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Testament / Titans of Creation

1983年結成、1987年デビューのベイエリアスラッシュの雄、テスタメントの2020年作。ベイエリアスラッシュはアメリカ、サンフランシスコに隆興したスラッシュメタルのシーンで、エクソダス、メタリカ、デスエンジェルなどが著名。詳しくはこちら。テスタメントもその中核を担ったバンドで、キャリア30年近い円熟味あるスラッシュメタルを奏でています。曲の構成はさまざまなパートが重なり合って緊張感を増していくのですが、ちょっとギターソロは印象が薄め。この辺りは他のベイエリアスラッシュのバンド全般に言えますね。リフはすごくカッチリしてるのに、ソロはそんなに練られていないというか。とはいえ、ベテランの円熟味と凄味を感じられる素晴らしいスラッシュメタルアルバムです。最近のテスタメントは勢いがありますね。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Chirdren of the Next Level
切り込むようなリードからザクザクした刻みに
重厚感のあるリズム、重戦車のような突進力
ボーカルが入ってくる、力強いボーカル
コーラスの後、場面切り替えではメロディアスなギターフレーズ
ハーモニーが入り、少しリズムが展開し、やや手数の増えた状態で間奏へ
短いソロの後再びヴァースへ、2回目の反復でテンポアップ
だんだん加速していく、メロディアスなブリッジ
メロディが展開する、場面展開が早い
だんだんと熱を帯びていく、テンポアップの作り方が上手い
ふたたびコールアンドレスポンス、シンガロングなハーモニーパート
間奏へ、ドラムの熱量が増している、灼けた鉄のようだ
ザクザクしたギターリフが刻まれ、メロディアスなツインリードに
抒情性はあまりない、どこか伝統的ながら無国籍なメロディ
疾走感を増しギターソロへ、超速弾きというわけではないが加速感がある
ブラスト気味になり再びブリッジへ、ヴァースへ一度戻り、コーラスへ
ドラムが叩きまくり、ギターもベースも刻みながらうねっている
イントロと同じフレーズに戻る
音数が増えた楽器が絡み合い終曲
★★★★

2.WWⅢ
疾走感のある曲、ドラムが手数多くたたく
バスドラよりタムが重い
ギター、ベースはうねりとザクザク感の併存するリフ
ボーカルがその上を滑りながら言葉を吐き捨てていく
なめらかな疾走、リズムは大型エンジンのついた大型車のようだ
ボーカルには大型バイク、バイカー感がある
コーラスまで駆け抜けて、ギターだけになり打ち下ろすリズム
ふたたびヴァースへ、ドラムの回転数が一度落ちる
ところどころ高速でツーバスをたたく、暖気中
スピーディーな刻みが入り場面転換
疾走するギターソロ
ブラストでコーラス、ブラストとツービートが交互に出てくる
気持ちよくヘドバンできるリズム
歌メロになると横揺れリズムになる、同じテンポのまま時々ブラストが入る
ギターとベースは機械のようにザクザク刻み続けている
★★★★

3.Dream Deceiver
ややハードロック的なリフ、音数が多い
ドラムとベースは手数が多い
ちょっと余白、タメが多い曲、歌メロとリフが絡み合うのがかっこいい
サビはちょっとプリーストっぽい
運命の翼、にディシーバーという曲があったような
初期JPほど耽美的ではない、ザクザクしたハードロックリフにややポップなサビが乗るという構造がJP的
ドラムが隙あらば走り出す感じが良い
間奏へ、ドラムは間断ブラスト
なめらかに疾走しだしてギターもメロディを高音で奏でる
ふたたびリフへ、だんだん音数が増していく、開放感が増える
力強いザクザクとドラム、各ヴァースで同じフレーズでもだんだん力強くなっていくのが盛り上がる
こういうプロダクションなのだろう、上手い
昔クィーンのJAZZは曲の後半に行くにつれて微妙に音量が大きくなる、という仕掛けがあった
このアルバムも曲の後半に行くにつれてだんだん音が厚くなっていくように感じる
★★★★☆


4.Night of the Witch
暴走機械てきなリズム、突進するドラム、ザクザク刻むギターとベース
そこに吐き捨てのボーカルが乗る、ボーカルは基本的になめらかに音を紡ぐのでスムーズに聞こえる
スクリームに近いがはっきり言葉も聞こえるし聞きやすい、この声は魅力
ブリッジではメロディアスなギターフレーズに乗って強いスクリーム
コーラス、シンガロングパート、ややホラーな曲調
ドラムが突進し、ギターリフは展開していく
刻みと吐き捨てボーカル、ブラストでブリッジへ、ギターフレーズもホラー感
コーラス、ハロウィンパーティによさそうな曲
ギターリフから間奏へ、ふたたびリフに戻る
ギターだけになり打ち下ろされるリズム、再びヴァースへ
★★★☆

5.City of Angels
ややミドルテンポで、ひっかくような高音と低音との対比があるリフ
そこからザクザクしたリフに、とにかくリズムがパワーがあってどっしりしている
疾走感より突進力
ハーモニー、中音域のボーカルが少し響いた後、勢いよくクリアなボーカルが飛び込んでくる
メロディアスなフレーズが出てきてヴァースへ
神殿を建てるような、荘厳ささえあるテンポ
メロディアスなブリッジを経てヘヴィなパートへ
ソロを経てオープニングのリフへ、煮えたぎる高炉
メロディアスなブリッジ、ザクザクした刻み、振り下ろすリズム
ユニゾンで走り出す、列車の疾走のようだ
とにかく音の圧が高い、ギターソロへ
ドラムソロのような手数の多さを経て展開
ギターがややメロディアスなフレーズを弾き、そのままヘヴィなパートへ
ふたたびヴァースへ戻る
メロディアスなパートへ、これがコーラスなのか、少し控えめ
そのまま一気に終曲
★★★★

6.Ishtar's Gate
何かを呼び出すような、揺れるメロディでスタート
ギターの刻み、YouはShockのリズムのリフ
ベース、ボーカルとドラムだけになり、少しテンポがかけて圧が上がりギターが戻ってくる
この圧のかけ方が上手い
少しオリエンタルなフレーズの間奏、オープニングと同じ
そこからギターソロへ
オリエンタルなフレーズはイシターの表現か
イシターは確かオリエンタル、砂漠の方の女神だった気がする
最近ジャケットがどこか荘厳になってきているが、その通りの音世界
駆け足リズムになり再びYouはShockリズム
ボーカルが入ってきてヴァース
ツービートでやや手数が増え、疾走感が増す
イシターのメロディー、荘厳な男の声、何かを語っている
終曲、キメて終わり
★★★★

7.Symptoms
ギターが絡み合う、少しツインリード的なハーモニーがあるフレーズ
そのままベースとドラムが絡みついて始まる
ドラムが手数を増やして場面展開、のしのし歩くリズムに
力強く切り込んでくるボーカル、アジテーションするようなコーラス
切れ味がある、リフが鎌首を持ち上げて反復する
のしのしリズムのヴァースに、ガラが悪い
アジテーション的、ギターのオブリガードが入る
コーラスを経てメロディアスなギターリフ
間奏、ギターソロ、じっくり上昇下降を繰り返す
ツインリード、ブラストビート、ツインリードはやや抒情的なメロディ
メロディが崩れリフからヴァースへ、やはりだんだんと音圧が上がっている
緊張感が高い
音がクリアになりアジテーションが続く
掛け声が分厚く、大きくなっていく
★★★★

8.False Prophet
疾走、絨毯爆撃していくリフに疾走するドラム、刻むベース
ギターは音をまき散らしながら突進する
やけくそ、混沌感はなく極めてかっちりしている
だんだんドラムの手数が増え、大きな機械が動き出す、エンジンがかかる
同じ曲の中でとにかく疾走感、音圧、緊張感が増していく
次々とフレーズが繰り出される
ギターソロ、ソロで少し圧が落ちる気がしてしまう
バッキングの作り方は巧みなのだがギターソロ部分だけがやや弱いか
緊張感を終始保ったまま終曲
★★★☆

9.The Healers
ミドルテンポ、少し大人しめ
ヴァースからブラストのブリッジへ
ブラストを経てギターリフの回転が上がる
ふたたびブリッジへ、ボーカルがメロディアス
ギターの音が動き、音がうねる
ブラストが続く、かなり細かいブラストを正確にたたく
突進感がある
テンポそのものは横揺れ、そこまでアップテンポではない
テンションを保った間奏、リズムチェンジしてブラストビートに
ちょっと人間椅子的でもある、ドゥームな感じ
歌が入ると雰囲気が変わる
曲としてはドゥームだがボーカルの切り込み力が高いので重さより切れ味を感じる
★★★☆

10.Code of Hammurabi
コードオブハンブラビ、ハンムラビの暗号か
ややオリエンタルなオープニングから疾走パートへ、アップテンポ
最初は音圧は低く始まる、やや軽快さがある
ボーカルが切り込んでくる、ハーモニーが次々と飛んでくる
だんだん加速していく、巻き込まれるものが増える
ドラムが手数が増え疾走感が増す
少し変拍子的なメロディ、フックが入る
ベースがうねり、ギター、ドラムが追いかけてバンド全体がオリエンタルなフレーズでうねりだす
その上にギターソロ、ギターソロは印象的というより音の空間処理、効果音的な役割が強いのか
それほど印象的なフレーズはないが場面転換に使われている
ソロからツインリード、ソロとしてメロディは奏でているが抒情性を排除している
ふたたびボーカルへ、疾走する
コーラスは3小節で循環する
★★★★

11.Curse of Osiris
オシリスの呪い、エジプトか
疾走曲、最初からドラムが爆走している、ボーカルも切り込んでくる
ギターも加速と急停車を繰り返す
ブリッジ、ボーカルが絶叫、ドラムもブラスト、一番テンションが高い
今まで重戦車的にじわじわと圧を上げてきたが、これは最初から高圧
コーラス後半のテンションの上がり方はブラックメタルのようだ
グロール感の強いボーカル
中間部でリズムが変わりミドルテンポで言葉を投げつける
ふたたび疾走パートへ、ボーカルが金切り声スクリーム
ギターは荘厳でありながら高速でリフを刻む
ギターソロもこの曲は勢いがある、沸騰したヤカンのようだ
エスニックなフレーズを上昇
ふたたびドラム叩きまくり、ベースも刻んで終曲
★★★★☆

12.Catacombs
うめき声のようなギターの音が多重に重なる
クラシカルな、荘厳なリズムが鳴り響く、行進曲や軍楽、マーチのリズム
弦楽器的なキーボード音が出てくる
男声クワイアが入る
勢いが強い
たたきつけるようなリフ、残響音、2分ほどの曲
アルバムのエンディング
★★★

全体評価
★★★★
どの曲もクオリティが高い、一つの曲の中でテンションを高めていく手法が上手い
ドラムの手数やフレーズの重ね方で音圧が増していく
ボーカルも表現力豊かで説得力が高い
一つ惜しいのはギターソロ部分でややテンションが下がるところ
爆走曲ではなく構築された完成度の高い楽曲が多いが、そこで即興性の高いソロが入るとテンションが下がる
ツインリードのパートなどはいいのだが、もう少しソロ部分の構築度が上がるとテンションが上がり続けて好み

リスニング環境
夜・家・ヘッドホン

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