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【NPO書評】世界がかわるシマ思考――離島に学ぶ、生きるすべ

NPO法人離島経済新聞社、リトケイの本です。
明日20日発売ですが、クラウドファンディングで応援して、その返礼品として一足先にゲットしました。
離島経済新聞社は、有人離島専門フリーペーパー&ウェブメディアの「ritokei」を発行しています。
季刊で発行されているフリーペーパー「ritokei」は、たぶんここ10年くらい、毎号楽しみに読んでいます。海なし県群馬に生まれた身としては、海に浮かぶ離島は遠い憧れの地です。小学校の時に家族旅行で連れて行ってもらった北海道の礼文島が強く印象に残っているせいかもしれません。
「ritokei」をよんでいるおかげで、離島に関する知識だけはどんどん蓄積されています。

本書は、リトケイのこれまでの活動から見えてきた「シマ思考」の解説本です。
人口減・孤独孤立の時代に、ある意味、時代の先端をいく離島で、心豊かに生きる「島(シマ)」にはいろいろな知恵と工夫があります。その知恵を「シマ思考」として、「人々が支え合うコミュニティ」を中心に据える、しなやかな思考として解説されています。
本のサブタイトルの通り、「離島に学ぶ、生きるすべ」ですね。

世界がかわるシマ思考――離島に学ぶ、生きるすべ
2024/4/20
『世界がかわるシマ思考』制作委員会 (著), 離島経済新聞社 (編集)


「シマ思考」ということで、海に囲まれた島で生きるための知恵と思ってしまいますが、ここでは漢字の「島」ではなく、カタカナの「シマ」にすることで、広い概念で捉えています。本著ではシマを「人と人が支え合うコミュニティ」と定義しています。
本書の中で、離島で実践されているシマのあり方をいろんな事例も踏まえて紹介しています。
本書で取り上げられている事例やコラムなどを読むと、本当に島での心豊かな生活が描かれています。モノや移動などでは大きな制約があっても、そこで暮らすことの豊かさを感じます。
まずは、島のことをいろんな側面から知ることができるブックレットのように、楽しく読むことができます。

そして、「シマ思考」という概念から、今の日本、あるいはこれからの日本の地域コミュニティのあり方についても学ぶことができる解説書となっています。
今、別の本で利他をテーマにした本を読んでいますが、その内容ともリンクしていますね。互助や利他の具体的な事例を本書からいろいろ学ぶことができるので、とても面白いです。贈与経済や利他に興味がある人にぜひ手に取ってほしい一冊です。

あらためて、離島というテーマから、いろいろな要素を整理収集して、一つの思考、考え方にまとめて書籍にして世に問うというのは、本当に素晴らしい取り組みです。
いろいろなテーマでNPOが活動をしていますが、その活動から見えてきた、あるいは発見した法則や思考を体系化してまとめて発表していくのは大切ですね。
NPOの関係者のみなさん、いろんな視点で参考になる本なので、ぜひお薦めします。
Amazonの紹介ページの解説を読むだけでも、かなり面白いですよ。


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