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「確率思考の戦略論」を読み解く 第3章 戦略はどうつくるか

以前に読んで感銘を受けた「確率思考の戦略論」。多くのマーケターの方からもマーケティングのベスト書籍の一つに上げられています。

もう一度読み直しポイント整理と気づいた点を書きとめます。
今回は、第3章の戦略はどうつくるか、です。

戦略を作る上で重要なことはゴール地点の景色のイメージを持つことです。
ゴール地点でどのような景色(=売上)が描かれているべきなのかを理解するために売上を支配する7つの要素を知る必要があります。

売上を支配する7つの要素

売上を支配する7つの要素を以下のように上げます。
これら7つの要素が戦略のゴール地点でみる具体的なポイントとなります。

「確率思考の戦略論」より引用

「認知率」と「平均購入金額」は企業側で比較的コントロールしやすい要素となります。

売上予測モデル

次に7つの要素の組み合わで簡単にできる売上予測モデルは以下の通りです。

年間購入者の全世帯に対する割合
=認知率×配荷率×過去購入数×エボークド・セット率×年間購入率

年間売上予測
=総世帯数×一年間に買う人×平均購入回数×平均購入金額

この予測モデルは、逆算に使われることが多いです。
売上目標が先にあって、目標達成するためにどのドライバーをどれだけ伸ばせばよいのかを検討します。

そして、これらの要素を上げるための主要要因はプレファレンスということになります。

プレファレンスについて

第1章から本書において言われていることとして、プレファレンス(好意度)はブランドの質的成長(=ポテンシャルそのもの)となります。
そして、そのプレファレンスを決定しているものは、ブランド・エクイティ製品パフォーマンス価格の3つであるとしています。そして、この賞においてこの3つの基本的な考え方が述べられています。

ブランド・エクイティ
すべてに優先される重要な要素がブランド・エクイティです。
ブランド・エクイティは、市場における競合との相対的位置づけで決まってきます。競合に対しての強み・弱みを把握して、顧客の頭の中でのポジショニングを知ることから始めます。そして、自社のポジショニングを強めるための「差別化」を行います。
ただし、「差別化」においては、第2章でも警鐘を鳴らしているように、目的は「プレファレンス」を増やすことであることを忘れてはいけません。
意味の無い差別化でポテンシャルを狭めるだけのものが多いと指摘しています。

製品パフォーマンス
製品機能としてのパフォーマンスは製品カテゴリーによって重要性の程度がことなってきます。
たとえば、家電製品などは製品機能が重要で一度認められるとエボークド・セットに入って長く愛用されることになります。一方で、ミネラルウォーターのような商品は機能よりもイメージが重要となってきます。

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価格
価格を決めるのはだれか?
値付けをするのは企業でもそれを買うかどうかを決めるのは顧客です。
よって、価格を決定するのは実は顧客です。

消費者と企業は、プレミアム・プライシングや値上げによる果実を共有している。

マーケターの仕事は、ブランディングによってエクイティを強化し、ブランド価値を大幅に高めて、その結果として中長期に投資可能な水準の価格を消費者からいただくことを可能にすること。

マーケターは価格について、特に強い思いをもたないといけないことを認識させられます。

まとめ

この章のテーマである戦略をどう作るのかについてはまとめると以下のような感じです。

まず、到達すべき目的地点(ゴール)があって、そこに景色が明瞭になってからたどり着くための道筋を作っていく、そして、道筋の足場としてプレファレンスの伸び代を置いていく。

重要なのは1つの道筋だけを探すのではなく、いくつかの道を見つけて最良のものを選ぶこと、としています。

本書では、森岡氏のUSJのおける価格への挑戦など非常に面白いケースとともに説明されています。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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