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Beneath The Massacre ‎/ Fearmonger

2020年 ベストアルバム10(衝撃盤)でも取り上げた一枚、とにかく速さが衝撃的。未聴の方は是非。テクデス初体験なら衝撃間違いなし。

激走する30分。一応クレジットで各曲分かれていますが、もう全曲ひとつの組曲に聞こえるというか、勢いで押し切られるアルバムです。テクニカルデスの極北。なんというか、1.5倍速ぐらいで延々と演奏が続いている感じ。レコードだったら回転数(再生速度)間違えてるか疑うレベルですね。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2020リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1 Rise Of The Fearmonger 2:36
迫ってくる音、ブンブン言っている
いきなりバカテク、ドラムが怒涛のリズム
バンド全体がうねりまくる、ジェント的なフレーズ、ボーカルも怒号
ORIGIN的な、いや、でも低音が強いな
そこまでテクデスを聞いたことはないが、これは激烈性が高い
かつ、曲展開が早い上にテクニックも激烈だな、ギターとベースは走り回りドラムが叩きまくる
ボーカルも迫力があって歯切れがいい
間奏はメロディアスというか超速弾き
ギターフレーズがなかなか優美
3分以内の曲なのにめちゃドラマがある、5分の曲を倍速で演奏したような
★★★★

2 Hidden In Plain Sight 3:29
ぜんぜん衰えない勢いで疾走し続ける、一瞬ブレイクを挟んだぐらいの勢い
こちらもギターが踊りまくる、ベースも同じテンポで踊ってるな
ドラムがもう工事現場のドリルというか機械というか、とにかく高速回転
いやー、テクニックの極北感があるわこれ
いくつかテクデス聞いてきたけれどバランスがいいかも、めちゃくちゃ高度でテクニカルだし、ギターはきちんとメロディがある、作曲されてる感がある
ちょっとところどころオーソドックスなメタル的なリフとか、クラシカル(っぽい)フレーズも出てくる
まぁ、ネオクラシカルというよりジェントなのだろうけれど、金切り音とかに逃げるんじゃなくてきちんとメロディを弾いている
単なるピロピロではなくメロディがある
この曲はコーラスというか、「Suffer!」という雄たけびが耳に残る
きちんとアジテーション、ボーカルの節回しが耳に残るのも好印象
この曲、なんとなく展開が多く大曲感があるがこれでも3分半か、マジ倍速
★★★★☆

3 Of Gods And Machines 3:00
ドラムが激烈すぎて笑いがこぼれてくる
なんだこれ、どうしたらこうなるんだろう、いやぁ、進化の極北だ
人であることを捨てたのか、まぁ、人間がやってるから感動なんだけど
Igorrrは機械の力でめちゃくちゃな展開を実現したけれど、こいつら人力でやってやがる
あまねく人に勧められる内容でもないが、これは凄いなぁ、努力と才能の結実
あと、音楽として進化しつつある感じがする
なんというか、テクデスって音楽という領域、「音を楽しむ」からはみ出すこともあって
これはけっこう勇壮感というか、カッコよさがきちんとある
なんというかテクニカルに走りすぎるとギャグっぽくなるんだよね、Ring Of Saturnとかで感じた
このバンドはカッコいい
★★★★

4 Treacherous 2:23
舞い踊るギターフレーズ、乱舞
鬼滅の刃の戦闘シーンとか、BGMこれが合うんじゃない?
ものすごい高速、真ん中にいるのは鬼みたいな声だし笑
休むことなく疾走し続ける、でもボーカルがきちんとボーカルをやっている
コーラス(というか複数の声で怒鳴るだけだが)もあるし
なんというかノリがある、グルーヴがある
ギターメロディが出てくる、いや、これ凄いアルバムかも
スリップノットの1stのような衝撃、なんというか「こういうアグレッションの表現の仕方があるのか」的な
もちろんテクデス自体は聴いたことがあるのだけれど、バランスがいい
★★★★☆

5 Autonomous Mind 3:18
こちらはどこか浮遊感がある、宇宙空間、SF的なギターフレーズ
そこにドラムが激烈に刻んでいく、ベースもドラムに合わせてるな
Goojira的な、あれを倍速でやるとこうなるのか
なんだこれ新鮮だな
お、電子音が入ってきた、空気感を変える
そこからミドルでヘヴィなパートへ、浮かんでいる、宇宙遊泳
アシュ・ラ・テンプル的な、いや分かりづらいな、クラウトロック的な浮遊感ある音
そこに激烈なドラムが入ってくる
ギターシンセなのかな、なんだこれ、面白い
Blood IncantationもSEの使い方が上手かった
★★★★

6 Return To Medusa 2:46
メロディがきちんとある、メロデス的なバッキング
それでいて激烈な進行、ドラムもギターも超絶テクで音の嵐を生む
ボーカルが怒号、フィルアンセルモをさらに怒らせたような
王道メタルのリフ感がある
速度が速い、気を抜くと置いて行かれる
どう表現したもんか、暴虐の嵐というべきか
★★★★☆

7 Bottom Feeders 2:42
少し幽玄な響きで油断したところに爆走が入ってくる
疾走しまくる、すさまじい速さ
怒号、ジェント的なフレーズ
オーガニック感はあまりない、機械というかなんだろう、鍛え上げられた怪物的な
目にもとまらぬ戦闘というか、何が起きているのかよく分からない
疾走一辺倒ではなくミドルテンポも入ってくる、
ギターのフレーズは蠢きまくる、緩急がリズム隊でつけている
そこから疾走へ、バスドラ連打ではなく超高速ツービード
早すぎるが正確さ、聞いているうちに頭の回転が速くなりそうだ
残響音、こちらもクラウトロック的
★★★★

8 Absurd Hero 3:05 ★
前曲から続く、メロディアス
リフがしっかりある、メロディをギターが奏でる
この曲は北欧的な響きがある、メロデス的、吹きすさぶ荒涼感
激烈感は凄いが哀愁がある、前が見えない吹雪
ストップアンドゴー、細切れにリズムが停止するが全体としては流れていく
ものすごくかっちりしてるから北欧ではないだろうな
しかしテクデスでメロディの奔流を感じるとは
哀愁、泣きメロではないがこの曲は寒々しい感じはする
★★★★☆

9 Flickering Light 3:16
少しSF的、反復する、SF的というのは同じ和音を繰り返すというかアンビエントというか
マニュエル・ゴッチング(今は亡き東京タワーの蝋人形館のBGM)やスティーブライヒががやっていたような同じコード、フレーズの反復というか、なんというか80年代の「近未来」感があってSF的
そういう音からスタート
と書いている間に曲がどんどん進んでいた
フレッシュな音像、とにかく激烈に疾走していく
途中で反復フレーズ、ギター2本が絡み合い、そこにドラムが入ってくる
凄いな、3分の曲にこれだけドラマを入れるとは、、、
★★★★☆

10 Tarnished Legacy 3:31
だんだん正統派メタルに聞こえてきた、なんというかリフとか展開になれてきたというか
これは高速ツービートかな、いやブラストが入ってきた
リズムの激烈さ、ギターのメロディアスさ、ボーカルの歯切れの良さやフレーズが絡み合って押し寄せてくる
メロディは無機的ではなく表情や煽情性がきちんとあるが、泣きメロではない
なんというかメタル的、かっこよさを追求したパワーメタル的な音像
これで泣きメロとかやられたらやばいですよ、押し寄せてきますよ
間奏でメロディが舞い踊る、スィープか
イングウェイとかに弾いてほしいなぁ、このスピードは凄い
あそこまでの音の太さはない、優美に弾き狂っている
最近の速弾きの人は一音一音がクリアでキレイだよね、それはそれでいいんだけどイングウェイの速弾きはなんであんなに音が太いんだろう
ああいう音で入ってこられたらたまらないだろうなぁ
とはいえ、これはこれで音程移動が脳の神経、今まで使っていなかった聴覚を刺激する
★★★★☆

全体評価
★★★★☆
「激烈さ」では今年一番な気がする、アルバム全体で30分、一気に駆け抜ける
ただ、要素はめちゃくちゃ多い、さまざまなリフやアイデアが詰まっている
それらを倍速で演奏しきるような勢い
後半はシンセによるSE的な音、少しSFっぽいというかクラウトロック、プログレに取り入れられるテクノ感というか
そういう世界観が入ってくるのも面白い
かなり体力を持っていかれる音楽
「とにかく激烈な音楽体験がしたい」という話になったらこれは候補だなぁ
音は分離が良く整理されている、音数が多いので混乱はあるが、混沌とはしていない
超絶な速さできっちり整理されている、というのも感動ポイント

ヒアリング環境
夜・家・ヘッドホン

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