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生徒自らが「学びの探究」を行うキャンパス

最近、本校の校舎環境についての問い合わせや視察の依頼が目立つようになってきた。同時に、外部で行われる建築関係の会合での事例紹介の話も舞い込んできている。

ありがたいことだと思う。それ以上に、改めて学校という場における教室や空間、什器備品など「校舎環境」の果たす役割。それによって「学びに向かう姿勢」や「生徒の行動」が大きく左右されることを、みなさんにしっかりとお伝えしなければと感じている。

単に新しいとかキレイだとか、そういった見た目のことではなく、生徒の「どんな学び」を実現すべく、どういう意図を持って設計されているか。それが、生徒にどう伝わり「どんな行動変容」を起こしうるか。

学校というイメージや既成概念に囚われず、自ら描く教育スタイルを可能にするような校舎環境を、大胆な発想でつくっていくことが極めて大事だということを、まさに生徒たちが教えてくれている。

本校の校舎は、「生徒一人ひとりの学びへの探究の自主性と協調性」をキャンパス全体で誘発させるために、教育内容と建築計画による空間構成を綿密に連携させている。

学年や学校という「枠」を超えた学びと協働。自発的な学習を促し、アサインメントとよんでいる学びの羅針盤(設計図)を用いて、生徒自らが考えた「学びの設計・探究・発表」のサイクルを実践するために最適化され、つくられている。

キャンパスは大きく分けると、学習・講義を行う「教室棟」、研究・創作を行う「STEAM棟」、発表を行う「講堂棟」、リフレッシュの場となる「アリーナ棟」の4棟。

ドルトンプランの学びのサイクルに合わせ、各建物とドルトンの森・庭・グラウンドが配置され、「学習⇔発表⇔研究」と「集中⇔リフレッシュ」が連携した配置計画になっている。

そんな空間構成の特徴のひとつが、ふだんの学びや研究、各種イベントに「さまざまな単位の協働体」で取り組める教育環境の実現だ。

本校では、学年のクラス(授業を受ける集団を「レッスングループ」とよんでいる)とは別に、「ハウス」とよばれる中1から高3までの異学年で構成されるチームが学校生活のホームになっている。そこでは、日常的な交流だけでなく、学内イベントの企画や準備、運営を分担して行ったり、互いに教え合ったりする。

また、好きなことに没頭できる「ラボラトリー」では、研究室で学ぶように学内外を問わずチームで協働する。

そういったことをシームレスに行えるよう、個人や少人数(2〜3 人)、グループ(10人程度)、クラス(25人)、ハウス(50〜100人)、ラボラトリー(その時々でいろいろ)など、多様な人数構成による教育プログラムに対応できるような工夫がされている。

さらに、供用開始後も設計者が生徒や教職員と一緒に、校舎をよりよくするための改善点を話し合ったり、環境設備の実証実験や実測を元に運用改善を行うことで校舎運営の効率化を研究したりしている。

ICT技術等を積極的に活用しながら校舎を日々アップデートし、成長し続けるキャンパスを実現している点も、ドルトンの学びとシンクロしていて面白い。

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