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宮城県加美郡(加美町と色麻町)のこと 今日は役場本庁舎について

加美町では長く本庁舎について、新営の議論が続いています。そこで思ったことを書いてみたいと思います。

①想定最大規模の洪水(内水氾濫など含む)
 役場本庁舎の現在地の西田と町議会で特別議決をした矢越は共に洪水の想定最大規模で浸水する可能性があります。中新田中心部や四日市場、下新田、中嶋、下野目、君ケ袋、鳥屋ケ崎など広域に浸水する可能性が示唆されていてその際には小野田や宮崎の高い方へ避難を余儀なくされる可能性があります。役場機能も小野田支所・宮崎支所へ一時的に移動しなくてはいけないことも考えておかなくてはいけないと思慮します。
加美町防災ハザードマップ
 鳴瀬川ダムを多目的ダムとして開発・漆沢ダムを洪水調節専用化として再開発を行う工事が進んでいるので完成すれば軽減されるかもしれません。しかし、どうなるかわかりませんので考えておく必要があると思います。
 2019年、台風19号により丸森町は甚大な被害を受けました。特に丸森町役場や郵便局、農協、病院、町営住宅、スーパーマーケットなどが内水氾濫により大規模な浸水被害をうけました。
 丸森町に齋理屋敷という昔の豪商だった方の屋敷を郷土資料館として公開しています。そこにで齋理屋敷など西の高台に街が出来た経緯として、水害により東の低地から街全体を西の高台に移した街場替えについて説明していました。時が流れて東の低地が再度利用されるようになり、丸森町役場もその西の高台にあったのですが東の低地に移転しています。
丸森 街場変え 東北大学災害科学国際研究所 人間・社会対応部門 歴史資料保存研究分野 准教授 川内 淳史
 新営したばかりの茨城県日立市役所が2023年9月16日、庁舎脇を流れる数沢川の溢水により、水が地下の電気室に流れ込み市役所機能が喪失しました。東日本大震災などで被災したため、万全を期しているはずでした。まず、電気を学んだものであれば地下に電気室を設置することはあり得ません。国交省がさだめている「官庁営繕の技術基準」の「官庁施設の基本的性能基準」で「電力供給機能 の確保」が庁舎機能別でさだめられていますが役場においては『分類Ⅰの「商用電源の途絶時又は施設内での電力 供給に係る事故の発生時においても、 相当期間にわたり必要な国家機関とし ての機能を維持するために要する電力 供給機能が確保されている。」』と同等機能が求められると思います。
 日立市役所を新営した場所はの数沢川が起こす内水浸水想定区域として事前に想定されていた場所でもありました。日立市WEB版ハザードマップ
 加美町においては、本庁舎建物へ支出する際は小野田支所・宮崎支所庁舎が万が一の際に拠点になれる修繕・改修を同時に考える必要があると思慮します。

②政府方針「インフラ長寿命化基本計画」
 政府で「インフラ長寿命化基本計画]を策定しています。財政が非常に厳しい中、高度成長期のインフラを中心に老朽化が進んでいます。しかし、全てを作り直すことは不可能であり、既存インフラ・施設は最大限修繕を行い長期間使用していく方針です。全省庁でインフラ長寿命化計画(行動計画)を策定しています。(事例:厚生労働省インフラ長寿命化計画(行動計画))地方自治体についても対応を求めています。
内閣官房「インフラ長寿命化基本計画」
内閣官房「インフラ長寿命化基本計画の概要」
 庁舎も同様で国土交通省「官庁施設の保全長寿命化・老朽化対策」のサイトにあるように基本的に修繕を行い使用していくこととなっています。政府の庁舎新営は省庁別の庁舎集約や災害で大規模被災、著しい老朽化、増築などが出来ない場合です。
 宮城県庁南にある仙台第一合同庁舎A棟(1965年新築)で加美町本庁舎(1966年新築)とほぼ同じ年数が経過しています。政府は仙台第一合同庁舎A棟は修繕工事・B棟は省庁別庁舎の集約増築を行いました。
A棟:修繕工事  B棟:増床工事

③政府等の「インフラ長寿命化基本計画」に伴う庁舎大規模リニューアル・増築事例
海南税務署
彦根気象台
指宿税務署
浦川税務署
秋田公共職業安定所
公共建築物の老朽化対策に係る事例集

④官庁営繕における木材の利用の推進
 「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づき、公共建築物における木材の利用の促進が求められており、木造による庁舎新営・増築が増えています。
国土交通省「官庁営繕における木材の利用の推進」
株式会社シェルター:仙台に7階建木造ビル、宮城県内自治体庁舎で木造庁舎建築実績あり
・木造庁舎事例:政府事例 政府木造実
 加美町には利用適材期の木が山林にたくさんあることを忘れてはいけないと思います。町有林の木は先祖たちが将来、町で公共施設を建てる時にのために残していってくれたものです。
 サイディング(外壁)も旧鳴瀬小学校のように赤杉板が良いと思います。赤杉板が長く持つのは私たちが経験でわかっていることです。ダメになった部分は簡単に交換できます。

⑤花粉発生源対策関連補助事業
 政府は花粉症対策として、杉を中心に花粉が少ない杉等に植え替える補助を行うことを打ち出しました。
林野庁における花粉発生源対策
 私は杉材の価格低迷に拍車がかかり、製材をせずそのままチップ化し火力発電所のCo2削減を計算上達するためのものに使用されたり、丸太で付加価値がない状態で中国に流れる量が急増しないかと懸念しています。
ジェトロ:中国木材・木製品流通協会、訪日ミッションを派遣
 ④杉材が今後、大量に出てくる可能性が高まっています。加美町では自分自身で使うとともに県内の公共機関などの建築物で最大限しようしていくことを働きかけるべきと思慮します。

『林業については、別途に再度自分が思っている事、加美郡の林業はどうだったかの統計資料を見つけましたので書きたいと思っています。』

⑥ZEB Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
 いま、ビルなど建築物はエネルギー消費を最大限使用しない建物へ新営・改修時に移行することが求められています。当然、役場関係の建物は全てです。
 断熱、省エネ設備、創エネなどが主なものです。
・断熱 
  窓:窓ガラスを真空ガラスや複層ガラス化、二重サッシ化
  外壁:断熱材附加(サイディングは木質でもOK)
・省エネ設備
  高効率エアコン・LED・エコキュート・熱交換付き換気設備・ペレット  
 ストーブ等
・創エネ
  太陽熱発電機・蓄電池・太陽熱集熱暖房換気(ソーラーこはるび)
・BEMS装置導入
高いものが多い様にみえます。しかし、工夫をすれば安くもできます。
ポイントは
・余計で使いきれない機能はつけないこと
・長期的に修繕費用を考えて機器類は標準の安価なものですますこと
・事務室は四角でよい(必要に応じで間仕切りをすればい)
・エアコンは単純機能で室外機を集中化しない個別パッケージ。各エアコンは管理だけ集中方式。同時に熱交換器換気扇も管理。(個別にする理由は壊れた際にお金がない場合、壊れた個別エアコンだけを交換可能なため。あるいは交換せずとも他の個別エアコンでカバーできるため)
環境省 ZEBポータル
無理をせずZEB改修

⑦国庫補助金
現在、庁舎建設に利用できる国庫補助金で確認できたもの(金額も非常に多いものがあります。)
・林野庁がまとめたもの
建築物の木造化・木質化に活用可能な補助事業・制度等一覧
・環境省がまとめたもの
補助制度一覧
 (CLT等木質化には別枠あり)
・国交省
サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)
住宅・建築物省エネ改修推進事業
サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)及び
優良木造建築物等整備推進事業

私が加美町庁舎で思うのは財源(後年度負担を最小限)にするため、現在の中新田及び小野田、宮崎の3庁舎を残して改修や増床、減築すべきではと思うのです。
・本庁舎の大規模リニューアル(増築含む)を行う
・本庁舎増築部分は木造も視野に入れる
・不足する部分は現庁舎西側の土地に増床木造庁舎を建てる
・意匠は中新田中心部や旧鳴瀬小、さわざくら公園、中新田小学校などを意図する。(現庁舎大規模リニューアル及び増床新築分)
・国庫補助金を最大限生かすため、ZEBや木造などを最大限行う
・町内産木材を使用する
・小野田庁舎・宮崎庁舎も大規模リニューアル等を同時に検討する。
(仙台市秋保総合支所のような業務範囲で検討。業務指数で職員数を判断)
(日本で人口が一番少ない野迫川村336人で行政職27名)
 小野田支所や宮崎支所の改修も行う必要があることを考えると大規模新営は将来の財政へ過度な後年度負担をかけないか心配です。

加美町新庁舎建設工事及び農業用用排水路付替工事の事業認定に 係る公聴会の記録を読みましたが現庁舎西田へのアプローチは国道 347号, 457号からのアクセス道路はよいと思えました。国道 347号, 457号より道路状態はよいかもしれません。

本庁増床棟は他の場所に分散している各部局だけでなく、町政と連携を密にしなくてはいけない社会福祉協議会など各機関を可能な限り入居をさせる。政府機関、県機関など希望があれば入居させるなどをしてよいと思います。政府機関が自治体庁舎、所有している建物に入居が非常に増えてきました。

他の参考
・林野庁
地方公共団体等が整備した公共建築物における木造化・木質化事例
・国交省
 「都市(まち)の木造化推進法」に基づく基本方針では、中大規模の建築物を含め、公共建築物において積極的に木造化を促進
CLTパネルによる袖壁を用いた中規模庁舎の試設計例 
・RC造修繕:低圧樹脂注入工法
     解説
 国交省「公共建築改修工事標準仕様書」に採用





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