースの影響があるからでしょうかね。ブルース→ロックンロール→ハードロック→ヘヴィメタル、というのがBurrn!史観なのでしょう。ヒップホップとかブルース以外のものと結びついたものはメタルの王道とはみなさなかった=表紙としては取り上げなかったのかもしれません。インタビューやレビューは載っていましたけれど、表紙にはならず。この辺りはBurrn!史観の部分もあるし、日本人の嗜好の問題もあったんでしょうね。Burrn!が表紙にする=日本メタル市場での知名度があがるという構造は確かにありますが、そもそもある程度日本で売れている=Burrn!で表紙になる、という前提があるので、それほどセールスがなかったか、あるいはそもそも客層が明らかに違ったか(ライブに行くと客層が全然違う、ということがありますからね。コミュニティ=属しているシーンが違うというか)。当時、KornやLimp、NINを聴いていた層はBurrn!を読む層とはズレていたのかも。ロキノンがNu Metalを「ラウドロック」とか「モダンヘヴィネス」とか呼称していてBurrn!が取り上げないNu Metalを取り上げていた時代(「メタル」というとBurrn!誌の印象が強いからロキノンは別の名称を使った)。

7月、これまた日本独自色の強さを表すROYAL HUNT。

7月号 Royal Hunt表紙

デンマーク出身なので北欧メタルですね。Europe、Yngwieに次ぐ3組目。こちらも欧州と日本、特に日本で人気のバンドですね。ビッグインジャパンと言える。クラシカルなものや欧州音楽(欧州ポップス)のメロディを日本人が好む(分かりやすい) → Burrn!でも積極的にPushする → Big In Japanが生まれる。という構図だったのでしょう。逆にMr.Bigってそういうパターンではなく、もうちょっとブルージーなんですけどね。なんでMr.Bigがあんなに売れたのかはやや謎。そんなにブルース好きな人って多くない印象も受けますが。2枚目(Lean Into It)こそハードポップですけれど、だんだんブルース色が強くなっていきましたからね。それだからセールスも減っていったのかな。

他のトピックとして、10月はドリームシアター初表紙。イメージズアンドワーズの衝撃が日本に浸透し、次のアルバムAwake(1997)リリース時に表紙に抜擢、ですね。5月のブラックモアズナイト、6月のジョンボンジョビ(ソロアルバムリリース時)はメタル色薄目。「昔からプッシュしているアーティストはメタルから外れていっても表紙にし続ける」という方針も見えます。これ、議論はあったような気もするんですけどね。リッチーブラックモアはほとんど中世バロック音楽を演奏し続けているのにいまだにずっと表紙ですから。雑誌はジャンルよりアーティストと結びつきやすいのかも。

1998

1 Aerosmith
2 Van Halen
3 Helloween
4 Blind Guardian
5 Jimmy Page Robert Plant
6 Eric Martin
7 Harem Scarem
8 Black Sabbath
9 Steven & Liv Tayler
10 Devin Townsend & Ginger
11 Nikki Sixx
12 Megadeth / Paul Gilbert

97年をピークにややセールスが下降し始めた98年。まだまだ勢いはあるとはいえずっと右肩上がりの成長だったのが止まったことで編集方針も変化していったと推測されます。新機軸がいくつか。

1998年、1年分の表紙

9月号、スティーブンタイラーとリブタイラーの親子は異色ですね。当時アルマゲドンの大ヒットがあったとはいえ、ミュージシャンでもないリブタイラーが表紙になるとは。売り上げ低下を新しいファン層や普段Burrn!誌を読んでいない層を取り入れて回避しようとした試行錯誤の後でしょうか。Burrn!というより映画雑誌みたいな表紙。

また、12月はMegadethとMr.Big(のギタリストであるポールギルバード)が表紙という不思議な組み合わせ。抱き合わせにすれば売上アップ! と踏んだのでしょうか。このときMegadethからでてきたのはデイブムステインではなくギタリストのマーティフリードマン。ギタリスト対談という体裁ですね。ヤングギターか。とはいえ「雑誌として新しい企画、路線を開拓しよう」という意思が見られます。

他はZepp再始動とも言えるプラント・ペイジとオジーが戻ったブラックサバスが5月、8月と表紙に。これはけっこう話題だった思うのですが、Burrn!誌の読者層にはどこまで刺さったのだろうか。サバスはともかくZeppはあまりBurrn!誌で推してきていなかった印象もあります。Burrn!史観でいればDeep Purple > Led Zeppelinなので。

この年の新顔は7月にカナダのハーレムスキャーレム、10月はカナダのデヴィンタウンゼントとUKのジンジャー(ワイルドハーツのボーカル)のカップリング表紙が出ていますね。ハーレムスキャーレムも一時期はビッグインジャパンになった、と言えるかもしれません。その後音楽性がグランジ化していき、海外ではRubberというバンド名で活動し日本だけハーレムスキャーレムを残す、みたいな迷走をしたのち、現在はハーレムスキャーレム名義で活動中。

10月の新顔であるデヴィンタウンゼントとジンジャーは今となっては貴重な表紙。デヴィンのアルバム「Infinity」にジンジャーがゲスト参加したことによるコラボ表紙。ジンジャー率いるワイルドハーツは日本にも熱狂的なファンが一定数いるように思いますが単独表紙はなし。デヴィンタウンゼントも独自の立ち位置で今でも活躍中(むしろ欧州では活動規模を大きくしている)ですが、この後は表紙になっていません。これも従来のBurrn!誌にはなかった系統の表紙アーティストですね。ただ、なんとなくこの年は「表紙にするアーティスト」に困っていたのかもしれません。USではグランジが終わってNu Metal最盛期であり、従来Burrn!が推してきたようなアーティストは活動が停滞したり、大型新人もあまり出てこなくなっていた。次のムーブメントとして北欧メロディックデスメタルが少しづつ勃興していましたが、この時点では表紙にするまではいかず。大物、スター不在の過渡期です。

1999

1 Kiss
2 Sebastian Bach
3 Slayer / Pantera
4 Blackmore's Night
5 Ratt / John Sykes
6 Iron Maiden
7 Def Leppard
8 Megadeth
9 Motley Crue
10 Mr.Big
11 Yngwie Malmsteen
12 Queensryche

99年、聖飢魔Ⅱ…じゃなかった世紀末。なお、「その世紀の最後の年」だと2000年だと思うんですが、なんで99年を「世紀末」って言うんでしょうね。

さて、悪魔による人間界征服が完了しつつあったこの年、Burrn!は相変わらず迷走しています。3月号はSlayerとPanteraの組み合わせ。

3月号、ケリーキングとフィルアンセルモ

これ、確かライブイベントでこの2バンドが一緒に回っていたからそのライブレポートという体裁だったかと。表紙を飾るような大物バンドのニューアルバムや大型新人の作品、要は「話題盤」が出ない時期です。クロスレビューもない(=目玉盤がない)月もけっこうあった頃じゃないでしょうか。

5月号 ウォーレンデマルティーニとジョンサイクス

5月号も不思議な組み合わせ。これはRATT再始動のタイミングですね。ジョンサイクスはなぜ呼ばれたんでしょう。(RATTのボーカルの)スティーブンパーシーが捕まらなかったから苦肉の策だったのか。一応、ウォーレンデマルティーニは一時期Whitesnakeにいたからお互い元Whitesnakeという繋がりはあるし、旧知の仲ではあるんでしょうけれどね。昨年のマーティフリードマン×ポールギルバートのギタリスト対談パート2みたいな感じなのか。

1月のKISSだって新譜リリースのタイミングではないし(1998年の9月に「Psyco Circus」をリリースはしていたので、一応リリース後初の表紙ではありますが)、2月のセバスチャンバックだってアルバムリリースはなし(一応、ソロでライブアルバムを出したタイミングではある)。4月のブラックモアズナイトは「いつものお約束」であって、「年1回のリッチー近況報告」。Burrn!誌は「リッチーブラックモア(とDeep Purpleファミリー)のファンジン」という性質が多少あると思っています。これ、(リッチーフリークである)酒井康の個人的嗜好かと思っていましたが酒井康が去って久しい2021年現在でもリッチーやデヴィッドカバーデイルは表紙になっていますからね。固定ファンも多いんでしょう。

この年の大ニュースは6月号のアイアンメイデン、ブルースディッキンソン復帰でしょう。ただ、ニューアルバムが出るのは翌年。リッチー、イングウェイ、Mr.Bigの常連組が変わらず表紙を飾っていますが、新譜の話題には乏しい一年。よりエクストリームなメタル(メロデス)やニューメタルではいろいろな動きがありましたが、日本で大ヒットしたメタルアルバムがなくなりつつある印象。それどころかこの年は「表紙初登場」のアーティストもいません。大物不在に加えて新人不足となり、目玉となる大型リリース不足の状況が続きます。

2000

1 Aerosmith
2 Metallica
3 Guns'n'Roses
4 Megadeth
5 Pantera
6 Bon Jovi
7 Motley Crue
8 Kiss
9 Iron Maiden
10 David Coverdale
11 Helloween
12 Megadeth

本記事では2000年までで一区切りとしましょう。見てもらえば分かるように新人はなし。大型リリースは6人編成アイアンメイデンの幕開けとなった「Brave New World」が圧倒的ですね。メガデスは2回も表紙を飾っていますがマーティフリードマン脱退に関する時期。ニューアルバムのリリースは2001年5月なのであまり関係ないですね。97年を最後に新人不足、大物の活動停滞が続いていき、日本でも商業的に成功するメタルアーティストが減っていきます。

まとめ

1990年代を通してみれば、US市場とは別の動きをしながらも意外とグランジムーブメントや、よりエクストリームな方向に変化しつつあったメタルシーンの変化に適応していた90年代前半、PanteraやSeplturaを起用し、80年代とは違う「メタル」シーンへの対応も取っています。あとは、Burrn!なりの時代の変化への対応としてブルースに回帰する時期もあり。グランジオルタナには直接的には共鳴していないものの、「ハードロックの源流といえばブルースだ」という史観の元で93年、94年ごろにはルーツ回帰したアーティストたちを積極的に取り上げた時期があります。あまり日本市場ではブルース寄りのものは受けなかったようですが、グランジオルタナ期のBurrn!誌の特徴の一つかも。

そして90年代も半ばを過ぎてくるとより日本独自路線が強くなっていきます。Mr.Bigやイングウェイを筆頭にフェアウォーニングやロイヤルハントなど、「日本市場で売れる」アーティストがBurrn!で取り上げられる。逆に海外ではこれらのアーティストの情報があまり入手できなくなり、こうした音楽を求める層はますますBurrn!に依存します。まだネットもそこまで発達していないし、情報源がBurrn!しかなかったんですよね。日本市場は独自の嗜好、人気のあるアーティスト群を持ち、そうした情報をBurrn!誌がほぼ独占的に提供する、という時代が1997年をピークとして一定期間存在しています。

ただ、1998年以降は「目玉となるアルバム」の不足に悩まされます。80年代からの大物は活動停滞。US市場ではほぼ存在感がなくなっていますから、日本だけでビッグでも仕方がないし(そもそもUSで大規模に活動していたクラスのアーティストだと日本だけでは維持できない)、よりUSに向いた音像に変化することで日本での人気が下がる(たとえばデフレパードやモトリークルーなど)ことも起きた。Burrn!のメディアとしての力が落ちるより先に「プッシュできる目玉となるアルバム」の不在、不足が起き、それによってメタル熱が冷め、Burrn!も勢いを失っていく、という構図に見えます。ただ、こればかりは仕方がない。振り返ってみれば90年代後半はメタルシーン全体で「商業的に成功し、話題になり、メタラーが熱狂する名盤」の数が減っていった時期ですね。その中でBurrn!誌もだんだんと話題性を欠き、方向性に模索していくようになります(とはいえ90年代はなんだかんだ元気ですけれどね、今に比べれば出版不況も深刻ではないし。それまで右肩上がりだったのが停滞し始めた、ぐらいの時期で急激な落ち込みではなかったでしょう)。なんとなく「メタルシーンが元気がないなぁ」という印象になっていく時期。Burrn!誌を振り返ってみよう、と思って書き始めましたが、書き終えてみると「90年代の(日本から見た)メタル史」にもなっていますね。

今回はここまで。2001年以降のBurrn!誌ははまた機会があれば触れてみたいと思いますが大枠としては北欧メロデスからArch EnemyとChildren Of The Bodomが表紙を飾るアーティストとして成長し、00年代以降のUSメタルだとSlipknotが表紙を飾る存在に。あとは一回Bullet For My VallentineとAvenged Sevenfoldのコラボ表紙なんてのもありましたが、最近はUSメタルからは距離を置き、日本のアーティスト(Loudnessを筆頭にAnthemや聖飢魔Ⅱ、果てはB'zまで)を取り上げる、という国内のHMシーンに目を向けるように変化しています。

物議をかもしたB'z表紙号 もっとメタル界からみたB'zに触れればよかったのに単に広告出稿記事感が強かったのが残念。

しかし、いつか誰かに「Burrn!誌とは何だったのか」みたいな総括的な文章を書いてほしいなぁ。社会現象としてのメタルブームと、その中で多大な影響を与えたBurrn!誌というのは社会学的視点から面白い題材だと思うんですけれどね。酒井康が書くことはもうないだろうから、増田勇一か平野和祥が書いてくれないか期待したいところ。広瀬和生が引退後に書くかもしれないですけれどね。

それでは良いミュージックライフを。

おまけ

創刊号(1984年10月)から、1980年代の歴代表紙は下記の通り。ほぼ99%長髪です。短髪(というかスキンヘッド)なのはロブハルフォードぐらいか。あと、意外とルックスもいいアーティストが多い。きちんとステージ衣装を作りこんだ「エンターテイメント性のあるスター」がほとんど。ミュージックライフ別冊からスタートしているからその流れを感じますね。

また、ギタリスト単体の表紙は創刊当初からの伝統。ジェイクEリーがソロで2回も表紙を飾るほど人気があったとは。創刊号で出ているからかな。まぁ、ランディローズの後任ですからね。ロビンクロスビー(RATTのギタリスト)もソロで表紙を飾っています。ギターヒーロー文化。ちなみにギタリストで最初に一人で表紙を飾ったのはKISSのポールスタンレー(1985年5月)。歴代の表紙回数で言えばイングウェイとリッチーブラックモアがツートップだろうと思います(数えてはいない)。

※「1990」が抜けていたので追記しました(2022.11.1)。90年はなかなか面白いラインナップですね。スラッシュの台頭に合わせて「メタリカ、メガデス、スレイヤー」が表紙に。メガデスとスレイヤーはこの時が初表紙。あと、6月のプリティメイズはプリーズドントリーブミー(ジョンサイクスのカバー)の大ヒットの前、「Jump The Gun(1990)」リリースの時ですね。2月号のアイアンメイデンはスティーブハリスの家族写真という珍しい内容。

1990

1 Great White
2 Iron Maiden(Steve Harris + Family)
3 Skid Row
4 Megadeth
5 Motley Crue
6 Pretty Maids
7 Ratt
8 Metallica
9 Queensryche
10 Don Dokken
11 Deep Purple(Joe Lynn Turner + Ritchie Blackmore) 
12 Slayer

1989

1 Helloween
2 Guns'n'Roses
3 Dokken
4 Jake E. Lee
5 John Sykes
6 Dokken
7 L.A.Guns
8 KIX
9 Winger
10 Def Leppard
11 Aerosmith
12 Whitesnake

1988

1 Guns'n'Roses
2 Helloween
3 AC/DC
4 Ratt
5 Whitesnake
6 Zakk Wylde
7 Queensryche
8 Metallica
9 White Lion
10 Ozzy Osbourne
11 Billy Sheehan
12 Poison

1987

1 Jake E. Lee
2 Bon Jovi
3 Anthrax
4 Motley Crue
5 David Coverdale
6 Ratt
7 Europe
8 Cinderella
9 Ronnie J. Dio
10 Kiss
11 Yngwwie J Malmsteen & Joe Lynn Turner
12 Don Dokken

1986

1 Iron Maiden
2 Ozzy Osbourne
3 Motley Crue
4 Randy Rhoads
5 Kiss
6 Accept
7 Judas Priest
8 Steve Harris
9 Robbin Crosby
10 MSG
11 Def Leppard
12 Metallica

1985

1 Ratt
2 Scorpions
3 Motley Crue
4 Dio
5 Paul Stanley
6 Gary Moore & Phil Lynott
7 Accept
8 Iron Maiden
9 Judas Priest
10 Aerosmith
11 Deep Purple
12 Dee Snider

1984

10 Ozzy Osbourne
11 W.A.S.P.
12 Motley Crue

創刊号 表紙はオジーとジェイクEリー

他、2008年以降のバックナンバーの表紙はここで調べられます。


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