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【NPO書評】ボランティアという病 (宝島社新書)

NPO、復興支援関係のみなさん、こちらの本はご存じでしょうか?
熊本地震での災害救援ボランティア団体の実名を挙げての告発本です。

ボランティアという病 (宝島社新書)
2016/8/5
丸山 千夏 (著)

東日本大震災にも関わっていた団体が、熊本での地震発生直後、いち早く被災地入りし、とある自治体と連携して、災害ボランティアセンターを立ち上げて、救援活動を行ったという話しを、関係者のインタビューなども行いながら、詳しく書かれています。自治体と災害救援ボランティア団体との連携について、大規模災害の時の救援活動の常識を外れて、だいぶイレギュラーな形で実施され、混乱を生み出していたという話しでした。
非営利組織の不祥事研究としては、とても参考になる本でした。

その他にも、いくつか同じように、復興支援の現場での災害救援ボランティア団体による問題などの個別事例や、そういった災害救援ボランティアに関わる人にどのような人がいるのか、個別事例を紹介しています。
災害救援の現場でのこういった団体の弊害など、問題を知るには勉強になる本でした。

ただ、本書のタイトルが、いかがなものかと思ってしまいました。
いくつかの個別団体の問題事例を挙げて、「ボランティアという病」というタイトルで、ボランティア全体が問題であるかのようなミスリードになっていると思いました。
本書の内容は、被災地でのボランティアによる問題や救援物資の問題など、そういった善意による弊害、問題、課題について、わかりやすく解説していて、参考になる一方で、その他のボランティアによる好事例などがほとんど載っていませんでした。
この本を読むだけでは、ボランティアのことは十分に理解できたとはいえないと思いました。

とはいえ、著者は、いろいろと丁寧に取材されるジャーナリストの方なので、そういった外からの目線で、ボランティアがどう捉えられているのかを確認することも大事なことです。
NPO関係者のみなさんも機会があれば、読んでみてください。


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