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予想もしなかった旅の結末

昨年のM1グランプリ決勝戦。カベポスターが大声大会
というネタで、ゆふいんと叫ぶのを聞いた。博多に来て
もうすぐ2年。ゆふいんは日帰りも可能な距離だが、
訪れずにいた。なんとなく敷居が高いと感じていた。
でも大阪に住んでいた頃からなんとなく憧れていた。
そして今回初めてゆふいんを旅した。山並みを眺め、
町を肌で感じ、町の印象は親しみやすいものとなった。

思えばその日を暗示するかのような空模様でも

予定外もありながらも楽しいゆふいんの旅

そして、ゆふいん文学の森を後にして

白いボリュームで構成された道沿いの建物や
不思議なシルエットの木々や
温泉地に広がる風景を眺めながら
ゆふいんの町へと自転車を走らせる
頼もしい消防団のイラストも
道沿いに建つゆふいんラックホールは
公民館と湯布院庁舎からなる施設
アプローチの色合いはシンプルに軒を引き立てる
2021年に開館もその時は外構の工事中
ようやくゆふいん駅まで戻ってきた
道路にまたがって立つ鳥居を見上げつつ
リュックにはタオル。時間ある限りゆふいんを楽しむべく進む
今度は南へと進み、坂の上から見下ろす風景
しばらく進めば山のホテル 夢想園
由布岳を望む露天風呂と思いきや、日帰り温泉は14時まで
では山水館はというと16時まで。下調べしなさすぎた
もてあます時間などなく、鞠智の夕方の雰囲気を横目に
人通りの少なくなった湯の坪街道を進む
ライトアップされ、よい雰囲気のレストラン夢鹿
そして金鱗湖まで戻ってきた。水面に映り込む風景
カフェラリューシュにも明かりが灯る

金鱗湖には美しい風景が広がっていた

だんだんと辺りも暗くなり
茅葺き屋根の湯の岳庵も夕食の時間
そしてまたもう一度、天井桟敷へ
昼間は茶房の天井桟敷は
夜にはBarの山猫へ
軽くビールを一杯頂いて
雰囲気のよい店内を味わいつつ
昼間見上げた窓から外の風景を楽しんで
Bar山猫を後にする

バーテンダーに挨拶をし、店の外に出る。もうすっかり
辺りは暗くなっている。19時26分のゆふ6号。久しぶり
に特急を予約し、最後まで旅を楽しむつもりでいた。
金鱗湖からゆふいん駅まで、自転車を押しながらでも
歩ける距離。のんびりと歩いて帰ろうと思っていた。


山猫を出て自転車へ戻ろうとした時、辺りに予想以上
の暗闇が広がっていた。自転車は少し離れた所にある。
「あれ、自転車どこやろ」停めた場所は覚えているの
だが、目印になるものが何も見えない。少し進めば、
わかるだろうと思ったが、思いに反して、暗がりは深く
なっていく。特急は予約しているし、駅まで時間通り
につかねばならない。少しあせる。金鱗湖の畔。足元
はあまりよく見えてない。道は蛇行していたようだ。


踏み出した足が地につかない。その瞬間、自分の体は
回転し、地についていた。どうやら浅い水路に落ちた
ようだ。右腕と口元を強く打つ。頭が真っ白になるが、
とてもまずい状況だということはわかる。右腕は少し
も動かせない。口も切ったようだ。ふしぶしは痛いが
幸いにも歩くことはできる。とにかく駅へ向かおう。


ほど近くに自転車はあった。そこから自転車を押して
歩く。リュックからタオルを取り出し、口元にあてる。
今日使えなかったタオルがここで役にたった。駅まで、
とても遠く、長く感じながらも、自転車を押して歩く。
ゆふいん駅につく。朝、降り立った時、まさかこんな
状態でゆふいん駅に戻ってくると予想もしなかった。
不安げな空の下で始まった旅。予定外のことも楽しみ、
ゆふいんを満喫した最後で、暗転することになった。


こんな予想外の結果になるとは思ってもいなかった。
あの一瞬まで、本当にゆふいんの旅を楽しんでいた。
バーテンダーのお気をつけてお帰り下さいと言う声は
私の耳に届かなかったのだろうか。ほんの一瞬の気の
緩みとあせりが、その一日を一転させた。小学生の頃、
家に帰るまでが遠足と、言われたことを思い出した。


ゆふいんの旅もこれでおわり。それはとても楽しい旅
であった。最後のあの一瞬から自宅までの苦痛の時間
を除いては。右腕が痛くて背もたれも使えず、特急に
2時間も揺られ、口にタオルをあてつつ痛みに耐えた。


この年になり成長しているようで、そうではなかった
ようだ。ただこれからも人生は続くし、成長もしたい。
この経験を糧に、今度は暗がりには十分気をつけよう。


旅をすればいろんなことが起きる。しっかり反省して、
これからも旅を続けよう。終わりよければ全てよしと
言うが、終わりが悪ければ全てが悪いわけでもない。
と今では言える。あの傷も癒えた。ゆふいんの出来事も
いつか笑い話に。そうすれば結局は全てがよしとなる。


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