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【NPO書評】中流危機 (講談社現代新書)

NHKスペシャルが、こんな風に本になることもあるんですね。
テレビとしては、2022年10月にNHKで放映されたものが、2023年8月に出版されているものです。
テレビ番組は見ませんでしたが、「中流危機」という言葉はとても印象に残っています。
今回もオーディオブックのAudibleで読みました。

もともとテレビ番組のために取材した内容をもとにしているので、テレビ番組の構成のようにサクサクと読み進めることが出来ました。

中流危機 (講談社現代新書)
2023/8/23
NHKスペシャル取材班 (著)

研究論文とは違うので、取り上げる社会状況がよくわかるように当事者のインタビューなどで個別ケースの紹介で始まります。こういうところがイメージしやすく、とてもわかりやすいですね。
今回は社会問題を知らせるNPOの広報の視点も踏まえつつ、読んでしまいました。
やはり具体的な話が盛り込まれていると、サンプル数が少なくても、イメージがわいて、問題に対する解像度があがりますね。
前半は、中流危機について、実際に取材した方々のケースの紹介です。
そこから、実際の統計や専門家の解説などをもとに、社会状況の分析となっていきます。バブル崩壊から30年が経ったいま、2022年7月に内閣府から発表されたデータによると、中流危機と呼ばれる状況になっています。具体的には、1994年に日本の所得中間層の505万円だった中央値が2019年には374万円と、25年間で実に約130万円も減少しています。

そして、後半は、中流危機と呼ばれている、この社会状況をどのように解決していくのか、問題提起の内容になっています。本書では「中流再生のための処方箋」という章立てのタイトルになっています。
その中で、デジタルイノベーションやリスキリングの話題が紹介されています。リスキリングという言葉が一般的になってきたのも、この頃ですね。
ただ、この番組が2022年放映ですが、2024年の時点で読むと、内容がもはや古くなっている部分もあるなと感じています。
このご時世、1,2年で物事がどんどん変化していきますね。

中流危機という状況は、世の中の変化を把握するためにも、NPO活動の中でも押さえておきたいキーワードです。NPOのみなさん、機会があればぜひどうぞ。


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