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タリン大学サマースクールに参加して学んだことと、これからの課題

この記事では2023年タリン大学サマースクールに参加し学んだことやこれからの課題について書きたいと思います。
サマースクールはすごく楽しく刺激的で、様々な事を学び、そして自分自身の課題も見つけました。
これからタリン大学のサマースクール・ウィンタースクールへの参加を検討されている方のご参考になれば嬉しいです。

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タリン大学のドミトリーについては コチラ へ。
エストニアのスーパーでの計量器の使い方については コチラ へ。


今回のサマースクールの経験から学んだこと


1. サマースクールには多様な人が参加するので刺激的

今回のサマースクールを通して痛感したことの1つ目は、海外の方々の学ぶことへの情熱とそれを支えるアカデミックな環境の懐の広さでした。
サマースクールが始まるまで僕は「僕のような中年が大学生の若者が集まるようなサマースクールでやっていけるだろうか?」と不安でいっぱいでした。しかし蓋をあけてみると、たしかに僕は平均年齢よりは多少上かもしれませんが、僕より年上の方は沢山いたし、そもそも年齢を気にする人もいませんでした。(73歳でサマースクールを受講している方もいらっしゃいました。その方の学びへの情熱は本当に尊敬に値すると思います。)

またヨーロッパでは外れの方にあるエストニアのタリン大学でのサマースクールにも関わらず、世界中から生徒が参加していました。(ヨーロッパの方が多いですが、アメリカ、アジア諸国(特に香港大学の学生が多かったです)、オーストラリア、南米アルゼンチンの方もいました。)

また生徒の経歴も現役の中高生から大学教授、現役の俳優業をしている方まで様々な方が参加していました。そして僕が知り合った方の多くが修士号、もしくは博士号保持者で、自分の専門とは別の分野のコースを受講していました。興味深いのが、その方々の多くが自分の専門とは別のコースを受講していて、理由を尋ねると「興味があったから」というシンプルな答えが返ってきたことです。

生徒たち1人1人の持っている自分が興味を持ったことを深く知りたいという知的好奇心の旺盛さと、専門的な知識を正式に学べるアカデミックな世界が身近にある(正式な単位がもらえる)という環境が素晴らしいと感じました。
そして、そのような生徒たちが集まっているので講義中のディスカッションの質も高く、また生徒同士の会話も非常にハイレベルな内容でした。

僕が仲良くしていたポーランドの方はすごくひょうきんでお酒好きな方なのですが、生物学の博士号を持っていて、生物多様性の問題からプラスチックごみの分別の問題、食事の栄養に関する事と様々な話題について僕がついていけないくらい詳細に分析していて非常に刺激的な会話が出来ました。(正直、ペットボトルの主成分ごとのリサイクル方法なんて今まで意識したこともなかったし、また緑茶とルイボスティーの色の違いとかもあまり意識したことが無かったです。)

自分の興味ある分野の専門的な講義もサマースクールの魅力ですが、ドミトリーやカフェテリア等でのこういった会話も、多様な学生が集うサマースクールの魅力の1つだと感じました。


2. 英語はマスト

今回のサマースクールを通して痛感したことの2つ目は英会話が出来ることの重要性です。
サマースクールには様々な国の方が参加しますので必然的に英語ベースでの会話になります。そして会話をすることは人と人のリレーションなので英語での意思疎通が出来ないと会話に参加することが出来ません。

近年AI技術の発展により言語の翻訳性能はすごく発達し、ReadingとWritingについてはかなり異なる言語間のサポートがされています。そしてまた、GoogleTranslate等の発達により英語の勉強は不要だという意見もありますが、僕はその意見には賛成出来ません
翻訳こんにゃくのような物が発明されたら話は別ですが、現状は自分自身の力で話せないと自然な会話が成立しません。

繰り返しになりますが、サマースクールに参加している方は様々なバックグラウンドを持った方々です。彼らは共通語の英語で会話をすることにより自分達の知識をものすごいスピードでアップデートしていました。
残念ながら僕は会話についていけず側で聞いていることが多かったのですが、この多様性が持つ知識の相互補完はすごく良い正の循環だなと感じながら、それについて行けない自分がすごく悔しかったです。
相手が持っている生の多様な考え方を取り入れ、お互いを高め合うためにはやはり(少なくとも)英語を習得し、会話が出来ることが重要だと感じました。


3. Listeningも大事だがSpeakingはもっと大事

今回のサマースクールを通して痛感したことの3つ目はSpeakingの大切さです。
僕は今回のサマースクールでEnglish Language Course以外にもう一つ、Finno-Ugric Culture Courseを取っていました。
このコースはエストニアの民族の起源や歴史、現在置かれている状況(indegenous problem: 先住民族の置かれている問題)についてのコースでしたので、講義は英語、時々エストニア語、ロシア語が混じるという環境でした。

僕にとっては人生初の本格的な英語での講義でしたので最初は不安でしたが、スライドを見たり、知っている単語から意味を推測できればListeningはどうにかなりました。(インストラクターの先生はめちゃくちゃ早口でしたがたぶん75%くらいは聞き取れたと思います。Reading Assignmentで与えられた参考文献を読んだ後はほぼ90%くらいは聞き取れた気がします。)
ただSpeakingだけは訓練を積まないとどうにもならず、自分の意見を言えずに終わってしまいました。ReadingとWritingは時間をかければどうにか意志疎通が出来ますが、Speakingはその場でも即興性が問われるため、全く別の訓練が必要だと理解出来ました。

僕はオンラインのUniversity of the Peopleで学んでいるため、(ネイティブよりは遅いですが)どうにかReadingとWritingは対応できたため、Speakingに重点を置いて英語学習を進めていこうと思いました。その課題については下でも触れます。


4. 相手はこちらの話を真剣に聞いてくれるのでしっかり話す

今回のサマースクールとそれに伴う旅を通して痛感したことの4つ目は、僕らと話をしてくれる外国の方々はものすごく真剣にこちらの話を聞いてくれるということです。彼らは僕の英語が下手だからと決して馬鹿にした態度はとりません。むしろ彼らと話していると時々自分の目の奥底を覗き込まれているように感じ、思わず目をそらしてしまうこともあったくらいです。

考えてみたら当然で、僕らが片言のニホンゴしか話せない外国人とお話しする時は何を言おうとしているかすごく考えながら話しますよね?それと同じ状況です。

それを意識出来たのはフィンランドのヘルシンキでLanguage Cafeに参加した時でした。その時はたまたまJapanese Languageコーナーが出来たため、他のFinnishの方々と日本語で話す機会があったのですが、彼らが言おうとしていることをとにかく聞き逃さず何を言いたいのか考えながら話していました。その時、僕の下手くそな英語に付き合ってくれた人たちは皆同じ感じだったんだろうなと感じました。そのことを実感出来て以降、僕は英語で話かける時はへらへら笑わず、真剣に相手に考えていることを伝えることだけを意識するようにしています。


これからの課題

1. 雑談が苦手でも英語をしゃべれるようになるにはどうすれば良いか

今回のサマースクール期間中、多くのマルチリンガルの方にどうすれば英語を話せるようになるのか質問しました。すると、ほぼ全員が「間違えても良いからとにかく話すことだ。」と教えてくれました。そこで色々な人に話しかけることにトライしましたが、なかなか上手くいきませんでした。

そして僕はあることに気付きました。それは、そもそも僕は日本でも他人と雑談するのが苦手だ。という事実です。
自分の興味のあること、例えば自転車や食べ物、IT技術についての話なら何時間でも話せるんですが、それ以外のことにはあまり興味がないので、日本にいる時から雑談が苦手でした。

それに気付いた後でヨーロッパの人達を観察していると、彼らは"Hello", "Thank you"といった普通の挨拶から自己紹介、そしてお互いの趣味や興味の話に持っていくのがすごく上手でした。間の取り方が上手なんですよね。

そのことを踏まえて思い返してみると、カフェや大学構内で雑談する時はなかなか言葉が出て来ず、自分のspeaking力の無さに毎回絶望していましたが、English courseの授業中インストラクターの先生に将来の目標を聞かれ、その理由を尋ねられた時は、自分でも以外なほどスラスラ言葉が出て来ました。

人と話すのが苦手な人間がどうやったらspeaking力を身につけられるのかを考えることが僕の出発点だと気付けたことは今回のサマースクールの一番の収穫だったと思います。


2. 大きな声でゆっくりと落ち着いて話す

ヨーロッパに来て気付いたのですが、ここの方々は声が大きいです。
最初、身体が大きいから声も大きいのかなと思っていたのですが、僕と同じか僕より身体が小さい方も大きなはっきりとした声を出していたので、たぶん声の出し方の問題かなと認識しています。

また僕の課題として、相手にちゃんと伝わるかという不安から声が小さく、オドオドして早口になってしまっていました。
相手の人は発音や話し方でこちらがネイティブでないことはすぐ気がつくと思います。僕も時々時勢の間違えに気付いて言い直そうとすると、"Ok, go on."と言われたりもしました。相手もこちらの言うことを理解しようとしてくれているんですよね。
また、今英語を勉強中ですと最初に伝えてから話すと、「君の言いたいことはちゃんと伝わったよ」とか「良かったよ」と言ってくれます。なので、今は英語が苦手なのを誤魔化さず、落ち着いてゆっくり話すことを心掛けるようにしています。

声の大きさやゆっくり話すということは自分の努力で変えられることです。
声の大きさは自信に、ゆっくりした話し方は心も落ち着かせることが出来ると思いますので、日本に帰ったあともこれらを意識して一言一言を大切に話していこうと思います。


3. 頭の中で翻訳せずその言語で考えるようにする

僕の3番目の課題は、英語で物事を考えるようにするということです。
サマースクール2日目、僕はインストラクターの先生にどうすれば新しい言語を習得できるか質問しました。その先生は自身の体験も交えながら、「頭の中で翻訳しないで、その習得したい言語で全て考える癖を付けなさい」とアドバイスしてくれました。実際その先生もフランス語を学んだ際、すべてをフランス語で考えるようにし、半年で習得出来たそうです。
また、たまたまRussian Language Courseのインストラクター達がミーティングしている内容を聞く機会があったのですが、彼らは生徒たちに"Don't translate it."と指導しているようです。

そのアドバイスを頂いて以降、なるべく英語で考え、英語で独り言をいうようにしていますが、現状なかなか上手くいっていません。全ての物事を英語で考えるようにするのは大変ですが、これも自分自身の努力で克服できる課題なので頑張ろうと思います。
もし良い方法が見つかればまたこちらでシェアしようと思います。


最後に

今回僕が学んだこと、課題として意識できたことは英語学習サイトやSNS等でよく言われていることばかりだと思います。
僕も頭では理解していましたが実際に体験してみると、本当に基本が大事なのだなと感じます。

2023年タリン大学サマースクールに参加し、本当に多くのことを学べました。この記事を読んでくれた方の中でもしサマースクールや留学に興味がある方がいましたら、ぜひ参加することを勧めます。
お金では換算出来ない貴重な体験を積めると思います。

僕の体験を言語するのは難しく、読みづらい文章になっているかと思いますが、読んで頂きありがとうございました。

Good Luck!


追記

ヘルシンキのLanguage Cafeで僕が話していた方は、ターミネータの頃のアーノルド・シュワルツェネッガー激似の方で(顔、髪型、ガタイ、話し方全て)、最初ビビったのですが、学ぶことにすごく真剣な方でした。
その方と話していてSpeaking練習時の注意点みたいなのが少し分かったので記載しておきます。

その方は日本の茶道や武士道にすごく興味があるらしく、彼の言いたいことは少し複雑な文章が多かったです。そのため彼の言葉を聞いていると途中から何を言っているのか理解出来なくなっていました。
しばらく話していて、彼の問題点は複雑な文章を一言で言おうとしているところに起因していると感じました。(複雑な文章をワンセンテンスで言おうとするとどうしても文が長くなり、文の区切りやイントネーションがしっかりしていないと意味が分からなくなってしまうので。)
なので彼には言おうとしている文章を複数の簡単なセンテンスに区切って話すようアドバイスしたのですが、たぶんこれは僕たちがEnglish Speakingをする時にも同じことが言えると思います。

一般的に大人は子供よりも英語習得が難しいと言われますが、それはもしかしたら身体的な能力の問題ではなく、大人は無意識のうちに複雑なセンテンスを考えてしまい言語化することを複雑にしてしまっているからかもしれません。なので、まずは子供のように簡単なセンテンスを繋げて話すことからスタートし、時間をかけて徐々に複雑なセンテンスを一言で言えるよう持って行った方が結果的に早道かもと感じました。
しばらく試してみてもし良い結果が出たらシェアしようと思います。

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