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【NPO書評】驚きの「リアル進化論」 (扶桑社新書)

今回もオーディオブックのAudbleでたまたま見つけて、タイトルだけで読んでみました。
著者はテレビなどのメディアなどによく出ている生物学者の方なんですね。

中学校か高校で習った程度のダーウィンの進化論の知識でしたが、進化論について、アップデートできました。
前半はダーウィンの進化論というものがどういうものかというお話。
後半は、現在の生物学の知見から最新の生物の進化ということについてのお話でした。
昔の学校の知識はどんどんアップデートされていますね。
よくプレゼンなどで安易に「進化論」という表現を使っているケースがありますが、ダーウィンの進化論というものがどういうものかちゃんと理解していないと恥ずかしい使い方になってしまいますね。そして、現在の進化論の考え方も押さえておかないといけないですね。

驚きの「リアル進化論」 (扶桑社新書)
2023/9/1
池田 清彦 (著)

本書はネオダーウィニズムの説明から入ります。
ネオダーウィニズムという言葉自体、ほとんど知りませんでした。
(という程度の生物学の知識で読んでいます。)
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「ネオダーウィニズム」とは、「ある生物の遺伝子に突然変異が起こり、環境により適応的な変異個体が自然選択によって集団内に広がり、その繰り返しで生物は環境に適応するように進化する」という理論です。19世紀の半ばにダーウィンが提唱した「進化論」に修正を加え、メンデルの「遺伝学説」やそのほかのアイデアを合わせたこの理論。
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本書はそもそもネオダーウィニズムを理解するために、ダーウィンの進化論やメンデルの遺伝学説について詳しく紹介しています。
そこから、「ネオダーウィニズム」の矛盾を解説して、著者が提唱する「構造主義進化論」ということの解説と続きます。前半は生物学の歴史が中心なので、ある意味、物語的な要素で面白かったです。
後半は、DNAや遺伝子など、最新の生物学の理論をもとに、生物がどのように進化してきたのかの理系のお話です。ただ、生物学などの理系の話をオーディオブックだけで読むのはちょっと苦労しますね。
でも、本書で、最近の生物学の事情や進化の姿について学ぶことが出来、面白かったです。ダーウィンの進化論のように環境に適応するために進化が起こっているわけではないんですね。
なるほどなと思ったのは、生物を取り巻く環境が変わった場合に環境に適応するのではなく、今の状況にふさわしい場所に移動するのが先だということでした。環境に適応する進化を待つより、環境を変えた方が手っ取り早いですよね。

プレゼン資料で「進化論」や「進化」という言葉を使っているNPO関係者のみなさん、あらためて「進化論」のリアルを学んで、正しい「進化論」という言葉の用法を考えてみてはいかがでしょうか。


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