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Harem Scarem / Change the World

カナダの生んだハードロックバンド、ハーレムスキャーレムの2020年作。1987年結成、1991年デビューのベテランです。爽やかなハードロックで日本でも人気を得ましたが、グランジオルタナの隆興を受けて1990年代後半にはバンド名をRubberに変えるなど試行錯誤を経て2008年に一度活動休止したものの、2013年に復活しその後はコンスタントに作品を発表しています。ベテランらしい円熟味のある演奏力、爽やかな歌メロながらグランジ・オルタナをきちんと通過して消化している作曲センスを楽しむことができる良盤です。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Change the world
メロディアスなギターリフからバンドが入ってくる
明るい、開放感のあるボーカルメロディが入る
メロディアス、ブリッジからコーラスへ、コーラスはハーモニー感が強い
力強いコーラス、1回目のコーラスではバンドが引き、ボーカルがアカペラ的に前面に出てくる
そこからバンドが戻ってきてヴァースへ、力強い
新しい一日の始まりを感じる
再びコーラスへ、バンド入りで力強いハーモニー
ギターソロへ、適度に技巧的でメロディアス、上手い
ふたたびアカペラ的なハーモニーでコーラス、バンドが戻ってきてコーラス
デフレパードのようなリッチでビッグなサウンドで、よりメロディアス
コーラスが絡み合う
★★★★☆

2.Aftershock
ややハードドライビンなギターリフからスタート
ミドルテンポだがやや早めに感じるハードロック
ボーカルメロディが入り、コードがしっかり展開していく
コーラスはメロディアス、ハーモニーが分厚いがしっかりメインボーカルに芯がある
演奏力と作編曲がかなり高度なレベル
コード進行がどんどん切り替わっていくが取って付けた感じがなく、メロディが自然に流れていく
コーラスからギターソロ
テクニカルとメロディのバランスが良い
アコギになりコーラスへ、メインボーカルのみで聴かせた後バンドイン
どこか懐かしさを感じる良曲
★★★★

3.Searching for Meaning
メロディアスでコードがしっかり展開するギターリフからスタート
ボーカルが入ってきてもメロディアス、こういうコード展開は気持ちいい、バンドサウンドの醍醐味
ブリッジからコーラスへ、コーラスはシンガロングでメジャーとマイナーがうまく切り替わる
ギターがしっかり印象的なフレーズを奏でて、ベース、ドラムも適度に展開していき単調さがない
USのバンドより哀愁があり、UKのバンドよりコード・メロディ展開が早く感じる
カナダらしさというのは何なのだろう、北欧的なメロディアスさがあるがもっとカラッとしている
USらしいテクニカルさ、緻密さ、高品質さもある
ドラムとベースの音が力強い、ギターもヘヴィさはそこまでないもののしっかり芯がある
コーラスが絡み合ってくるのはRush的なのか
★★★★

4.The Death of Me
ちょっとグランジーなギターリフからスタート、ただ、ドラムとベースは歯切れ良い
ボーカルはテンションがかかったメロディだが不協和音感はない、クリーンで心地よい
コーラスは一瞬アカペラになりボーカルメロディが前面に出た後バンドイン
この緩急のつけ方はうまい、ボーカルのうまさ、声の魅力が出てくる
ブリッジからコーラスが耳に残る
明るく陽性なのだがマイナーの使い方が上手い、煽情的
ギターソロはがらっと雰囲気を変えて、音階は西欧的ながらオリエンタルな印象を持つ下から上がっていくメロディ
ツインリードで絡み、通常のソロへ
空気が変わったところで再びコーラス、声が入ってくる
再びコーラスへ
ギターリフは音の組み合わせ方に少しプログレ感がある
★★★★★

5.Mother of Invention
ピアノとボーカルからスタート、フレディマーキュリー感がある歌い方
声質は違うものの初期クィーン的なヴァース
コーラスになると別物、耽美性がない爽やかなコーラス
再びヴァースへ、裏側にコーラスも入ってきて、かなりクィーン風
コーラスはポップ感だが、コード進行や音色はロックバンドそのもの
マイナーキーの使い方が上手い
メロディ展開と、ハーモニーが少し別メロを入れてからハーモニーに行くのが上手い
ブリッジで展開してややビートルズ的な、サイケなコード進行からギターソロへ
短いパートながらうまく空気をかえている
ソロのマイナーコードからコーラスのメジャーコードへ展開、匠の技
コーラスではポリフォニー的に他メロが入ってくる、この手法が上手い
★★★★

6.No Man's Land
ややヘヴィで反復するギターリフからスタート
どこか不思議な響きの空間残響音が強いキーボードがずっと鳴っている
そのままボーカルイン、ちょっと無調な感じのヴァース
ブリッジでは着地してBON JOVI的とも言えるマイナー調のメロディへ
コーラス、これはアメリカ色が強めの曲か
カントリーやブルースの影響を感じる
ベースがけっこううねっている
サビにはこのバンドならではのメロディ展開を感じる
2回目のコーラスの後間奏、リズムブレイクとギターリフ
ギターソロはハーモニーをうまく使っている
比較的王道のハードロック的なソロで、コード進行もそのままコーラスへ
最後のコーラスの終わりだけメジャーコードで着地
アウトロはマイナーで余韻
★★★★

7.In the Unknown
メロディアスなギターリフからスタート
マイナー調でテンションがかかったバンドサウンド
ミドルテンポでバンドサウンドが進行していく
ブリッジからコーラスへ
コーラスは開放感あるメジャーコードからスタート、マイナーは入るものの開ける感じ
歌もぬけの良い歌い方
これもコーラスはややアメリカ大陸やカントリーを感じさせるが、最初のギターメロディは抒情的
融合度合いが心地よい曲
コーラスからギターソロへ、同じコード、リズムだがギターがメロディアスで刻む
リズムが展開して空気を変え、コーラスへ、コーラスはボーカルのみのアカペラ的な雰囲気
ハーモニーで別メロが入り、バンドイン
再びコーラスへ、サビのメロディをしっかり活かしている
サビの終わりからアウトロまで緊張感を維持する、コード進行が上手い
コーラスが続く中フェードアウト
★★★☆

8.Riot in My Head
音階の展開が早いギターリフ、バンドサウンドからスタート
弾いたら楽しそう
ボーカルが入ってくるが、ギターリフが絡み合う、ハードロックの王道スタイル
ややテンポは早め、今までで一番早いかも
コーラスは力強くややパンキッシュなメロディながら丁寧に歌い上げていて吐き捨て感はない
ブリッジミュートでちょっと刻み感があるギターリフ
再びヴァース~コーラス
間奏へ、ギターが雰囲気を変える
ギターがのびのびと弾いている
コーラスではギターとボーカルの絡み合いが楽しい
★★★★

9.No Me Without You
キーボードとボーカルからスタート
力強い、前面にでるボーカル
ドラムが入ってくる
コーラス、入りがちょっとテンションがかかったようなコードで新鮮
サビは歌い上げる
ブリッジまでメロディが展開し、コーラスに入る瞬間に少し違う感覚がある
このコード展開は面白い
2回目のコーラスの後さらに展開、別のコードへ、瞬間的に転調しているのだろうか
これは良いメロディ
★★★★☆

10.Fire & Gasoline
ギターリフとドラムの連打からスタート
手数の多いギターリフ、迫ってくるような印象
ボーカルが入るとバックが引き、声だけに
ヴァースの繰り返しからドラムが戻ってくるがやや控えめ
出だしは勢いがあったが最初は抑え目に行くのだろうか
コーラスへ、テンションが上がっていく
コーラス後のボーカルとギターの絡み合いがスリリング
再びヴァースへ、ドラムがけっこう大人しめ
コーラスでは軽快に走り出す
ギターがドライブしている
コーラス終わり、ギターとボーカルが絡んだ後ギターソロへ
ギター一本で適度にメロディアスでテクニカルなギター、構築が上手い
コーラスへ、勢いはあるがバンドがリラックスして楽しんでいるような曲
テンションは高めだが、楽しんでいる感じがある
ギターリフは面白い
★★★★

11.Swallowed by the Machine
うねるようなギターリフ、ミドルテンポからボーカル
ちょっとプログレ的なにおいを感じる
物語るようなボーカルライン
ブリッジでは展開する、ギターがずっとメロディアス
ボーカルとギターの絡みに技を感じる
ベースとドラムもしっかりボトムを支えている
コーラス最後のフレーズを繰り返し、最初はマイナーからメジャーに戻り、再びリフへ
半分の長さのヴァースからブリッジへ
開放感あるコーラスへ、メロディが自然に流れる
今度はコーラス終わりがマイナーで、そのままギターソロへ
反復フレーズからギターソロ~コーラス
コーラス繰り返し、ボーカルラインが一部重なる
★★★☆

総合評価
★★★★☆
全曲クオリティが高く、どの曲も魅力的
ただ、ちょっと後半似たタイプの曲が多くなる、アルバム全体としてみると聞き飽きてテンションが下がる
6曲目ぐらいまではワクワクしながら聞けるのだが、7,8,10,11あたりがやや弱い
バンドとしてチャレンジしていく、新しいものを切り開いていく曲が後半にあると良かった
全体としては素晴らしい、メロハー好きなら聞くべき良盤

リスニング環境
朝・家・ヘッドホン

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